日本は多くの災害に見舞われる国だ。この認識は多くの方が共有しているだろう。実際、地震だけを例にとっても、全世界の0.25%の国土面積に対して、全世界で起こるマグニチュード6.0以上の地震の18.5%は日本で発生している。我々日本人にとり、災害はごく身近な存在だ。
しかし、災害慣れしている日本人であっても、「国家としての日本の防災を舵取りしているのはどこか?」と聞かれて、即答できる人は少ないだろう。災害の際にテレビに映し出されるのは、被災地で活動する自衛隊や救急・消防といった、災害が「起きた後」に目立っている組織が大半だ。多くの人にとって、国と災害・防災と言ったら、そちらのイメージが強いかもしれない。
そこで、防災週間の今を迎えた今、常日頃から日本の防災行政の舵取りを担う「中の人」に、日本の防災行政について話を伺い、知られざる防災の一端を見ていきたいと思う。
話を伺ったのは、日本の防災行政の舵取り役を担う、内閣府(防災担当)だ。省庁再編により2001年に発足した内閣府では、旧国土庁の防災局を引き継ぎ、内閣府(防災担当)として、日本の防災行政の中心的役割を担っている。内閣府と言われても、経済産業省や外務省といった省庁と異なり、名称からは具体的にどんな仕事をされているかはイメージがつきにくいかもしれない。
内閣府(防災)が入る中央合同庁舎8号館(中央)
内閣府は内閣の重要政策の中でも、多分野にまたがり省庁間で調整が必要なものを担当しており、それぞれのテーマに応じて内閣府特命担当大臣を置いている。このため、内閣府は一つの行政機関でありながら、2017年8月末現在、10名もの担当大臣がいる。その中で、防災行政を担うのが防災担当。小此木八郎内閣府特命担当大臣(防災)をトップに、100名近い職員が在籍している。
今回、話を伺うのは、内閣府防災の企画官(普及啓発・連携担当)の後藤隆昭氏。ネットでも発信活動を行っており、昨年は映画『シン・ゴジラ』で話題になった国家の危機対応について、当事者として解説を行った同人誌を発表し話題になったことでも知られている。
後藤隆昭氏 内閣府政策統括官(防災担当)付 企画官(普及啓発・連携担当)
これまで土地行政、国土計画、防災行政に関わり、現在は国土交通省から内閣府に出向中。著書に『虚構と防災』(自費出版)。
----内閣府(防災担当)の役割とはなんでしょうか?
ハリケーン・アイリーンに備え、物資の準備を行うFEMAのロジスティクス職員
----自前でこなすFEMAのアプローチに対して、内閣府はどうなのでしょうか?
----自然災害を一義的に担当するとのことでしたが、7月29日未明の北朝鮮のミサイル発射の際、後藤さんも官邸への参集指示を受けたとTwitterで書かれておりましたね。こういった自然災害以外での対応も内閣府はしているのでしょうか?
日本の防災行政機構について、集権的なアメリカと対比すると、日本は分権的な形を取り、内閣府が省庁間の調整機能を果たしているという。また、初動における総理の意思決定をサポートする内閣官房に対し、内閣府では災害の全フェイズでの調整といった分担も行われている。それでは、内閣府は具体的にどのようなことを行っているのだろうか?
----内閣府防災内部の組織のミッションについて、お聞かせ頂けませんか?
----後藤さんは、東日本大震災の時はどのような仕事をされていましたか?
----現地に行く人はどのような人なのでしょうか?
----東日本大震災の際、仕事でいちばん最初にとりかかった仕事はなんですか?
----現在は普段どういうお仕事をされていますか?
----内閣府防災として国民にこういうこと知ってほしい、というのはありますか?
----九州での大雨災害の際、ボランティアについて抑制的なツイートが出回っていることに言及されていましたね。災害時におけるネットの影響について、どう思われていますか?
----内閣府防災として、今後の課題として取り組んでいることは何ですか?
----最後に、後藤さんから伝えて欲しいことはありますか?
----本日はありがとうございました。
災害報道ではなかなか目につかない内閣府防災。今回はそのミッションや実務について、当事者の話をお伝えした。公助の仕組みを整える機関でありながら、自助共助の重要性や、個人・家庭で行う備蓄を訴えかけるなど、行政の限界に言及したのが印象的であった。
東日本大震災の事例を見れば分かるように、巨大災害により行政・自治体が甚大な被害を蒙り、麻痺することは十分考えられる。インタビューでは防災行政の当事者として、災害時に行政が動く事にも腐心しているのが窺えたと同時に、行政が動けない・手に余る事態を、現実に起こりうると受け止めていた。
公共事業や、様々な法律による規制・制度といった様々な省庁・行政の働きが、我々の日常から災害を遠ざけているのは疑いない。しかし、国家ですら持て余す災害は頻繁に起きている。こういった災害に際しては、普段から我々自身の「防災力」を高めることが、災害時の生存に決定的な意味を持つ。我々は行政に守られている部分も多いが、その限界も認識し、備える事が重要となる。
防災週間を期に、貴方も防災への備えを見直して、「防災力」を高めてみてはいかがだろうか。
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