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ジセダイ総研

DeNAはなぜ、サービス名から「メディア」を抜いたのか

大熊将八
2016年12月14日 更新

医療や住関連・美容など様々なメディアを運営する自社肝いりの新規事業「キュレーションプラットフォーム事業」が、そのコンテンツの不正確さや他サイトからの盗用によって紛糾し、矢面に立たされているDeNA。先日には記者会見が行われ、記者団から鋭い質問が経営陣に浴びせられた。

2016/12/15現在、WELQにはお問い合わせ専用窓口の案内のみが表示されている。https://welq.jpより引用

DeNAは「キュレーションメディアプラットフォーム」から、「メディア」を抜いた

問題となったのは、ネット上に散らばっている画像を引用したり文章をリライトすることでキュレーション(まとめ・編集)して新たな記事とするキュレーションメディアという特性を持つ媒体群だ。古くは2009年に当時のNHNジャパン(現在のLINE株式会社)が始めたNAVERまとめを筆頭に、近年盛り上がっているサービスであり、2014年にiemoとペロリという二社がDeNAに会社を売却して今回の問題の契機となった他、今年9月には、髪の悩みに関する情報サイト「ハゲラボ」を運営するゴロー株式会社が、約13.5億円の評価額でスマホコンテンツ会社のユナイテッドに買収され、10月にはファッションキュレーションサイト「MARBLE」など運営するCandle社が、ソーシャルゲームやEC事業を手がけるクルーズ社に12.5億円の評価額で買収されるなどベンチャー業界を賑わせている。

実際は、遵法意識が低いまま著作権侵害を野放しにしたりそれを推奨しているともとれるようなマニュアルを作成していたというお粗末なマネジメントが行われていたことが様々な媒体の報道で明らかになっているが、本稿では別の観点に着目したい。

それは、「キュレーションプラットフォーム事業」というネーミングについてである。

今回問題になったのはDeNAが運営する「キュレーションメディア」に関することだが、事業名からは「メディア」が抜けている。これは意図的なものである。その証拠に、DeNAは当初は「キュレーションメディアプラットフォーム事業」を名乗っており、途中で外したのだ。広報にいつごろ名称変更を行ったのか確認したところ、名称については社内でいろいろな議論があり、いつ確定したかは正確ではないが、少なくとも2016年度第1四半期の決算説明資料では「キュレーションプラットフォーム事業」を名乗っていたとの回答を得た。

問題になったWELQなどのサイトは、実際は企業側が外注した単価の安いライターが書くことも多かったが、名目上は誰でもライターとして登録して投稿ができるという体を取っていた。ユーザーが自由に投稿できるプラットフォームであるという面を強調していたということだ。

「メディア」を名乗ると、掲載情報に対する責任が発生してしまう

メディアなのか、プラットフォームなのかという議論は、現在世界的に騒がれているものである。なぜなら、Facebook上で蔓延したデマのニュースが大統領選の結果をねじ曲げたのではないかと言われているからだ。「ローマ法王がドナルド・トランプ氏を支持」などトランプ氏を持ち上げるものやヒラリー氏の健康に不安がある説などの事実無根のニュースが大統領選期間中に数多くシェアされ、投票行動に影響を及ぼした可能性があるとされる。だが、その責任を問われてもFacebookのCEOであるマーク・ザッカーバーグ氏は頑なに自らの手がけるサービスは「メディア」であると認めず、自由にニュースが飛び交う「プラットフォーム」であるためデマニュースの責任を取る必要はないという姿勢を崩していない。ザッカーバーグは以前にも繰り返し「メディア」であることを否定してきた。

自分たちを「メディア」だと認めてしまえば、そこで作るコンテンツについてきちんと事実関係を確認し取材の手間暇をかける必要がでてくる。誤ったものを出した際には責任を取らねばならない。そのコストは莫大なものである。そうなると、現在の営業利益率40%以上という驚異の高利益率を維持することは不可能になる。新聞社などメディア企業の批判は、Facebookがコストを負わずに実質的にコンテンツをタダで使って自分たちの利潤を奪い取っているのではないかということだ。Facebook側もこういった批判には対応して、昨年からInstant Articlesという仕組みで、Facebook上で他サイトの記事閲覧が完結するもののそこで得られた広告収入は100%メディア側に還元する仕組みを導入し、メディア企業を宥めすかしながら囲い込みを進めている。

Facebookに限らず、成功したIT系大企業にはあくまで自社でコンテンツを作らず、コンテンツが集まってくることを志向したプラットフォーム型のものが多い。DeNAも、もともとはガラケー向けのプラットフォーム「Mobage」が一斉を風靡したことで躍進した企業である。

しかし直近の決算書でも、自社の手がけるプラットフォームの具体名を挙げ、ユーザーのモニタリングを常時行って、規約違反がないかを調べていると書いてあるが、ユーザーの行為を完全に把握することは困難、と明記してある。プラットフォームは責任を取りきれない。その無責任さゆえに儲かるが、いつまでも許されるものではなく、いつか破綻の危機に瀕する。それがDeNAのパクリメディア問題とFacebookのガセニュース問題に通底する問題の本質なのである。

Facebookも抱える「中立性の担保」という課題

プラットフォームにはもう1つの問題が存在する。それは、中立性の確保だ。これもやはりFacebookの事例だが、一部の国でFacebookが提供している「トレンドトピックス」という機能で、政治的に一方に偏った記事ばかりが表示されることが今年の前半に話題となった。日本でも、国内最大の飲食店の口コミサービスである「食べログ」で、食べログ側の有料プランに加入しない店舗の点数や検索表示順位を恣意的に落としているということが取りざたされた。プラットフォームは中立だからこそ多くの人を呼び込めるはずだが、無料で運営されるITサービスの主な収入源は企業からの広告であり、中立性は脅かされているのではないかという疑念が常に付きまとう。記事が非公開化されたWELQでも、特定の飲食店について、アレルギーの可能性を指摘するなどネガティブキャンペーンともとれる記事が多くアップされていたのに対し、別の飲食店の料理は健康に良いなどと不自然に持ち上げる記事も存在した。

著作権侵害の「コピペ」やセンシティブな医療情報の質が担保できないことがDeNAのキュレーションメディアを揺るがし、元祖キュレーションサイトであるNAVERまとめもサービスの改善策を打ち出すなどキュレーションのあり方が急速に見直されているが、さらに根本的な問題であるプラットフォームの無責任さと、中立性を担保することの難しさは、これからもネットサービスにとっての難題であり続ける。

●大熊将八氏によるこちらの記事もどうぞ

「空売りファンド」は経済ジャーナリズムの救世主か?(ジセダイ総研/2016年12月14日更新)

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東京大学経済学部在学、決算書など公開情報の分析と現場取材を通して上場企業の意外な実態を伝えている。海外企業情報・メディア業界に関する分析や提言も多い。著書に『進め‼︎東大ブラック企業探偵団

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ジセダイ総研 研究員

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