星海社・広報宣伝の築地です。
去る2月1日(月)に神楽坂かもめブックスにて開催された星海社新書夜話「なぜ君は今すぐ中国人と友達になり、恋人になり、中国で人生を変えないのか?」。
登壇者は、大人気エッセイ漫画『中国嫁日記』の作者にして、このたび星海社新書『今すぐ中国人と友だちになり、恋人になり、中国で人生を変える本』を発刊しました井上純一さん、そして星海社の太田克史(本書担当編集)。
本書内容にまつわるお話はもちろん、中国在住の井上さんだから語ることができる、とことんリアルな中国の現状。
満員御礼! 休憩無し! 2時間30分ノンストップのイベントレポートをどうぞ!
左から太田(星海社)、井上純一さん、大里(星海社)
太田:『今すぐ中国人と友達になり、恋人になり、中国で人生を変える本』皆さん、読んでくれた方どのくらいいらっしゃいます? 元々この本はなぜ星海社新書から出たのか。こちらからまず話をしましょうか。
井上:その話をします?
太田:はい。元々もちろん井上さんは作家として存じ上げていたのですけれど、最初に会ったのは三田誠さんからメールが届いて、「太田さん、井上純一さんってご存じですか?」と。勿論、存じ上げていますと。「井上さんと太田さん、ちょっと会わせたいんですよね」と言って、それで何でですか? と聞いたら、「井上さんは今、人生に非常に迷っているんです」って。
井上:そんなこと言ってたんですか。
太田:言ってた。井上さんは「俺はずっとオタク道を邁進して、孤独に一生を終える。すごく大ヒットを飛ばすこともないけれど、好きな道だけ行ってその辺りからだけは尊敬されて人生を終えるという風に人生設計したと思ったら、月(ユエ)さんっていうすごく可愛い中国人の女性と結婚してうっかりその4コマ漫画を始めた。そうしたらあれよあれよという間に大ヒットを飛ばし、人生がそれまで考えてもみなかったそっちのレールへガチャンガチャンと繋がれていって、はい50万、60万、80万部突破みたいな感じになって……というのが俺(井上さん)の今までの人生。そしてこれからの人生、どうなるのか。」で悩んでる、と。そんな時に僕が好き勝手にロールプレイングゲームの企画をやっていて、そういう僕と会わせると井上さんはまた何か新しいものに目覚めたりするんじゃないかなと友人として思うので、一回会って欲しいと言われたんですよね。僕はぜひとも会いましょうと言って、神楽坂で会ったんですよ。その時、普通にロールプレイングゲームの話などをすると思うじゃないですか。最初、もうどうしてか分からないんですけど、僕の過去の被ストーカー歴の話を延々と。
井上:そう、延々とね。ここで言うと1時間ぐらい潰れるような。
太田:実際に2時間潰れた(笑)。
井上:俺はさぞかし初対面の人と会うと喋るだろうと思うかもしれないけれど、俺はその人の話しか聞かないんですよ。
太田:そう。ずっと聞いてくれて、僕も調子よく過去、いかにヤバイ目にあってきたのかという話を滔々と話して。そこでお話させていただいたのが最初で、その時からいつかご本を是非みたいな話はしていたんですよね。それも、活字の本でお願いしたいとその時リクエストしていたはずなんですよ。
井上:なんかね、本を一冊書けと。しょうがないから前書きだけ書いたんです。
太田:そうですそうです。
井上:中国を紹介するみたいな本。
太田:前書きがまた良い文章で、しびれました。で、問題はその後なんですよ。
井上:まったくものを書く暇がない。
太田:そうなんです。例の借金問題が出てきちゃって。井上さんは(日本へ)帰ってくるときに律儀に会ってはくれるんですよ。でも話は、借金の話しかしない。だから俺はいつになったら本の打ち合わせができるんだと思ってて、それが1年ぐらい続きましたよね。
井上:半分……いや、ほとんど俺が悪いんですけどね。人を信じるってことは0か100かなんですよ。
太田:これね、井上さんネットで誤解されているんですけど、僕はなんで井上さんのことを悪く言う人がいるのか分からないんですよ。あのね、井上さんはAさんのこと悪く言ったことなんて一回もないんですよ。あの、Aさんというのは借金の元凶の人なんです。けど、僕がそう言うと悲しそうな顔して「俺は今でもAに騙されていないと思ってる」って言うんです。
井上:だから、騙されてないですよ。
太田:ほらほら! 良い人だわ、本当に。なぜ僕が活字の本をお願いしようと思ったかというと、漫画はもうすでにKADOKAWAさんとか一迅社さんとかメディアワークスさんでいい仕事をされているなと。もちろん、漫画も描いて欲しいんですけれど、やっぱり中国というこれからの日本人にとってすごく大きな存在で、そこに井上さんという僕たちと同じようなオタク的な感性を持ったほぼ同年代の人が何の因果か住んでいて……。そういう状況って貴重ですよね。だから中国について何か話を聞きたいという時に、難しい人が出てきて重苦しいだけのコメントを言ったりする現状に対して、なんか僕はもったいないなと思ったんですよ。それで活字の本を出せば、中国に何か起こった時に井上さんが文化人的な立ち位置として、何かコメントの仕事依頼が入ると思って。
井上:それはないなぁ。
太田:あると思いますよ?
井上:僕は中国語がしゃべれないですからね。要は中国語が喋れて、中国人にもっと親しんでいて、もっと中国に対して詳しい人が他にたくさんいるんですよ。
太田:でも僕らと同じような目線で、同じような感性で中国に住んでるのは井上さんぐらいだと思います。それはすごく価値があることなんですよ。それで、ぜひ執筆をお願いしますとなってから随分間が空いてしまったんですけど、その借金問題で延期になった。でも、最後はむしろその借金問題で本になったんです。というのもライターとして多大なるご協力を頂いたチームバレルロールの小太刀右京さんから連絡があって「太田さん、友人として今の井上さんの苦境を一緒に救いましょう。俺らがライターで入りますよ。売れる本を作りましょう。」と言って、「それは男気あるわ。」って。ただ、売れるかどうかは未知数でしたけど(笑)
井上:売れる本にするならもうちょっと違ったタイトルを……。
太田:でも発売して即重版ですよ!
井上:びっくりしました。そんなにたくさん中国に行きたい人がいたのかと(笑)
太田:中国で人生変えたい人が、たくさんいたんですよ! 僕、一人ぐらいかと思ってた(笑)
井上:そう、太田さんが「その一人のための本です」と。
太田:そうそう。実はそう言っていたみたいですね、僕。ただ、僕は全部忘れているんですよ。こんなやりとりしたのかなーって。
井上:したよ! 全部あんたが言ったこと書いてる!
ー会場(笑)
星海社新書『今すぐ中国人と友達になり、恋人になり、中国で人生を変える本』巻頭マンガページより
太田:こうして井上さんを活字の世界に引き込んだんだけど、ひとつだけ苦慮していて。それは、井上さんの奥様である月さんのことです。井上さんがひどい目にあうのはカッコいいかなぐらいに思うし、男の子に生まれたからには一回ぐらい国家を敵に回して戦ってみたいじゃないですか。でも、月さん、そして月さんのご家族がひどい目にあうのは避けたいですからね。そこは編集者としても守りたい部分ですね。
太田:次は中国の暮らしのこととか話してみますか?
井上:そうですね。中国は繰り返し、ひとつの中国だって言うんです。我々はひとつだと。中国だけなんですよ、民族で縛るのは。「日本民族」って言わないでしょ? 「日本人です」と言う。でも中国は「中国人」ではなくて「漢民族です」と言う。それがこの本につながっているわけです。つまり、「身内」という考え方。
太田:ようやくきた! 長かった! 本書に関わるその話をしましょう。
井上:「身内」という概念に国家レベルですらそこに落としこむ考えを持たないと大変なことになる、と習近平(中国国家主席)もわかっているんです。それどころか、これまでの中国の統治者は常に思っていた。要するに「身内」を作らなければならないと。ありとあらゆる民族を「身内」にしないといけない。チベットで「民族浄化」というようなことをやっているでしょ。あれはもちろん多くの人が文句を言っているけど、習近平にしてみれば、なぜ文句を言われるのかわからないのですよ。
太田:つまり、彼は良いことだと思ってやっている、と。
井上:そうです。みんな「身内」になれば平和じゃないか。自分たちはチベットを「身内」にしているのだから、どうして騒がれるのかがかわからない。良いことしてるんだ、と思っている。中国人はナチュラルにそう思っている。
太田:(中国の)内側の人は、ということですよね?
井上:そう。例えばちゃんとそれまで通ってなかった電気も通ってるし、鉄道も通った。ホテルもできて、観光客も増えた。個人の収入も上がった。それで十分ではないか、と。
太田:習さんは、(中国の)内側の人は、たとえばチベットの人たちはなぜ焼身自殺という無謀な行為に走るのか、ウイグル自治区の人はなぜすぐに危険な自爆テロを起こすのか、と、本当にナチュラルに思っているということですよね。
井上:そうです。
井上:日本では、国家というのは我々が住んでいる世界では新聞やネット上の存在ですよ。でも中国に行くとネットが圧迫されてます。例えばVPNという、この本のなかでも言及している暗号装置を使って日本と通信しないと、もしくは通信していたとしても、そこに国家から負荷が掛けられる。それがないとそもそもツイッターが覗けないということは、向こうに行けば誰もが感じるんですけど、悪意が向けられているんですよ。誰からの悪意かというと、国家からの悪意。「お前らは犯罪者だ」という国家からの悪意が。「国家がおまえを捕まえる」というのが見えているんです。それは警察権力ではなく、直接の国なんですよ。
太田:まさに国家権力ですね。
井上:その悪意が「見える」恐怖というのがあるんですよ。そして一部の表現者は戦うわけです。彼ら表現者がやっていることは、れっきとした戦争です。我々のように平和ボケした人、もしかしたら違う人もいるかもしれないけれど、でも戦場にいるわけじゃないでしょ。国のことを考えるときに、我々日本人が考えることは税金が上がる時とかそういう緩い段階ですよね。中国はそうではないんです。常に中国では、中国という「国」を身近に感じる。それは自分の「敵」としてね。
太田:僕は少し前に安彦良和さんと東浩紀さんの対談イベントに参加したのですが、お二人がそのことを話していましたね。二人とも必ずしも日本の徴兵制の否定議論については反対ではないんです、と。今はあまりにも個人の権利が尊重されすぎていて、国家が悪意を持って個人を弾圧するということに日本の若い子がリアリティを持てなくなっている、と。だから徴兵制ではなくて、国家ボランティア制度みたいに名前は変わるとしても、国家が若い個人の自由を奪うんだということを知らしめる議論が活発に行われるぐらいのほうが、かえってショック療法になるんじゃないか、というようなことを仰られていたんです。
井上:それはわかります。だけど、そんな必要はなくて、ただ中国に行けばすぐわかる(笑)
太田:なるほどね(笑)。いよいよ本の核心に迫ってきましたね。
井上:中国に行けば「この国はダメだ」とすぐに分かる。ところが中国人になると、今度はわからない。なぜかというと、中国は中国の中だけで完結するサービスを受けている限り、何の問題もない。
太田:例えば検索エンジン。グーグルはないのに問題ない?
井上:「百度(バイドゥ)」がある!
太田:ツイッターはないけれど「微博(ウェイボー)」はある。
井上:そう。様々なサービスを比較しているサイトもありますけど、例えば中国語を使うことにおいてはアップルの真似をしている「小米科技(シャオミ)」のOSの方が性能が上なんですよ。
太田:中国語しか使わないならそれで十分だ、と。
井上:そう。中国OSを使う上では小米科技のOSは良く出来ている。それは堀江貴文さんも認めていたはず。
超満員の会場の様子
太田:中国のネットはある種の巨大な「イントラネット」です。国境を越える「インターネット」ではない。中国の外に繋がる必要性が特に無い。
井上:だから、中国人はわからないんです。でも、日本人が行けば分かる。これはダメだ、と。中国は巨大な箱庭のようなものです。中国人だけで世界を形成しようとしていることがネットだけで分かる。仮に引きこもりでも分かる(笑)
太田:圧倒的大多数の人にとっては外の情報なんて必要じゃないんですよね。それは日本人である僕たちもそうで、英語のサイトとかロシア語のサイトとか普段見ないですよね。一般の庶民には必要ないんですよ、はっきり言うと。
井上:そうそう。だから関係ないんですよ。
太田:それよりもここ十数年の劇的な経済成長で村に一台しかなかった電話機が、みんなが持てるスマートフォンになった。ここには圧倒的なリアリティがあるわけですよね。
井上:それに中国人は、テレビが伝えることを素直に信じていたりする。中国のテレビでは「中国はナンバー1である」、「中国人によってこの世界はこんなによくなりました」、「中国人はこんなに優れています」というようなことは実は伝えていないんです。むしろ「中国人はあちらこちらで迷惑をかけてます」みたいなことを伝えている。海外旅行に行った時はマナーを守りましょう、とか。
太田:ホテルの枕を持って帰らないようにしましょう、とか?
井上:そうそう(笑)
井上:この本には中国に行った方が、そして中国に住んだ方が(中国を理解できて)良いですよ、と書きました。だけど、本を書いた時とはまた事情が変わってます。少なくとも深セン地域はものすごい勢いで地代が上がっていて、1年前の約2倍になっている。簡単には住めなくなっている。
太田:井上さん、あの時の借金を全部不動産につぎ込んでいればよかった! みたいなことを言われるんですよ。そんなこと言われても(笑)。でも、そういう話が井上さんの口から出てくるということは、中国はバブルの最終局面なんです。
井上:だって二束三文みたいな部屋の賃料が2倍や3倍になった、なんてよく聞きますからね。俺がいま一番恐ろしいのは、借りている部屋の家賃が次の更新でいったいいくらになるのか。これ、リアルでしょ。
太田:倍って言われてもおかしくないですよね。
井上:それと最近、株が爆下がりしている。「株は貧乏人がやること」という風に、中国ウォッチャーで少し名のある人ならみんなそう言ってます。中国が本当に大変なことになるのは、深センの土地が爆下がりした瞬間ですよ。
太田:みなさん、メモ取りました? 今、(このイベント参加費)2000円の価値、絶対にありましたよ!
ー会場(笑)
井上:あとは香港。香港では俺が知っているオタクショップがみんな撤退しつつある。地代が高いからやってられない、どうせ安いものしか売らないし、貧乏人は金を出さない、と。そうすると多くが金持ち相手の商売になってしまう。
太田:オタクの悲しみが……。
井上:それで、小洒落た喫茶店やらブティックやら、立派な靴屋などができたりするんですよ。そんなに服いらないだろって(笑)。そんな服よりも偽物のガンプラが必要だろ! と言いたい(笑)。
太田:ではそろそろ「中国人と友達になって、恋人になって、中国で人生を変えられる」の本質に迫りましょうか。
井上:その点はね、実はこの本よりも『課長島耕作』の中国編にしっかり書かれてます(笑)。とあるデキる外資系の役員が中国にやってきて、中国人のコーディネーターに「中国語の翻訳者は必要ないから、女を紹介しろ。それも日本語ができない女がいい」と言う。そしてその女と付き合って中国語を覚える、という描写がある。これがね、さすが島耕作ですね。これ以上に中国語を覚えられる方法はない。日本語ができない中国人の恋人を作る。ただこれはある程度資産がないといけなくて、素人にはおすすめできない(笑)。
太田:すごくわかります。
井上:でしょ。たぶん大失敗を何度もすると思うんですけど、これはすごい勢いで中国語を覚えますよ。そして俺はこれができない(笑)。
太田:月さんが日本語を喋ることができるから!
井上:そう! 月は日本語完璧ですからね。ただ、最近日本に来てわかったんですけど、月はすごい勢いで日本語を忘れている。例えばメールなどで、冗談ではなく「いってらっしゃい」を「いてらさい」とか書いたりするんですよ。それとか、濁点などを打つ位置がバラバラになっていたりする。
太田:常に鍛えてないとダメなんですね。
井上:だからみなさんも出来るのであれば、中国人の彼女を作ることをおすすめします。
太田:説得力ある(笑)。
きわどい内容も飛び出し、終始テンションの高いトーク
井上:余談だけど、『ダーリンは外国人』(KADOKAWA)に登場するトニーさんにお会いした時に「あなたはもう少し中国語を覚える努力をしたほうがいい」と真顔で怒られた(笑)。
ー会場(笑)
井上:トニーさん、にこやかな笑顔で言うんですよ。冷たい一言を(笑)。俺があまりにも中国語を覚えなさすぎるって。彼は一気に全部を覚えようとするのではなく、聞いた単語を少しずつ覚えていけばいい、と言っていました。例えば中国語の新聞を読むとき、その時に意味を理解しようと思って、なおかつすべての意味を理解しなくていいんだ、と。知ってる単語だけ拾い読みをしろ、と。トニーさん、良いこと言いますよね。
太田:井上さん、それをなんで実践しなかったんですか(笑)。
井上:(笑)。でも俺は映画館ではそれが出来るようになった。中国語の字幕を見つつ、音声の英語を聞いているとなんとなく意味がわかる。すると何が起こると思う? 頭のなかで後で思い返した時に、英語で聞いてるのに日本語で変換されて思い返されるの(笑)。だから、俺はつい最近の『スターウォーズ エピソードⅦ』は中国でしか見ていないんだけど、俺の頭のなかには、俺にしか無い『スターウォーズ エピソードⅦ』台詞がいっぱいある!
ー会場(笑)
井上:それと、もう廃刊してしまったんですが「中国語ジャーナル」という雑誌に「中国語の棚を作れ」という言葉がありました。中国語という棚を心の中に作り、その中にすべて入れていく。わからなくてもいいんだ、と。その中に入れてる間は俺は中国語を勉強したんだという気になる、と。「俺は本当に中国語ができなくて」という意識が一番良くない状態で、中国語がどんどん離れていってしまう。そうではなくて、中国語の棚を作り、一つ一つ積み上げていく。それと、水木しげる先生も良いこと言っていました。水木先生が晩年に描かれたエッセイの中で「また今日も水木さんは一つ頭が良くなった」という台詞があるんです。まさにこれですよ。「また今日も一つ単語を覚えた。今日はもうこれで十分」、と。それこそが大事で「今日はもうこれで十分」でも、一つは覚える。365日やれば365語覚える。
太田:すごくいい話ですね。
井上:なぜここまで言えて、俺はできないのか(笑)。
ー会場(笑)
井上:あと、これは月がやっていたんですけど、書きながら喋る。月は日本語を書きながらずっと喋り続けるんですよ。喋ることが重要で、喋りながら書いていると覚える。このおかげで月は日本語を覚え、最後には日本人と結婚した(笑)。彼女が俺と結婚して良かったかどうかはわからないけれど。常に思ってるんだけど、月は(俺より)もっといい人と結婚できたんですよ。まず、顔はいいですからね。あまり自分の嫁さんを美人というのも気が引けるけど(笑)。それと、月はまだ若い。もっといい人と結婚できたんですよ、本当は。
太田:いやいや、良い人と結婚したと思いますよ! (井上さんと月さん)お互いにね。僕ね、井上さんと話していて困るときがある。井上さんはいかにも昔気質のイヤなオタクらしいところもあるし、面倒くさいところもある。だけど井上さん、善人なんですよ。「善男善女」の「善男」ってこういう人なんだろうなって思います。だから本当に月さんは良い人と結婚できたと思います。逆に月さんについては『中国嫁日記(五)』の書き下ろしページを読むとわかりますが、本当にこんな良い女性がいるんだなって、心底思います。
井上:ありがとう(笑)。それと、国際結婚をするときには絶対に無視してはいけないことがある。そのひとつは言語です。愛は言語を越えることはない。
太田:名言来ましたね!
井上:言語が重要ということは月も言っていて、言語の通じない人間と付き合うことは出来ない。だから必死で中国語を覚えるか、もしくは覚える姿勢を見せないといけない。
太田:井上さんは見せたのですか?
井上:月が日本語できるからまったく見せていない(笑)。そしてもうひとつ言えることは、変化を恐れないことです。何かおかしなことが起こったら、それを面白いと思える精神力を持っているかどうか。例えば、我々日本人が「日本」というものを押し付けると、だいたい失敗します。
太田:月さんの料理とかがそうですよね(笑)。
井上:そうだね(笑)。でも、味噌汁にシャンツァイ入れるのだけはやめろって言った(笑)。シャンツァイって煮ると大変なことになるの(笑)。
太田:(笑)。でも、ブログを見ていると月さんの料理食べたくなります。
井上:それはレシピ本出したいってこと?
太田:そう、出したい! 月さんのレシピブックを星海社から出したいなって。みなさんも読みたいですよね!?
―会場一同拍手!
太田:それはそうと、井上さんはネットですごく嫌われてるじゃないですか。
―会場(笑)
太田:この本にしても、アマゾンレビューとか、どうしてこんなに悪いのっていうくらい(笑)。この本の発売日翌日からすでに3つぐらいレビューが上がっていたんですけど、星1つ、2つみたいな(笑)。
井上:そうだね。あれのおかげで絶対にレビューの満点が取れないんですよね。
太田:ネット右翼的な人が「中国人と恋人になるとか絶対にお断りです」とか、「こんなことを安易に広げてどういうこうだ」とか、言っている人がいる。だけどそれは違うと思うんですよ。
井上:そう。逆なんですよ。
太田:「敵を知り、己を知れば」なんだから、あなたたちのような愛国、右翼的な考え方の人こそまさに「中国人と友達になって、恋人になって、中国に行くべき」なんだと思う。そして内部から体制を崩壊させるのだと(笑)。
―会場(笑)
太田:でも僕は今回、この本を井上さんと一緒に作らせていただいて、大きな話でいうと良いことをしたなと思います。
井上:これを読んで、ここにいる人たちだけでもこれから中国と仲良くしていこうって思って頂けるとうれしいですね。中国人に対して「ここさえ抑えておけばいい」というポイントは、実はそれほど多くない。そのポイントは、実は身近にあるんです。それを知るだけでいい。中国人に近づいて、中国人のことを理解していくうちに「ここがポイントだ」というのが見えてくる。
太田:実は今日のイベント、井上さんの帰国がいつになるかわからなかったので、開催の一週間前に告知を始めました(笑)。にもかかわらず、満席です! みなさん、本当にありがとうございました。この本を作った後「第2弾は?」ってライターの小太刀さんに聞かれたんですよ。僕は、この本の出来がとてもよかったので、第2弾は出しづらくなるんじゃないかと思っていたんですけど、今日井上さんがすごく良いことたくさん話してくれたので、いまの僕は第2弾いける! と思ってます(笑)。第2弾、やりましょう!
かもめブックス店内に、井上純一さんサインイラストを描いて頂きました! みなさん、ぜひお店で見つけてみてください。
◎井上純一さん、「ライフハッカー[日本版]」に登場! 中国人と仲良くなりたい方、必見!
『中国嫁日記』井上純一さんの「中国人と仲良くなる方法」。プレゼントが一番効く理由とは? | ライフハッカー[日本版]
◎発売後、即重版! 好評発売中!
星海社新書『今すぐ中国人と友達になり、恋人になり、中国で人生を変える本』(井上純一)
著者:井上純一
定価:820円(税別)
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