“10代の、10代による、10代のための擬似選挙サイト”、Teens Opinionを構想から1週間で立ち上げたのは、福岡に住む、17歳のVJ社長だった! なぜ彼はこのサイトを立ち上げるに至り、これから何を目指すのか? ジセダイ史上もっとも「速い」インタビューが始まります。これが“ゆとり”の完全体!
取材:柿内芳文・今井雄紀 構成:今井雄紀
今井 今日は、上京中の貴重なお時間を割いて頂き、ありがとうございます。
吉田 いえいえとんでもないです。福岡も寒いですけど、東京も寒いですね。こちらこそ、よろしくお願い致します。
今井 ありがとうございます。まずは、話題の「Teens Opinion」のことから伺っていきたいと思います。このサービスを作ろうと思ったきっかけはなんだったんでしょうか?
吉田 きっかけは、選挙の街頭演説でした。地元で街頭演説してるのを見かけて、「うるさいな。Webでやれよ」と思ったんですよね。それが、12/4です。
今井 「Webでやれよ」っていいですね (笑) サイトがOPENしたのが12/12ですから、たった8日間で作っちゃったんですね!
柿内 すごいスピード感ですね。今日のこのインタビューにしたって、「今から上京するかも」という吉田さんのTweetを見て、Facebookを使って初めてコンタクトをとったのが15時。そこから連絡をとりあって、この西麻布でお会いするまで数時間ですもんね。不思議な感じです。
吉田 そうですね。思い立ったらすぐやらないと誰かがやっちゃうので……。Teens Opinionにしたって、同じアイデアを持ってる人は、世界中に何人もいたはずなんです。あとは、どれだけ早く形にできるかの勝負でした。形にできないアイデアって、あんまり意味がないと思うんですよ。「俺もそれ考えてた!」って言うことほどダサいことないじゃないですか?
今井 たしかに。そういう意味では、誰もが自ら手を動かしてものを作れる人になるべきだと思われますか?
吉田 いえ、そうは思いません。大事なのは、「巻き込む力」だと思います。今回のプロジェクトは、僕がTwitterで、Teens Opinionのアイデアについてつぶやいたところから始まりました。いい反応がたくさんあったので、これは形にしなければと思い、いつもお願いしてる人たちとTwitter上で参画を申し出てくれた人たちに連絡をとって、構築を一気にやってもらって、リリースに至りました。一人で全部できる必要はないんです。大事なのは人に興味を持ってもらって、動いてもらえるかどうか。「アイデアはあるけど、つくる力がない」なんて聴くと、「じゃあその力、お前が引っ張ってこいよ!」と思います。
柿内 やらない人って、動かずにできない言い訳ばっかりしますもんね。
吉田 そうなんですよ。今回の選挙にしても、10代は10代で主張しないといけないことがあるはずなのに、「10代で選挙権がないから私は政治に参加できません」なんていうのは、ただの言い訳だなと思って。僕らにはWebという使い勝手のよいツールがあるから、それを使って何かを変えられたらいいなと思って作りました。
今井 もしかして、別に自分の手柄にならなくてもいいと思われてますか?
吉田 目的が達成されれば、手柄はどうでもいですね。巻き込む人も、多ければ多いほどいいと思っています。巻き込んで、当事者意識を持ってもらえれば、ソーシャルメディア上での拡散性も高まりますから。
今井 なるほどおもしろいですねー! 普段から、「10代の意見をもっと聴いて!」みたいなことを訴えるべく活動されているんですか?
吉田 いえ、そういうわけではないんです。僕の活動主旨は「10代に刺激を与えること」なんです。僕の世代って、完全なゆとり世代なんですよ。僕が小学校に入る時にゆとり教育がはじまって、僕が高校出る時に終わるんです。
柿内 「ゆとりの完全体」ですね!
吉田 はい。だから、競争って嫌いなんです。「あいつ100m走るの早いから、俺も速く走る」みたいなのって超ダサいなと思ってて。世間的にはダメな世代だと思われてるんですけど、今の時代には合った教育方針だったと思ってます。だってもう、みんなで同じレースに参加して、競争して生き残れば一生安泰だった時代じゃないわけですから。でも、大人たちの大多数ははまだ、その神話を信じてますよね。いい高校からいい大学に入って、いい会社に入れば大丈夫だって。
今井 ほとんどの大人がそうだと思います。
吉田 はい。でも現実はきっとそうじゃない。そういう時代になってるからこそ、色んな生き方があるはずなんです。自分の生き方を見つけるためにも、若い人はもっとちゃんと、好きなことやるべきだと思うんですよ。「音楽やりたいけど受験があるからやめる」とか、そういうのほんと勿体無い。自分が好きなことを好きなだけやればいいと思うし、僕自身がそれを実践することで、刺激を与えられる存在であり続けたいなと思っています。
今井 至極まっとうなお話だと思います。VJとして活動しながら会社も経営されてるんですよね? 高校に通う暇がないくらいご多忙じゃないですか?
吉田 単位制の高校に通っているので時間に融通はきくんです。勉強が得意じゃないってのも大きいですが (笑)
今井 いくつぐらいから、今のような活動をされてるんですか?
吉田 小6で映像を作りはじめたのが最初ですね。
今井 ファ?
柿内 うぇ?
吉田 小6です (笑) 5年前ですね。
柿内 5年前小6って……。なんだか複雑な気持ちになりますね。その時に、映像をやらずにはいられなくなる出来事があったんですか?
吉田 父親に連れられていったクリスマスパーティのオープニング映像を見て、「こんなの作りたい!!」と思ったのがきっかけです。当時はMacも家になかったので、まずは親に交渉するところからはじめました。買ってもらったMacで映像を作って、最初に発表したのが小6の時。同時期から、Apple Storeの店長さんに声をかけてもらって、レギュラーイベントをやらせてもらうようにもなりました。
今井 店長さんからすると、「よくくる変なちびっ子がいる」って感じだったんですかね?
吉田 まさにそうだったみたいです。Apple Storeでレギュラーイベントをやるってすごくハードルが高いことらしいんですけど、熱心に交渉してくださって……。本当に感謝しています。イベントも、今でこそたくさん来てくださいますが、最初はお客さん2人とかでしたから。
柿内 LUNA SEAの伝説みたいでかっこいいなー。
今井 いや、吉田さんLUNA SEAわからないですよ。親御さんは、反対されたりしなかったんですか?
吉田 すごく応援してくれました。そこも、恵まれていたと思います。
柿内 すばらしいご両親ですね。お父さん、おいくつですか?
吉田 42ですね。
柿内 よんじゅうに!!?? うちの社長&副社長と同じぐらいだ! あの2人、ショックだろうな……。
今井 そうしてVJとして活動を始められるわけですけど、その時はまだ「同世代に刺激を与えたい」という思いはないですよね? 活動がそういう方向にシフトしていったのは、どうしてだったんでしょうか?
吉田 それは……。どうしてだったんでしょうね。あんまり考えたことなかったです。
柿内 同世代の仲間はいたんですか?
吉田 いや、全然いなかったですね。だからこそ、かもしれません。同世代の仲間がいなかったからこそ、同世代に訴えたいと思ったんだと思います。
今井 なるほど。そうやって今の吉田さんが出来ていったんですね。しかしこれだけ目立ってると、批判を受けることもあるんじゃないですか?
吉田 すごいあります。ありますけど、名前はもちろん、何をしてるかも、年齢も、どこに住んでるかも、ヘタしたら性別もわからない人たちになんか言われて、それで足踏みするのとかほんと勿体無いことだと思ってるので、今はあんまり気にならないですね。むしろ、発奮材料になります。
柿内 星海社新書の『一億総ツッコミ時代』という本の中でも語られてるんですけど、みんなメタな視点からのツッコミばっかりなんですよね。気にしなくて正解だと思います。
吉田 よく「倫理的にちょっと」みたいなこと言われるんですけど、そうじゃなくて、「おもしろいか・おもしろくないかだろ」と思うんです。グレーなところ狙いにいかないと、新しいものなんて産まれてこないですよね。白いとこ=安全圏でやってるうちは、既存の枠組みの域を出ないと思います。
柿内 「倫理的にちょっと……」とか「法律が〜」とか言うやつほんとくだらないんですよ! まずその倫理とか法律を疑えよって話なんですよね。どこが白でどこが黒でどこがグレーかなんて、常時変わっていくんですから。
今井 家入さんもちょうど今日、「個人的な好き嫌いといった意見は尊重するけど、倫理的に正しい正しくないなんて意見は糞だと思ってる。議論する事は大事だけど。」ってTweetされてましたね。
吉田 そうなんですか? まったく同意見ですね。
柿内 これも『一億総ツッコミ時代』時代で語られてる話なんですけど、日本て「いいか・悪いか」なんですよね。「好きか・嫌いか」でいいのに、なんかみんなメタ視点なんですよ。Facebookの「like」の日本語訳も「いいね!」ですし。「いいか悪いか」の判断は専門家に任しときゃいいんです。
吉田 ほんとそうですよね! 好きか嫌いか、面白いか面白くないか、お前がどう思ったのかを言えよと思います。
柿内 みんな自分の意見じゃなくて、自分の立場からの意見を言ってるんですよね。ポジショントークはもういいよ! そういう人は、たとえ父親になっても父親としての意見しか言えなくなってしまうんだと思うんです。「子供にタバコはよくないからやめろ」じゃなくて、「俺が嫌だからやめろ」って言ってくれよと!
吉田 子供にも、絶対その方が響くはずですよね。
今井 そう思います。最後に、今後のビジョンについてお伺いしてもよろしいでしょうか?
吉田 しばらくはこのまま、「10代に刺激を与える」ということを続けていきたいと思います。ただ、興味がどこに向かうは僕にも予想がつかないので、今やってる会社も、来年にはやめてしまうかもしれません。自分がやりたいと思ったことを、その時々で自由にやれる状態でいたいなとは思います。よく「青春しなくていいんですか?」とか言われるんですけど……。
今井 「青春しなくていいんですか?」っておもしろいですね (笑) これが青春やっちゅうねん (笑)
吉田 いや、けっこうしょっちゅう聴かれるんですよ (笑)
柿内 完全に愚問ですね! こんなにいい青春ないですよ! 確実に自分の人生を生きてらっしゃると思います。このままぜひ、突き進んでください。
吉田 ありがとうございます。
ジセダイジェネレーションズU-25の紹介
1995年6月29日生まれ、17歳。株式会社セブンセンス代表取締役/VJアーティスト。2007年、小学6年生ながら VJ TKMiとして、VJアーティスト活動を開始し、AppleStore, Fukuoka Tenjinでのレギュラーイベント「THE RESONANCE」を主催する。2010年、ソーシャルネットワークTwitterで注目を集め、NHKの朝のニュース番組”おはよう日本”をはじめとした各メディアに”デジタルネイティブ”の一人として取り上げられる。2011年6月(当時 15歳)に「株式会社セブンセンス」を立ち上げ、代表取締役に就任。Webサービス・アプリ開発などを行う。同7月には日本のクラブシーンのイメージを変える為、学生主体のクラブイベント「CLUB of Noon」を立ち上げ。同イベントは、日中・ノンアルコール・ノンスモークで行われるクリーンなクラブイベントとして注目を集めている。2012年12月12日、10代のための疑似選挙サイト『Teens Opinion』をリリース。
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