シュガー・ラッシュ、ジャンゴ、人間仮免中。あっ、どれも良く考えたら「マイノリティが戦いの果てに愛を獲得する話」だったわ。そういうのが好きです。どれも皆、見終えた後にスカっとできる愛の詰まった作品です。
奴隷制の時代のアメリカ。黒人奴隷のジャンゴが白人賞金稼ぎのシュルツと組み、離れ離れになった妻を取り戻すべく次から次へと白人の悪者を殺してゆく。タランティーノの最近の作品に共通の「弱い者が強い者に復讐する」というストーリーラインのすっきりとした美しさに加え、悪いやつ(悪くないやつも)見境無くバンバンバンバンと撃って撃って撃ちまくるハイテンションさに、ビールジョッキ一気飲みしたような充実感とコクとキレ味を感じます。終盤の銃撃戦でHIPHOPがかかった時には、ブチ上がりすぎて軽くイきそうになりましたよ!!!! とにかくかっこいい映画が見たい! という人におすすめ。レオナルド・ディカプリオも良い味出してます。
作者本人が歩道橋から飛び降りる冒頭のシーンが超衝撃的で、そのまま一気に読みきりました。統合失調症から来る激しい幻覚や妄想、薬の副作用と長年闘ってきた漫画家(もとAV女優)・卯月妙子が、36歳にして出会った25歳年上の男性・ボビー(アダ名)との生活。投身自殺⇒顔面粉砕⇒そして過酷な入院生活と、息も吐かせぬ怒涛の展開がラストまで続きます。へろんへろんのギャグ・タッチの絵が余計にシュール(なぜこんなパースの狂った不穏な作画なのか。理由は、終盤に明かされます)。顔面グチャグチャになった作者を支え続ける、こちらも生きるのに不器用なボビー。私もメンヘラなだけに、側にいて支えてくれる人のありがたさが分かり余計に胸が苦しくなりました。傍から見たら不恰好な二人かもしれない。けど、依存だろうが統合失調症だろうが無職だろうがなんでもいい。愛してくれる人がいて、生きてたら人生満点。そう思える、胸がじんわりあったかくなる本。
セレクター紹介
小野美由紀(@MiUKi_None)ライターです。主にコミュニケーションや性愛、家族について取り扱うブログhttp://onomiyuki.com/ を書いています。個人活動として、3.11までの原発の歴史を絵本化する「原発絵本プロジェクト」http://live.teamepon.com/#id96を行なっています。
Copyright © Star Seas Company All Rights Reserved.