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ジセダイ総研

日の丸ステルス実証機初飛行と昔の「想い人」

石動竜仁
2016年05月10日 更新
日の丸ステルス実証機初飛行と昔の「想い人」

「掛け値なしに次のステップに自信が持てた」X-2

 防衛装備庁の技術実証機であるX-2が、4月22日に初飛行に成功した。

 

初飛行したX-2(防衛装備庁発表資料より)

 

 当初の計画では2014年度中の初飛行が予定されていたものの、2015年度末に延期され、さらに1ヶ月ほど遅延した結果、初飛行は2016年度にずれ込んでしまった。1年から2年近い計画の遅延となっている。

 初飛行したX-2について、防衛装備庁の吉田考弘事業管理官(航空機担当)が、初飛行後に三菱重工業のテストパイロットに話を聞いた所、「初飛行すると細かい問題や違和感が出るが、この飛行機は安定して問題がなく、非常に操縦しやすかった。掛け値なしに次のステップに自信が持てた」と言う感想が返って来たそうだ。当事者のコメントであるので鵜呑みには出来ないが、慎重を期した結果がとりあえず悪い方向には出ていないのは何よりで、今後の飛行試験が順調に進む事を期待したい。

次の戦闘機をどうするか

 さて、X-2については、拙稿「F-35戦闘機導入に武器輸出三原則見直しが必要だったワケ」(以下、「前稿」)でも少々触れたが(執筆当時、まだ“X-2”という名称は発表されておらず、旧称の“ATD-X”で記述している)、「次の戦闘機」の技術データ取得を目的としている。実機として存在するX-2ばかりに目を奪われがちだが、防衛装備庁ではX-2と並行して次期戦闘機関連の各種研究を進めており、これらの成果を元にして、平成30年度に次期戦闘機をどうするかの方針が決定される予定である。

 この次期戦闘機について、防衛省・防衛装備庁の発表や説明では、日本単独の開発のみならず、国際共同開発も視野に進めているとされるが、どちらかと言えば共同開発を狙っている事を匂わせている。近年の戦闘機開発は開発費高騰が顕著で、例えば1990年代に開発が行われたF-2戦闘機の開発費は最終的に3270億円(当初は1650億円の予定だった)だったが、韓国が開発に着手した第4.5世代戦闘機(KFX)は現状8兆5000億ウォン(約7889億円)の開発費を予定している。このため、戦闘機開発では国際共同開発という形で、巨額の開発費を多国間で分担するのが一般化しており、航空自衛隊にも導入されるF-35は9ヶ国による共同開発、ロシアは開発中のT-50(PAK FA)でインドと組み、前述のKFXはインドネシアがパートナーとなっている。自国資金のみで最先端機の開発をしているのは、恐らく中国くらいではないだろうか。

 

90年代に開発されたF-2。開発に3270億円を投じたが、現代の戦闘機開発は更に高騰。

 

 戦闘機開発には費用的な問題もあるが、技術的な問題も見逃せない。現状、最先端機を開発できる技術力を持つ国は一握りの大国に限られる。詳細は前稿を参照頂きたいが、F-35は国際共同開発とは言うものの、開発は実質アメリカ主導によるもので、他の国は金を出すだけに近い。このような形態では、実質的な開発国の事情に振り回される事になる(対等に近い関係の共同開発でも、利害衝突はもちろん起こりうるが)。F-35は当初の計画より開発費と機体取得費は高騰し、戦力化の時期も遅れている。いずれも採用予定国の防衛計画に影響を与えうる問題だが、現実に採用予定国に出来る事はそう無い。自分で作れない上、国際市場で買うことの出来る第5世代戦闘機はF-35しかない。代替となる機体がなければどうしようもないのだ。

 

技術は金で買えない

 複数の国の技術が拮抗しているなら、導入国はそれらの国を天秤にかけ、有利な条件を引き出す事が出来るかもしれない。事実、先日決着したオーストラリアの次期潜水艦商戦では、オーストラリアが通常動力型潜水艦技術のトップティア国である日仏独から有利な条件を引き出そうとしている。

 しかし、戦闘機開発では、米国の技術が他を突き放している。この優位性が米国の軍事・外交上の利点となっている以上、米国が自国技術と製品を安売りする必要性は薄いのだ。このような場合、技術は自前で持つ事で「武器」となる。ただ、「武器」に出来るほどの技術は容易には育てられない。中途半端な技術では、どちらにせよ振り回されると判断し、他にリソースを回すのも一つの手ではあるが、とりあえず現在の日本の判断としては、自前技術の確立に努めているようだ。

 「技術は金で買えない」。防衛省・防衛装備庁に近い筋からは、このような言葉が出る事がある。日米は同盟関係にあり、様々な技術協力も行われているが、機微性の高いステルス技術については、米国からほとんど入っていないという。民間企業も同様だが、技術は力の源泉であり、何らかの優位点が無ければ影響力も持てない。X-2を始めとした将来戦闘機の技術研究は、国内単独で開発出来ずとも、僅かばかりでも影響力を確保したい顕れと言える。

 

F-22再生産・輸出報道

 最近になってF-22再生産について米議会が議論を進めており、4月30日には下院小委員会がF-22の再生産・輸出についての説明・検討を要請したとCNNが報じている。F-22は米議会が長らく輸出を禁じていた戦闘機であったが、ここに来て輸出の可能性が出てきた。まだ検討段階とは言え、展開によってはアメリカの同盟国を振り回しかねない。

 

F-22戦闘機(米空軍サイトより)

 

 F-22は世界初の第5世代戦闘機で、F-35が戦闘機から地上攻撃機までを1機種で代替する多用途戦闘機であるのに対し、F-22は空対空戦闘を主眼においており、戦闘機としてのポテンシャルは高いとされる。F-22は航空自衛隊のF-4戦闘機後継(F-X)の有力候補(というより本命)であったが、米議会による輸出禁止措置が解ける見込みが無く、生産継続の見通しも不透明だったことから、2008年に断念している(事実、F-22の生産は2011年に完了)。もっとも、F-22はF-35より技術的に古い点も多く、米空軍参謀副長はF-22再生産よりも、新型の第6世代機を開発した方が効率的だと議会で述べている。

 ただ、日本はどう思っているだろうか。F-XではF-22を本命視していたものの、輸出禁止解除の見通しが立たないため、F-X導入を延期して状況の好転を窺うような事もしている。F-Xは最終的にF-35となったものの、「F-22の代わり」と言った感が否めなかった。仮にF-22の輸出が解禁された場合、日本の防衛当局者が「かつてフラれた憧れの人」にどのような反応を見せるのか。現在検討されている次期戦闘機は、艦船への高い攻撃能力を持つF-2後継のため多少事情は異なるが、他にも航空自衛隊では主力戦闘機のF-15の中で、改修が難しく能力的に陳腐化が進んでいるPre-MSIPと呼ばれる機体が100機ほどあり、この後継をどうするかは宙に浮いたままになっている。F-22に飛びつくのか、F-35を貫くのか、はたまた別の道に進むのか。

 一方通行の恋だったとは言え、また相手の心変わりに方り回されるのだろうか。

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ライターの紹介

石動竜仁

石動竜仁

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IT系企業に勤める傍ら、2008年から「Dragoner」名義で軍事関係ブログを始める。2010年にTwitterを開始、多くのフォロワーを持つ人気アカウントとなり、2013年から本格的にライター業を始める。現在は、個人ブログだけでなく、「Yahoo!ニュース個人」でも、一般向けに軍事問題の時事解説を行っている。

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ジセダイ総研 研究員

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