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ジセダイ総研

【あなたの友人もきっと......】キラキラ女子もギャル系も......ジャンルを超えて広がる「デジタル整形」とは

北条かや
2015年01月06日 更新
【あなたの友人もきっと......】キラキラ女子もギャル系も......ジャンルを超えて広がる「デジタル整形」とは

「自分を『何系』にたとえると……ですか? うーん、『勝ち組系』ですね。学歴が高くて、容姿も、まあ良くて、大企業に入ってるから。」

そう言って微笑むのは、有名私大を卒業し、外資企業で働くAさん(24歳)。まつエク(まつげエクステ)とマスカラで整えた長いまつ毛が印象的な、沢尻エリカ似の美人である。彼女のキラキラした日常は、フェイスブックで巧妙に、かつ自然に演出されている。


Aさん「美人でも、加工は当たり前」

 「自撮り写真の加工は当たり前ですね。こうやって……」と、彼女は、「カフェの座席で撮影された上半身アップ」の写メを見せてくれた。もともと可愛らしい顔立ちだが、ビフォアはやや頬がふっくらしている。それが「加工後」は、頬がシュッと細くなり、美人度がアップ。フェイスブックに載せるのはもちろん「加工後」だ。「写真は修正してアップするのがデフォルトですけど、不自然にならないように、バレるかバレないかの“加減”は探っています」たしかに自然だ。さらに彼女は、「女子会で写真を撮るとき、自分が率先してカメラ係を買って出る」という。

 「自分だけ変な写りにされるのは、嫌なので。だったら自分が撮って、みんなの分を加工して渡したほうがいい。『完成形』を共有して、『フェイスブックに載せるのはこれ(完成形)ね』って。女子会メンバーには、そういう暗黙の了解があるんですよ」

 デジタル加工された「イケてる」女子会の様子は、メンバー全員に共有され、彼女たちのタイムラインを彩る。フェイスブックは、こうした「イケてるグループ」が、自分たちの「イケてる感じ」を強化し、再確認するのに使われている。


あたり前になりつつある「デジタル整形」

「写真加工アプリ」を使用した筆者自身の「自撮り」写真

 少し前まで、「自撮りをネットにさらす行為」は、芸能人やモデルか、それに準ずる容姿の一般人が、主に「ブログ上で」行うものだったと思う。それがここ数年、顔写真の登録をうながすSNSの流行で、「自撮りをネットに載せるのはごく当たり前のこと」という意識が生まれた。 スマホの高機能なカメラや「写真加工アプリ」の登場で、だれでも手軽に、上手な「自撮り」が撮れるようになったのも大きい。私、けっこう盛れてるじゃん。もっとイケるんじゃない? そう思える「自撮り」は楽しいし、癖になる。ブームの影響か、14年12月にはインスタグラムの月間アクティブユーザー数がTwitterを上回るというニュースもあった。女性ファッション誌では「盛れる自撮りテク特集」が頻繁に組まれている。高品質で自然な「自撮り」を可能にする、「自撮り棒」なる道具も登場。大手新聞やテレビがこぞって特集し、TIME誌が選ぶ「2014年の発明品ベスト25」にもランクインした。

 今、写真加工アプリを使えば、顔色の悪さ、むくんだ頬、シワ、クマ、ほうれい線など、すべてを消し去ることができる。ちょっとくらい盛れていなくても、アプリを使えばあっと言う間に「美人」になれる。こうした技術を総称して「デジタル整形」と呼ぶ向きもある。デジタル技術で美女になれるから、「デジタル整形」だ。

 これまで、外見を「盛る」技術といえば「プリクラ」が中心だった。が、冒頭の「勝ち組女子」Aさんによれば、プリクラはもう「使えない」という。

 「プリクラは、ほとんど撮りません。『盛れる』のが当たり前だから、『詐欺プリ』だってことをみんな知っている。プリクラは、もはや自分を魅せる『武器』にはならないんですよ。合コンの前も、男子からは『プリクラじゃなくて写メちょうだい』って言われます」

 プリクラの「盛り」は、写真加工アプリでの盛りにくらべて「過剰」である。もともと美人なAさんたちにとって、アプリでの加工の方が、より自然に可愛くなれると思われているのだ。


「デジタル整形」の自分が基準になって、本物の整形を受ける子もいる

 写真加工アプリで、自然な「盛り」ができるようになった今、女子たちのSNSには「ちょっとキレイな私」があふれている。そんな「キレイな私」と現実とのギャップから、「デジタル」ではなく「本物の整形」に踏み切る女子はいないのだろうか。

 「もちろん、そのうち本当に整形する子もいますよ。整形する子って、もともと可愛い子が多いんです。『もっと自分を高めたい』と思って、するんだと思いますよ」

 ある程度、美人のほうが整形手術への興味関心が高いというのは、よく言われることだ(※1)。もともと美意識が高い彼女たちは、高い「理想」に「現実」をあわせるため、整形に踏み切ることも珍しくない(※2)。「プチ整形」ブームもあって、整形へのハードルは下がっている。美人なAさんも、整形したいとは思わないのか?

 「思わないですね。私は外見だけじゃなくて、知識をもっと充実させたいと思っています」

 彼女の話しぶりには、整形をせずとも、化粧や「デジタル整形」だけでキレイになれることへの自信もにじむ。友人たちへのライトな“優越感”も感じられた。

 彼女の「優越感」が生じるメカニズムは、下記の図で説明できる。


女子たちの「美の基準」と、それを目指す「手段」を、4つに分類してみる

 図では、縦軸を「美の基準」、横軸を「(美の基準を達成するための)手段」とした。それぞれを、「世間が許容できるか、できないか」で分け、四象限を作った。重要なのは、どのジャンルの女子にとっても、デジタル技術で理想の顔をつくる「デジタル整形」が「当たり前」になっているということだ。



 左上が、Aさんのような「勝ち組」タイプだ。彼女たちはもともと、容姿や学歴などの「資源」に恵まれている。彼女たちの目指す「美」は、女子アナや正統派女優など、世間的にみても「美人」とされるタイプ。かつ「美を目指す手段」も、ナチュラルな「つけま」や「まつエク」など、世間的にみてよしとされる範囲にとどまっている。

 一方、右上の「隠れて整形するキラキラ女子」たちは、美の基準こそAさんのように正統派であり、世間とのズレはないが、自分の顔を「デジタル整形された理想の顔」にあわせたいと、整形に踏み切ったタイプだ。できあがった顔はキレイだが、整形の事実を隠すことも多いことから、「世間的な後ろめたさ」を感じている。


「自分たちがカワイイと思えれば、それでOK」と整形するギャルたち

 右下の「ギャル系女子の『パフォーマンス整形』」とは、ブログなどで整形の事実を公表し、「だってキレイになりたいし、当然でしょ?」と主張するギャルたちのことだ。最近では、同じく「小悪魔ageha」で活躍していた双子のモデル、吉川ちえ・ちかが、ブログで「二重の切開手術(※3)」を行い、術前・術後の写真を公開して話題になった。ネットでは「グロい」とか「そこまで大きな目にする必要ある?」などの批判も殺到したが、本人たちは理想のパッチリ二重に満足そうだ。age嬢系ギャルにとっての「理想」は、日本人離れした目の大きさ、鼻筋などを特徴とする、お人形さんのような顔である。芸能人なら「浜崎あゆみ」や「益若つばさ」、「板野友美」であり、必ずしも万人受けする清楚系美人ではない。

 全国で美容外科を展開する高須クリニックの高須幹弥氏によると、芸能人やモデルは「ちょっと大袈裟過ぎるくらいパーツが際立っていることが多い」ため、一般人が真似すると違和感が生じる(整形で芸能人みたいな顔になりたいと思っている方へ:高須クリニックHP)。が、「それでもいい。なんと思われようが、あゆの目になりたいの!」という女子もいるだろう。世間的な基準では不自然でも、ギャルの基準では「カワイイ」のだ。彼女たちのオープンな整形は、「パフォーマンス的整形」として右下にマッピングされる。


90年代のガングロたちの「美の基準」は、世間からはズレていたが…

 ちなみに図の左下は、90年代のガングロや00年代の「age嬢」のように、アイプチやつけまを駆使した濃いメイクで街を闊歩していたギャルたちだ。整形こそしないものの、最近ギャルたちの間で話題になった『もとから美人風 整形メイクBOOK』のように、メイクだけで「盛り顔」を目指すギャルは多い。彼女たちの「美の基準」は、世間的にはあまり評価されないが、それを達成しようとする手段は、あくまで一般的なメイクにとどまっている。もちろん彼女たちも「デジタル整形」はしており、日常的に「盛れた自分」に親しんでいる。そのうち「盛り顔」がスッピンよりも「本当の自分」のように思えてきて「本当の自分」を手に入れようと整形に踏み切るケースは多い(※4)。


「ズルい」から「当然」まで、評価がわかれる「デジタル整形」

 女子にとって、写真加工アプリで美肌にし、目を大きくし、輪郭を変えることは、もはや「写真を撮る」ことのなかに含まれている。「ズルい」という人もいるが、女子の間ではジャンルを超えて「デジタル整形は当たり前」だ。

 そんな中、Aさんが他の集団に対して「勝ち組意識」を抱けるのは、「自らの美の基準と、それを達成しようとする手段が、世間の基準と合っている」からだ。彼女たちは、SNSのタイムラインを「デジタル整形」された写真で彩り、キラキラした日常を演出する。その技術によって生まれた「本物の整形への欲望」を、「実行に移さない」ことが、Aさんの美に対する自信を強めている。加工アプリ(デジタル整形)とプチ整形が全盛の今、「整形しなくても美人なキラキラ女子」こそが、「ビューティーラウンド(※筆者注:Aさんいわく、美の戦いの土俵のようなもの)」における「勝ち組」感をもてるのだ。ただ美しいだけではなく、彼女たちは学歴や仕事にも恵まれている。他集団との比較によって、「勝ち組意識」は強化される。

 「やっぱりビューティーラウンドの中で、勝ちたいじゃないですか。もちろん外見だけじゃダメなので、これからは『知』を身につけて内面も充実させて、結婚や出産もして、ずっと『勝ち組』でいたいですね」

 写真加工アプリで「デジタル整形」をし、自分を「盛る」女性たち。彼女たちの中に生まれる「勝ち組意識」や、「デジタル整形」のテクノロジーが醸成する「本物の整形への欲望」については、今後考察していきたい。


※1中村うさぎ、高梨真教著、『マッド高梨の美容整形講座』2006年、マガジンハウスなど。

※2こうした、テクノロジーが強化する整形願望については、谷本奈穂、2008『美容整形と化粧の社会学』(新曜社)に詳しい。

※3まぶたを二重のラインで切開して、幅広い平行二重を形成する施術

※4 90年代にもプリクラやチェキ、使い捨てカメラがあり、ギャルたちは何十枚も撮った中のお気に入りだけを「自分の顔」と認識していた。こうした行為は「デジタル整形」で形成されていく「本当の自分」に近い。


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北条かや

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著述家。1986年、石川県金沢市生まれ。「BLOGOS」はじめ複数のメディアに、社会系・経済系の記事を寄稿する。自らキャバクラで働き、調査を行った『キャバ嬢の社会学』がスマッシュヒット中。ブログ「コスプレで女やってますけど」は、月間10万PVの人気を誇る。

ブログ:http://kaya8823.hatenadiary.com/

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ジセダイ総研 研究員

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