新しくなったジセダイ、リニューアル後初のU-25は、世にも珍しい「QRコードアーティスト」の登場です。20代前半にして独立し、すでに他人にマネのできないスキルを身につけてしまっているmeycoさん。今のお仕事に至る流れと、その活躍の秘訣について、伺ってきました。
取材・構成:今井雄紀
今井 今日は、よろしくお願いします! 実は、間接的にですが星海社ともお仕事して頂いているんですよね?
meyco はい。星海社FICTIONSおよび星海社文庫のカバーに、私の作ったQRコードを載せて頂いています。
今井 いやー、全然別口から紹介して頂いたのに、「meycoさんは星海社さんとも仕事してるはずですよ」と伺った時はびっくりしました。いつも、お世話になっております。
meyco こちらこそ、いつもお世話になっております(笑) 私もむちゃくちゃビックリしました。
今井 あはははは(笑) QRコードのデザイン、すごく独特でおもしろいと思います。どなたかに師事されて、勉強されたんですか?
meyco いや、全部自己流です。私、デザインの勉強とかほとんどしたことなくて……。
今井 それでこんなの作っちゃうんですねー。すごいな。何きっかけで、QRの仕事をはじめられたんですか?
meyco 最初は、QRコードのこと嫌いだったんですよ(笑) デザインするとき、いつも邪魔だなと思っていて……。できるだけ小さくするとかして対応していたんですけど、ある時、美術家の村上隆さんがルイ・ヴィトンのお仕事でQRコードをデザインされているのを見て衝撃を受けたんです。「こんな解決方法があるのか!」って。そこからQRをいじるようになって、美術系の大学に行ってたんですけど、その卒制なんかも、QRにちなんだものにしました。
今井 なるほどなるほど。そこからはもう、QR一筋で?
meyco いや、全然そうではなかったんです。普通にデザイン職でWeb制作会社に就職して、QRは趣味程度にやっていました。転機になったのは、Ustreamで……。「ソラノート」ってご存知ですか?
今井 わかりますわかります。Ustream黎明期に、「ダダ漏れ」と称して色んなものをライブ配信されてた方々ですよね?
meyco そうです。その「ソラノート」の企画に、「ダダ本」というのがあったんです。本の製作過程を打ち合わせからダダ漏れするという企画で、あるとき、「なにかソーシャルと連動する仕掛けを入れたですね」→「QRとかいいんじゃないですか?」→「私の知り合いにQRデザインしてる人間がいます!」という流れが起きて、この最後の発言をしたのが私の先輩だったんです。すぐtwitterでメンションが飛んできて、「ここの放送でお前のことが話題になっているから、すぐにポートフォリオ(作品集)を貼れっ!」って言われて貼ったら、見てた人がけっこう、「これはすごい!」と盛り上がってくれたんです。それをきっかけに、QRの仕事を頂くことが増えていきました。
今井 QRアーティストmeyco、誕生の瞬間ですね! 作品の優劣はともかくとして、けっこうやってる人いそうな仕事だなとも思うんですが、そんなことないんですか?
meyco 少ないと思います。うまく言えないんですけど、色んな機種で読み取れるように、ドットをひとつひとつ調整していくみたいなことをやるので、手作りに近いんですよ。割もそんなによくないし、あんまりオススメしません(笑)
今井 確かに、色んな機種でチェックするのとかすごい大変そう……。
今井 そもそもmeycoさんをご紹介頂いた方がシリコンバレーにいる方だったわけなんですけども、シリコンバレーで働いていらっしゃったことがあるんですか?
meyco ないですないです。1回行っただけです。
今井 それは、どういったきっかけで?
meyco 友達がFacebookに「サンフランシスコに行く!」と書いていたので、軽い気持ちで「私も行きたい!」と書いたんですね。そしたら、向こうにいる友人が「案内するよ」ってかぶせてきて、後戻りできなくなって……。まあいいやせっかくだし! と思って、行きました。
今井 さっきのUstreamのお話もそうですけど、「まずはのっかってみる」っていうの、意識されているんですか?
meyco あー確かにそうかもしれませんね。おもしろそうと思ったものには、とりあえずのっかるようにしています。そうすると、自分の知らなかった世界が開けて楽しいですし。異文化交流ゆえの、価値観の違いにぶつかることもあります。サンフランシスコに行った時も、現地の友達が普通にポイ捨てをするんですよ。「ちょっとぉぉ!なーにしてんのー!?」って言ったら悪びれる様子もなく「いや、こうやって街を汚さないと、清掃員の人の仕事がなくなってしまうじゃない。私たちはゴミを捨てることで、雇用を創出しているのよ」って言われて。みんなほんとにそう思ってゴミを捨ててるんですよ。これは日本じゃ考えられないなって思って。
今井 へー! それはおもしろいお話ですねー。確かに、「のっかる」と全然違う世界が見えてきますよね。僕も昨年、後輩にのっかってはじめて登山に行ったんですけど、どの高さから高山植物が出てくるとか、山小屋が何で儲けてるかとか、山頂で食べるカップヌードルがいかにうまいかとか、色んな発見がありました。
meyco 最初が刺激的だと、また行きたくなりますよね。私も今、もう一度、今度は数週間滞在するような形で、サンフランシスコに行きたいなと思っています。
今井 普段は札幌にお住まいで、たまに東京に行ったり、時に海外に行かれたりして、同世代でも、色んな人と会われてますよね。日本の若い人に思うことってなんかありますか?
meyco どうなんでしょうか……。あー、これ、偉そうな物言いになったら恐縮なんですけど……。
今井 大丈夫です! 聴かせてください!
meyco 日本の人は、肩書きと功績に弱すぎるかもしれません。「◯◯出身!」とか、「◯◯でインターン!」とか、「◯◯を“やった”人」とか。有名なところに入れるとか、大きな実績があるというのは、その方の努力の結果でしかないと思っています。ひとつの勲章ではあるけど、それだけでその人が今も優秀な人、あるいは今も面白い人であるという保証はどこにもないよねって。実績は、取った瞬間から過去のものなので。
今井 なるほど。もしかしたら、ずっと掃除してただけとか、すごいことをやったチームのコピー取りをしていただけかもしれませんものね。逆にmeycoさんが、人を判断する基準にされていることってありますか?
meyco そうですね。こういうお仕事をしているので、同業あるいはその周辺の方の場合は、「何を作っているか」を見るのが一番早いと思います。そういうお仕事でない場合や学生さんの場合は……。なんだろ、難しいですね。
今井 みんなそこが聴きたいです!
meyco (熟考して) 将来やりたいことを聴いて、かつ、今やってることを聴くのがいいんじゃないでしょうか? 面白い人、口だけじゃない人は、そこに矛盾がないですよね。もちろん、諸般の事情でどうしてもリンクさせられない人もいると思うんですけど。
今井 なるほど! それ、「言葉にできる」っていうのも、大事なスキルになりそうですね。未来と今が強く結びついてるのに、そこをうまく説明できないがために、チャンスを逃してしまうこともありそう……。僕も、いつでも説明出来る準備をしておかないと!
meyco そうですね。こう言ってる私も人からみたらどうかわからないので、気をつけたいと思います。今日は、ありがとうございました。
旅行、釣り、歌舞伎、ゴルフ、落語、フェス、キャンプ……なんでもいいので、人の誘いにのっかって、やったことないことをやってみましょう。きっと発見があると思います。
ぜひ直接、感想を聴かせてください。仕事のご相談もぜひ!
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