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イベントレポート

【日本中の人事に嫌われてもいい!】就活が楽になるコツを、元リクルート人事が解説

2016年11月17日 更新
【日本中の人事に嫌われてもいい!】就活が楽になるコツを、元リクルート人事が解説

※本稿は、過去好評だった記事の再掲載です。

こんにちは。星海社の編集者の大里(@seikaisha_ost)です。

2015年2月に開催された「就活こわくない会議@B&B」のレポートをお送りします。

登壇者は『内定童貞』の著者でありライター/ネットニュース編集者/PRプランナーの中川淳一郎(@unkotaberuno)さん、『就活後ろ倒しの衝撃』の著者で株式会社人材研究所の代表取締役社長 曽和利光さん、『内定童貞』担当編集で『ジセダイ』編集長 今井雄紀(@seikaisha_imai)の3名。

新卒採用が正式に開始されたいまだからこそ、読む価値のある内容です!

日本中の人事に嫌われてもいい覚悟で言います!

今井:星海社の今井です。『内定童貞』という本を担当させて頂くにあたってひとつ問題がありました。それは、中川さんが就活の専門家ではないということ。じゃあなんでお願いしたんだって話なのですが、それは後ほどお話するとして、就活のプロに監修をお願いしないとということになりまして......。

中川:そうなんですよ! オレは就活についてはど素人だから!

今井:ですね(笑) だからこそ、誰にも気を使わず、本当に伝えないといけないことが書けるわけです。人材業界に嫌われても、日本中の人事に嫌われても、中川さん食いっぱぐれないですもんね。

中川:ぜんぜん嫌われていい! 一発焼き畑農業かましてやろうとしか思ってないんで!

曽和:僕はどうなるんですか!?

中川:曽和さんは......えっと......大丈夫。ひどいところは全部私が引き受けます。

今井:頼もしい......! というわけで監修をお願いしたのが、今日いらしていただいている曽和利光さんです。今日はそんな2人に、就活なんて大したことないんだよ。こわがらなくていいんだよというのを、お話しできればと思っております。

中川曽和:よろしくお願いします。

今井:簡単におふたりのご紹介を。ライター/ネットニュース編集者/PRプランナーの中川さんは、一橋大学を卒業したのち、博報堂に入社。今は編集者、PRプランナーとしてご活躍されています。会社をやっておられまして預金通帳を見せてもらうとですね、見たことない金額が並んでいます。

中川:いきなりフリーじゃだめですよ! 1回就職したからそうなったんですよ! 就職するといい人生が待ってるよということなんですよ! 今日は超真面目にやりますからね! 3人で!

今井:曽和さんは株式会社人材研究所の代表取締役社長で、日経電子版の超人気連載『シューカツ都市伝説を斬る!』も執筆されている方です。京都大学を出て、新卒でリクルートに入社。人事部配属となり、程なくして、新卒採用担当責任者になられます。僕がリクルート本体の面接に落ちた時の新卒採用課長なんです! 僕はこの人に祈られたわけですよ! 憎い!

曽和:いや、僕が直接落としたわけじゃないんで(笑)

今井:そうですね。曽和さんに面接してもらう前に落ちました。曽和さんはその後、ライフネット生命総務部長(人事も含む)、オープンハウス人事責任者を経て人材研究所を立ち上げられています。大企業からベンチャーまで採用担当を経験してこられた、採用のスペシャリストです。

僕はと言うと、星海社で編集者をしております。龍谷大学という、関東でいう日東駒専ぐらいの偏差値の大学を出たあと、リクルートメディアコミュニケーションズ(現リクルートコミュニケーションズ)に入社。1年目は、みなさんが使っているであろう「リクナビ」の営業もしておりました。

8/1、内定者はみんな浦安にいた!?

今井:今日は事前に集めた質問に答える形で進めていきたいと思います。まずは就活後ろ倒しになってどういった影響がありますか? ということを曽和さんにお伺いしたいのですが

曽和:後ろ倒しっていうのはみなさんご存知ですよね? 企業の採用活動が3年生の12月から、3月になったのと、選考開始が4年の4月だったのが8月になりましたと。最初、選考開始が8月ってほんとに大丈夫なのかなという話がありました。夏の暑い時期にスーツを着ることになります。

今井:大変ですよね。

曽和:これは表面的には短期化と言われています。10月1日内定というのは変わらないので、後ろ倒しになった分だけ就活とか採用活動を短期集中しないといけないと。ところが、これって経団連加盟企業だけの話なんですよね。それ以外のメガベンチャーや外資企業はもともと関係ないので、例年通りにやってます。これは、別に悪い事してるわけではないんです。

中川:世間的に「解禁!」と言われている8月1日より前に内定出ちゃってる人もいるわけですね。でもどうせそいつ、電通に通ったら電通行っちゃうんでしょ?

曽和:その可能性は高いですよね笑 採用担当者は、それをエア内定承諾って呼んでいます。彼らもわかっているわけです。内定は一定数出したけど、いずれ3分の1くらいになるだろうなと思って採用活動を続けてるわけです。

今井:不毛で悲しい......。

曽和:いま、就活で一番人気って総合商社ですよね。あのへんは8月を守るんです。となると、そこまで就活を終えずに引っ張るって人が一定数いるわけです。そうすると表面的には短期化って言っても、結果的には長期化します。採用側も早く内定をだして、フォローを続けて、ひょっとしたらあいつ裏切るんじゃないかと疑心暗鬼になりながら......。

今井:たしかに。

曽和:内定者フォローっていますごくて、今年は8月1日が土曜日なんですけど、聞いた話ではディズニーランドのまわりのホテルを、企業がけっこう抑えてるみたいです。おそらく「1日来い」ってなってて、夢の国で遊ぶんでしょうね。もう就活はやめなさいと。今日は就活終了のお祝いだと。採用側も大変で、就活生側ももちろん大変なんです。一気にやってくれりゃあ比べられるわけですけど、いま内定を受諾してもまだ他の企業のほうがいいんだろうかと迷います。違うんだけど嘘で言っちゃったら罪悪感もあるし。学生もかわいそうなんです。それいま就活後ろ倒しで起こっている状況なんです。

志望動機を聞くやつはアホ!

今井:次の質問で「志望動機なんてないんですけど」というのがあります。みなさん知ってる会社から探すはずなんですね。僕も実際そうだったんですけど、社名知ってるところ、BtoCの会社から。カゴメがどうとか、一応採用Webサイトを見るんですけど、いちいちもっともらしい志望動機は作れないですよね。

中川:だいたいカゴメ受ける奴は「私はトマトが大好きです」とか書いてるんですよ! こんなことばっかりですよ。

曽和:そうですよね(笑) でも僕これ聞くほうが悪いと思っていて、すごい強い言葉じゃないですか、志望するって。こころざしてのぞむって。初期の選考でこれ聞くってアホだと思っていて。

中川:アホアホ。

曽和:例えて言うなら、合コン行って、会ったばっかりの女性に、「なんでお前俺のことすきなの?」って聞くようなもので、きもいですよね。女性からしたら「え、まだ好きじゃないですけど」ってなりますよね(笑) 

中川:まあせいぜい「顔がちょっとタイプだった」程度ですよね。それが食品メーカーでみたいな話ですよね。

曽和:だから聞いていいのは、「どんな人が好きですか?」じゃないですか。だから僕は選社基準って言っているんですけど、会社選びの基準とか、仕事選びの基準とか、っていう風に聞けばいいのに、志望動機という言葉が流布しすぎていて。人事に聞いても、なんで俺のこと好きなの? とか思ってないんですよ。会社選びの基準とか、仕事選びの基準とかを聞きたいのに、志望動機を聞いちゃってるっていう変な状況になってるんですよね。

中川:なんでこうなるかって言ったら、素人人事がいっぱいいすぎるからなんですよ。素人人事って何かっていうと、現場の営業とかマーケティングとかをやっている人間に「お前面接出てくれよ」みたいな話がまず来ます。とにかく多数の学生をさばかなくてはいけないので、人事部だけじゃ手が回らない。で、そいつも普段は人事なんてやらないものだから、「志望動機を聞かなきゃいけないのかなァ......?」って思っているというのがあると思うんです。

曽和:それはあると思います。僕はリクルートの時は逆に志望動機は絶対聞くなって言ってましたから、2ちゃんねるとかみん就に「リクルートぜんぜん志望動機聞かねえ」みたいにいっぱい書かれてしまって。聞いたって結局、事業説明が返ってくるだけなんですよね。「人生の節目節目で情報提供することによって、自分らしい人生を送るお手伝を」みたいな。

中川今回の本ではそういうこと書く奴は馬鹿だ死ねって書いたんです。

曽和:そうですね(笑) そういうこと聞いてもほんと無駄だと思っていて、だからエントリーシートでも無視して選社基準書いておけばいいんですよ。「私はこういう人生を送ってきて、こういう価値観です。なのでこういうのが選社基準です。それがこういう部分で当てはまると思ったから来ました。」くらいの感じで十分ですし、人事もそれで納得だと思いますよ。志望動機とエントリーシートは撲滅したいですね。

中川:なんかね、ここで小さく始めてるんですよ、「志望動機死ね」運動を。これが燎原の火の如く広がることを僕らは期待してますね。

曽和:ほんとにそうですよね。いろんなところで言いまくってるので。

中川:志望動機を聞いた会社を晒すサイトを立ち上げて馬鹿企業リストを作りたいくらいですよね。

曽和今井:ガハハハハハ(笑)

今井:いまちょっと気になったんですけど、曽和さん「みん就」見られてたんですね。

曽和:途中まで見てました。途中から「面接行ったら曽和っていう、大仏みたいな人が来た」と書かれて心が折れました(笑)

OB訪問に学歴フィルターはない!

中川:リクルーターのアプローチってどういう感じでくるんですか?

曽和:それはですね。基本的に紹介なんですよね。内定者に、まわりにいいやついないかって聞いて、じゃあそいつ紹介してみたいな感じで。ふつうにそれだけなんですけど、場合によってはそこで紹介してもらった人に紹介を頼んだりして数珠繋ぎに。というやり方ですね。

中川:そういう時は採用と関係があるとは言わないんですよね?

曽和:警備員さんに捕まった時に、「いや、OB訪問です」と言えるように出身大学とかにしてるんですよね。

中川:企業から学生に声をかけるときはどう切ってるんですか?

曽和:社員の卒業大学でセグメントしているのが多いですよね。

今井:社員は自分の出身大学の学生にしか声をかけれないけど、学生側から社員に声をかける場合は、自分の大学とか気にする必要ないですよね。

曽和:それはぜんぜんいいんじゃないですか。

中川:オレも、博報堂いた時に採用担当でリクルーターやってたんですけど、ぜんぜん違う大学のやつが来て、「なんか中川さんって人に会うといいって言われて〜」ぐらいでも会うんですよ。上智だろうが駒沢だろうが。オレの電話番号知る努力をしたっていうところを評価したいし。会社の人事も、そこまでやるやつは会っていいからって。

曽和:それはどこの企業もそうだと思います。自分の大学のOBだけに会うっていうのはもったいない。ほんとに学歴だけでとりたいと思ってる人なんてぜんぜんいないんですよね。リクナビは会員が60万人いて、メッセージ送ろうとすると一通30円。もし学歴フィルタリングをしないとなると、一発で1800万かかっちゃうわけなんです。そんなお金はもちろんないので、どうにかして選ばなきゃいけない。だから仕方なくやってる。でもそれは企業からアプローチするときの理屈であって、来たものに対して拒むという会社はあまりないんじゃないかと思います。

今井:OB訪問を学生から仕掛ける場合ってどうするのがいいんですかね?

中川:コネがいっぱいありそうな兄ちゃん捕まえて、例えば今井さんのところ行って、博報堂の知り合いいませんか? とかそういうアプローチしかないと思います。

今井:OBを知っている、自分のことある程度好きでいるかなという社会人に、相談するのが一番早いと。

曽和:リクルートの時は本社の前で待ち伏せして80人くらいOB訪問したやついましたけどね。それ合格ですよね。なんかいま政治家になってるやつなんですけど。

今井:いまはFacebookとかもありますしね。Facebookにグループって機能があるじゃないですか。あれで内定者グループを作っている学生とかけっこういるんですよ。しかも検索可能なんですよね。だからいまどうかわからないですけど、昔は「電通2013」とか打つと、電通内定者グループに入っている人のリストまでは見られたんです。その人たちにメッセージ送れば、10人中1人くらいは会ってくれるんじゃないかと思うんですよね。

中川:だいたい2年目とか3年目くらいまでの若手社員って、普段会社で虐げられてるから、学生から「きゃー!素敵!」とか言われると、自分は末席でヘラヘラしてるだけなのに100億の金動かしてることにするんですよ。気持ちよくなってくるからあいつら! 特に電通とか博報堂とか伊藤忠とかはそうですよ。だから学生の特権を使ってそういうやつらに会いに行くと雰囲気わかるので。あいつらは学生から頼られたことを喜ぶので、ぜひ容赦なくずけずけとお願いしていいと思いますよ。

3年間コンビニのバイトしかしてなくてもいいじゃない!

今井:じゃあ次いきますか。だいたい聞かれるのが大学生のとき頑張ったことや強みだと思うんですよね。そういうとき「コンビニでバイトしてただけの3年間でした」という人はどうすればいいんですかね。僕もリクルートのときそうだったんですけど、4人くらいでグループ組まされて学生時代がんばったこととか聞かされると、まあ、みんなかっこいいんですよ。サークルの代表やってたとかサークル作ったとか。今思うとぜんぜんすごくないんですけど(笑) 当時はすごいなと思って、「俺なんもしてねえや」って思った事があったんですよね。

曽和:いま思うとすごくないっていうのがヒントで、採用担当者は学生時代の実績を見て評価しているわけではないんですよね。スタバでバイトしていて売り上げを1.2倍にしたとか言われても、それは時の運もあるし、いわばどんぐりの背比べなんですよね。だからそうじゃなくて、持ってる習慣というか、性格や能力みたいなものを知りたいと思っています。じゃあ習慣ってどうやってできるかというと、長い間に渡る反復によって、処理が自動化しているというか、自然にできるようになっているもの。だから会社に入っても再現性があるとなるわけですね。だから、長くにわたってやってきたことってすごく大事なんですよね。コンビニでバイトっていうのはダメな例ではなくて、「3年もやり続けられた。それはなんでか」と。失礼ながらあまり面白くない例として出されたかと思いますけど、でもそれもプラスで。ふつう楽しめるやつじゃないと続けられない仕事を、なんかがあったから3年間続けられたんですよね。それを聞きたいんです。そうするとこういう工夫をしてきたとか出てくるわけです。そういうのを見つけて「3年間もやってたんだすげえ」となるんですよね。

今井:「極力ギターの練習がしたくて、家から徒歩0分にコンビニがあったから」とかでもいいんですよね?

曽和:ああ......それだとギターの話聞きたいですよね(笑) ただ、1人でやったことの例ってわかりづらいんですよね。会社ってだいたいチームでなにかやるので。だから語学とか資格とか楽器とか、個人の塾の先生とか、そういうのよりは、誰かとの共同作業の話がいいかな。すごく派手な実績でなくて、地道な努力の話だとよりいいです。

中川:派手な実績って上をみるとキリがなくて、博報堂の社員が、ジャニーズJrだったんです。慶應行って博報堂入っちゃったんですよね。でも「エレベーター乗ったら○○くん。指毛が生えてて幻滅〜」とか言われちゃうわけ。かわいそうなんです期待値が高いから。

学生時代、一番時間をつかったことはなんだろう?

今井:継続してたことが勝ちだと。じゃあほんとになんもしてなかったっていうときはどうしたらいいんでしょうか?

曽和:あ、それでも、いいんです! 僕、たかだか人事生活20年くらいですけど、途中で失速する人っていうのを何人も見てきました。神童と呼ばれたのに、今ダメになっちゃってる人。そういう人ってなんでかなと思うと、若い時にインプットが足りてない人が多いんですよね。大人の真似事をして学生時代にアウトプットをして起業してみましたみたいなのも、それはそれでいいんですけど、インプットばかりしてた人っていうのもいいと思うんですよね。めちゃめちゃ本読んだでも、映画たくさん見たでも、旅行いっぱい行ったでもいいし。それもある意味一つの実績としてこちらは評価しますよね。

中川:学生って勝手に評価されるものはリーダーとか幹事長とかの経験だと思うじゃないですか。

今井:就活時期、副部長めっちゃ増えますもんね(笑)

曽和:聞くと最終学年になると部長以外全員副部長のサークルとかあるらしいですからね(笑) でもそういうのはどうでもいいんですよね。ヒラで全然いい。スポーツだと特に、うまい下手で決まったりするじゃないですか。それ仕事あんま関係ないよねと「丈夫そうだな」ぐらいです。だいたいリーダーになったっていう話を聞いたら、それどうやって選ばれたかっていうのをめっちゃ聞きますね。たまにレギュラーじゃないのにキャプテンだったやつとか「おっ」と思うんですけどね。

今井:じゃあ学生さんは、学生時代頑張ったこととか考えるときに、企業側がこういうの評価するだろうというよりも、自分が3年間何に一番時間を使ってきたかと考えるといいのかもしれませんね。

曽和:学生時代がんばったことって、全国津々浦々で一番聞かれてる質問じゃないですか。でも一番色々なことがわかるのって、ライフヒストリーをきくことなんですね。僕がリクルートの最終面接をやってた時は、「小さいころどうだった、小学校のころどうだった、中学校のころどうだった、高校どうだった、大学どうだった、以上」なんです。これで、ものすごいよくわかるんですよ。だからそういうふうに人生を大河ドラマのように聞いた方がよくって、一瞬の花火みたいな、大学時代いちばんがんばったこと、よく聞いたら「それ学園祭のステージ前後2時間の話じゃねーか」みたいなことをきいても、その人の人となりはわからないなと思うんですよね。だからみなさんも学生時代っていうんですけど、自分の昔話を入れてくと、相手はみなさんの人となりがわかるんじゃないかなと思いますね。

SPIは嘘をつくのがいちばんダメ!

今井:次は、中川さんが本の中で書かれているんですけども、仕事ってのは口がうまいやつが勝つ世界だと断言されていて、なんでかっていうと仕事ってそういうもんでしょという。じゃあこういう人がいたらどうかな? と。

中川:根暗なやつがきたらどうしたらいいのって曽和さんに聞いたら、葬儀屋とか向いてるんじゃないという返事をいただいて。それを本に書いちゃったんですけど、コミュ障の人、葬儀屋向いてますよね?

曽和:葬儀屋さんが実際どうかわからないんですけどね(笑) 人にはいろんな能力があるじゃないですか。知的好奇心旺盛ですっていったら良さそうだけど、ある会社からしたらそれは飽き性で、一つのことコツコツやるんじゃなくて目先がどんどんいっちゃうんでしょと否定的に取られることもあるんです。あと、自責とか他責とかって言葉もある。変えられるのは自分と未来、変えられないのは他人と過去みたいな。でも、リクルートみたいな会社にいると、「他人変えようぜ、なに変えられないとかいってるんだ」ってなるわけですよ。実際SPIの項目に自責性っていう項目があるんですけど、リクルートなんて他責性のあるやつばっかとってるんですよね。でも社会的にはいま自責自責というじゃないですか。だからまずは「コミュ障」とか、あまりしゃべれないとかそういうところから離れた方がいいんじゃないかなと思うわけですよ。僕、こうやってバーっと話しちゃうじゃないですか。大学の時に何を目指してたかって言うとカウンセラーなんですよね。向いてないんですよ。話しちゃうので聴けないんですよ(笑) 適材適所というか、いらない人っていうのは一人もいなくて、どっか生きる道がありますよね。

中川:自分が採用やってた時に、学生から「じゃあ、どんな人を通すんですかッ!」って逆ギレされて聞かれたことあるんですけど、「異性にモテるやつだこのやろー!」と、「お前モテねえだろう!」「はい、たしかに」「おめえ通らねえよ」と。博報堂みたいにああいうチャラい業界は、モテるやつが通るかもしれないけど、銀行とか、もてそうなやつは信用ならんってなる業界もいっぱいあるわけですよ。だから色々な違いがあるけど、そこの特質を求める業界はあるということなんですよ。

今井:いまちょっと出たんですけど、SPI(能力・性格テスト)というのがあって、能力テストは数学と国語でいいんですけど、性格テストって馬鹿正直にやったほうがいいか、この会社ならこっちみたいにやったほうがいいかどっちなんでしょうか?

曽和:SPIって巧妙なテストで、嘘つくと、ライスケールというこの人は解答態度に問題がありますって結果が出てくるんですよね。それが出るのが一番最悪な結果なんですよね。同じような問題がいっぱい出てくると思うんですけど、それで一貫性があるかどうか。嘘を1回つくと、一貫性保つのが難しいじゃないですか。現実は思い出すだけなのでいいんですけど、嘘は作り話なので、ずっと覚えておかないといけないんですね。パーソナリティの部分で足切りしてる会社って実はあまり多くなくて、基本は数学国語ですよ。だから、性格の部分ではそんなに嘘つかなくていいんじゃないかなっていうのが僕の意見ですね

自分の「欲」を肯定しよう

中川:あとさっき話してたのが、全国の学生さんがいい人にならなきゃいけないバイアスに襲われてんじゃないかっていうのがありましたよね。客の笑顔みるのが好きで、お客様のありがとうで全てが報われる善人、「お前は現代のガンジーか!」っていう。そういう人しか通らないと思ってるんですよね。

曽和:そうですねえ。もちろん会社によりますけど、むしろ若いうちはもっとガツガツした自分の利己的な欲望みたいなものを持っていて、だんだんその油が抜けてきて、他者の利益がみたいになってくる方が自然なんじゃないかなと思いますけどね。僕は金儲けしたいんです! みたいな人いいなとか思ったりするんですよね。いまの時点でそんな油抜けてんだみたいなというのはあってですね。油なんて自然に抜けるので。別にガンジーとかマザー・テレサみたいになる必要はない。他の人事もそう思ってると思います。

今井:中川さんの後輩で、ナンパばっかしてたっていう......。

中川:そうそう、オレの後輩のYくんっていうのがいて、「お前何頑張ってたの?」ってきいたら「ナンパっす! ナンパっ!」っていうわけ。「今の一橋の学生は、女子高生とか女子大生狙うから失敗するんですけど、主婦狙えばすぐっすよすぐ!」とかいうわけ。そいつは博報堂の最終まで行って、最終的に三井物産の内定とっちゃった。ナンパばっかしてた馬鹿でも通っちゃうんだよ。

今井:博報堂も最終まで行ったけど、遅刻したから......。

中川:最終も絶対通過できたのに、「寝坊しました! 中川さんどうしましょう!」とか言ってくるから「馬鹿お前落ちたよと......」こんなやつでもなんとかなるんですよね。

曽和:欲の強さってすごい大事なんですよね。その欲がなんでもいいんですけど、エネルギーの源ある人じゃないと。難しいなって。最終面接の前段階くらいでタイプは肉食か草食かみたいなのは見られていて、結局最後にみられるのは程度の問題なんですよね。猫レベルなのかハイエナレベルなのかライオンレベルなのか。そういう過剰さをみられるので、出していった方がいいですよね。

思い切って、評判の悪い企業に行け!

今井:これ、特に僕が聞きたいんですけど、Fランはどうしたらいいですか? っていう。先ほど曽和さんのお話でシステム上フィルターのようなものはあると。じゃあそんな中でどうしていったら有意義な就職活動が送れるのか。

曽和:大学でFランっていわれているように、企業でいわれのない人気のなさみたいなところはいっぱいあるんですね。

中川:ワタミとか。

曽和:いや(笑) なんともいえませんけど。ワタミさんも人事の方と話していて、実は改革がすごい進んでいて、世間に言われていることとかも改善されてきてるんですよね。で、いま入る人って僕すごいと思うんですよ。その人たちって幹部になりやすいですし、狙い目なんです。例えばリクルートに僕が入った時って、リクルート事件があった後で1兆4000億借金があったんです。ダイエーさんの子会社になっていて、事業リストラをバンバンしていた。

今井:すごいですね。

曽和:ちょっと前バブルの時1000人とか採用していたので、僕らのとき50人で上がつかえてて、先輩いっぱいとかうざいじゃないですか。入ると月間350時間くらい働いてたわけですね。超ブラックですよ。そういう時入ったので、32から採用責任者やってたんですけど、周り見渡して物理的に僕しかいないわけですよ。曽和しかいねぇな......しょうがないからやらせっかと採用責任者やらせてもらったのでそれは逆張りでいったからというか。

中川:株にたとえると、「高値じゃなくて底値で買え」みたいな。

曽和:よく言うじゃないですか、東大生が一番行きたい業界はもうピークを過ぎてるって。

中川:70年代の東大生ってみんな東レとか行きたがってたわけです。いまのサイバーエージェントとか考えると、2000年代前半に入ったそんなに有名でない大学出身の人たちが幹部なんですよ。それはいい時にサイバーに入ったってことなんですよ。

曽和:結局リスクテイカーじゃないとダメなんです。探せばいくらでもあって、例えばBtoB企業とかありますよねみんな最終消費の商品を持ってるところしか見ないわけですけど、別にシャンプー売ってるとかシチュー売ってるとか、そんなの仕事関係ないですよね。主語と目的語と名詞が違うだけで、みんなやってることは営業とかマーケティングとかで一緒なわけですよ。なんでそれがシャンプーだったらおもしろいのとか。小型モーターだったら面白くないのかと。

今井:その通りですね。

曽和:そういうところで逆張りでいくと、入りやすいわ、給料高いわ、安定するわ、みたいなところはいっぱいあるので、そこをがんばってみるとか。さっきいったベンチャーとかいまやばいと言われてて底値になってるところとか。これだけ圧力働いたら改善して上がっていくので。だからリクルート事件の時に内定者半分辞退したらしいですけど、その時残った人がいま幹部ですからね。

中川:あのころのリクルート入るやつなんて「お前政治家に献金するのか」とか親から言われてましたよね。

今井:それぐらいの評判の悪さですよね。僕らの時はライブドア事件があったんですけど、リクルートのときはその比じゃなかったよと言われました。

曽和:ライブドアだってそのまま行ったらいまLINEになってるわけじゃないですか

中川:いま元重っていう、ここ(B&B)の元店長がいるんですけど。LIXILからB&Bの店長になってクビになってLINEに入って大活躍ですよ! どうなるかわからないんですよ。

曽和:あのころにライブドアに残ったり入ったりした人って、すごいですよね。

中川:田端信太郎なんてタワーマンションですよ!

曽和:ほんとある意味逆張りはおすすめですよね。

今井:変な話、いまワタミに入りました。活躍できませんでしたってなっても、自らの意思をもって2015年にワタミ入りましたって人は転職市場でもいいですよね。

曽和:いや絶対こいつ根性あるなってなりますよ。勲章ですよね。

中川:将来的にプロフィール欄に何をかけるかって大事だったりして、ワタミに2015年入社って書くとすごいと思われるよ。オレもね、2001年博報堂を退社後無職になりって必ず書くんですよ。無職から這い上がった人っていうイメージを作りたい・一応キツい時期はあったよ、を理解してもらうために無職アピールをするんです。

行きたくない会社でもいいから、まずはひとつ内定を取れ!

中川:曽和さん、なんか手っ取り早い面接対策ないですか? って言われたら、どうしますか?

曽和:それは、行きたくない企業を受けてみるってことですね。たぶんそれってすごい自然体でもいられますし、面接の練習にもなりますし、ていうのはいいんじゃないかなっていう気がしますけど。これ受かるじゃんみたいなのがわかるんですよね。

中川:これが今井編集者の込めた内定童貞っていうタイトルなんですよね。ちょっとあなた説明しなよ!

今井:はい! 就活と男性にとっての女性みたいなのは似てるなあと思っていまして、童貞を捨てたやつって急に偉そうになるんですよね「女ってのはさあ」みたいな。翌日から言い出すんですよ。その感覚は就活も似ていて、一つとると「内定っていうのはこうやってとるんだよ」と急に語り出すんです。それは経験としてあったし、学生と話していてもそうだし。とにかく一つ取れって。そのためにはどうしたらいいのかっていうのを書いてもらったのがこの本ですね。

曽和:逆に長引いてるので、本命はちょっと待っててもいけるんで。で、いろんなとこ受けてみて、大人に判定してもらったほうがいい。友達同士でお前ってここすごいよねって話してもしょうがないじゃないですか。合ってるかもわからないし。

今井:内定を持っている大学の先輩とかになんで通ったんですか? って聞くと、「オレは大きい声であいさつしたから通ったんだ!」とか言うんですけど、その「内定理由」が合ってるかってわからないですからね。

曽和:ほとんど違いますよね(笑)

今井:逆もそうで、オレはこれで落ちたっていうのも、できるだけ大人に判断してもらったほうがいいですよね。

再現性のある能力や性格の話をしよう!

今井:次。面接の練習どうしたらいいですか? という質問です。よくあるのは学生同士で模擬面接するパターン。あれどうなんでしょうか?

曽和:ああ......。インタビュアーって結構スキルいるんですよね。だから学生さんがそのスキルもってるかっていうと違うので、あんまり学生同士でやるのがいいとは言えないですよね。だからさっきの話と繋がっちゃいますけど、いっぱい受けて実戦でというのがいいんじゃないですかね。

今井:じゃあOB訪問で模擬面接をお願いするというのも良くないですかね。

曽和:リクルーターの場合は半分は面接なのですが、やめたほうがいいと思いますけどね。

今井:面接に対策は必要ですか?

曽和:対策は必要ですけど、真面目な話をすると、面接官ってすごい性格悪くないとやっていけないんですね。みなさんがよくいう抽象的な私はこんな強みがあって〜みたいなのは一切信じないんです。基本的に落とすのが仕事なので。裏とろう裏取ろうとするんですよね。つまり、事実ベースで話させようとするんですよね。

今井:なるほど、よくわかります。

曽和:みなさんが意識しなきゃいけないのは、語れるエピソードを具体的にいくつか持てるかっていうのが大事です。他者から「オレをどう思う?」って色々聞くじゃないですか。でもそこで大事なのは、なんでそう思ったかを聞き出すことなんですね。「なに見てそう言ったの?」っていうところまで聞いとかないと、話せることは少なくなると思うんですよね。そこまで聞いて具体的なエピソードを集めておけば、対策にはなるし、エントリーシートもそうですね。

中川:あんまり難しいことを考えずに、オレがなんで博報堂に通ったかっていえば、プロレスの鉄柱攻撃の真実について語ったからなんですよ。ちゃんと本に書いてます。すっごく詳しく。そんなもんなんですね。

今井:中川さんが面接官なら聞きたいこと10選っていうの書いてもらってますよね。

中川:ほんと面接官ってこいつどんなにおもしろいこというかなっていうのしか興味ないんですよ。

曽和:まあそうですね。それは博報堂だと特にそうなんでしょうね。

今井:ちなみに中川さんに書いてもらってるのは

・YouTubeで儲けるコツ

・ビールの売り子、男と女でどんだけ売り上げに差があるの?

・リアルお金もちの生活

・一ヶ月の食費を1万円以下に抑える方法

・北海道極寒生活の実態。

・離島の生活の実態

とかまあ、要は中川さんが知らないことですよね。学生よく勘違いするのは、「片足突っ込んでたアピール」ですよね。「広告の勉強してました」とか「プログラミングちょっとできます」とか「フリーペーパー編集してました」とか。それほどこっちをいらつかせることないんですよね。

中川:もうね、矢沢永吉みたいに、「お前の1時間オレの2秒」みたいな! そうなっちゃうわけですよ面接官は。

今井:本にも書かれてますけど、中川さん広告研究会のやつ全員落としたんですよね(笑)

中川:全員落とす。理由は、「中川さん、僕学園祭でラ王っていうラーメンを売ったんですよ! やったことあります?」「あったりめえだこのやろう! こっちはカップヌードルだ! そんなの年間100件くらいやってるよ」みたいなね。無駄にね、ちょっと片足突っ込んだってことで面接官に、「わしゃプロじゃー」ってアピールして張り合ってくるんだけど、そんなことはどうでもいいんですよ。

曽和:実績っていうベースでいうと、50歩100歩っていうか。そこのアピールって結果自体はどうでもいいんですよね。その結果を出すためにどういった能力とか性格を出したのかっていうのだけが聞きたい。それが根付いてて再現性があるかどうか。「一発屋じゃないよね?」っていうところにしか興味ないんです。こういったものが根付いてるんです。ここでもここでもここでもできました。っていう。一個一個のインパクトとか実績をアピールされても。

中川:実績をアピールすると、もしかしたら広告業界ではしっくりくるかもしれないけど、それを銀行で言ったらどうなるのかってなっちゃうんですよ。

曽和:論理的思考能力みたいなものはないですよね。将棋における論理的思考能力とか、人事における論理的思考能力とか。羽生善治は経営コンサルタントとしてはできるのかとかね。というのは違うと思うんですよね。AKBのファンでライブ全部行ってます! とか言われても、それと仕事は関係ないだろみたいな感じで。むしろサボっていくんじゃないかってなりますよね。だから意外と好きな事のアピールってわかりにくいんですよ。好きな事頑張るのあたりまえじゃないですか。好きな事頑張れたからって、仕事でがんばれるってことはないよね。って思わなきゃいけないのが、悲しいかな採用担当です。だからむしろふつうだったらやだなーって思うことを頑張れた経験とか、聞くと、それって普通じゃないので、なんかあるんですよね。ドMとか。ドMって企業けっこう求めてるんですけど、どんだけ無茶な配属しても大丈夫なのかと。いいねえみたいな。

中川:群馬のスネークセンターで、蛇を右から左にシャベルで移したとか、めっちゃいいですよね。

曽和:いいですねえ(笑) いやあほんとある種の企業ではすごいいいですよね。すごい興味ありますもんね。

第一志望には中途で入ろう!

今井:じゃあ続いて、ちょっと先で必ず起こることなので聞いてみたいんですが、第一志望に落ちてしまいました。

中川:これは、気にするなです。当たり前だから。で、ここから私の一人語りを始めたいと思います。私は昔から物書きになりたいと思っていました。書くなら出版社だと思い、小学館、集英社の資料を取り寄せたものの、その複雑さと自分の準備不足に絶望するんですね。こんなのは通るわけないと。そこで、一橋大学在学であることを利点とした青田買いルートにのるべく、博報堂の試験を受けて、裏口入学のごとく指定校枠で入りますね。見事に。そこで、出版業界への夢を持ち続けながらも、日々ヒーコラと広告の仕事をやりました。しかししかし、4年で辞めて無職になる。ところが2010年、なぜか小学館に毎週行く生活が始まっちゃってですね。結果的には、第一志望だった小学館に入っちゃったという話ですね。

今井:そうですね、そこでフリーとして。でもふつうの社員より給料もらってますよね?

中川:あ〜もうそりゃいっぱいもらってます。

曽和今井:ガハハハハハ(笑)

中川:回り道をした結果、小学館にはいるのに編集能力だけじゃなくて、ネットに詳しい奴として小学館に入るっていう別のルートが将来開けるんですよ。だから一発目、新卒で第一志望に落ちて変なとこ行っちゃったとしても、そこのネタを元に第一志望の会社に入れるかもしれないんですよ。マジで。ネットの仕事やってたらですね、なんと、この4月1日にですね、雑誌の編集を16ページやることになったみたいなね、こういう感じなんですよ。だから、一発目落ちた、OK、OK、ほんとに行きたいところはこっちだったけど、しゃあないからこのルートでやるかってなるだけなんですよ。

今井:まさにそうで、ぼくもリクルートに入ったあと、星海社に来て編集をやってるんですけど、もともと編集者になりたかったわけではないんです。そういう経緯だから言えることもあって、編集者になりたい人によく言うのは、出版社とか落ちて当たり前なんです。異常な倍率なので。僕がちょっとやるといいなと思ってるのは、出版社の中途採用の募集要項を見ること。だいたい今だと、電子書籍経験者とかすごく重宝されると思います。あとはネットで受ける企画の編集能力。まさに中川さんみたいな人が求められているので、じゃあ新卒では、バイラルメディアやってるところに入ってみるとか。

中川:サイバーエージェント入ればいいんですよ。

今井:まさにですね。バズをつくる方法をひたすら3年くらい学んで、大手出版社の中途採用受けるとか、そういう方法もあるので、行きたいところの中途採用の要項みるっていいんじゃないかなあと思います。

中川:新卒採用よりも、中途採用の方が、能力さえあればいいんで、入るの超楽なんですよ。要するに最初の1000倍をどう突破するかを考えるよりも、5年間どっか別分野でがんばって、その分野とその行きたい会社のマッチするところで中途を受けるっていうのが一番いいんですよ。落ちても気にすんなっていう話ですよね。

古い大企業でサラリーマン道を学べ

今井:ただ一方で、曽和さんがおっしゃってる1社目の社格っていう話もありますよね。

曽和:そうですねえ。良く言うじゃないですか、大企業からベンチャーは行けるけど逆は難しいって。これ、最近ちょっと変わってきてる感じがしますね。ベンチャーでもファイナンスの環境すごく整ってきているので、集まってくる人のレベルが変わらなくなってきている。ただ、いいか悪いかは別として、中途採用の現実としては、1社目の社格をみることを書類選考の判断基準にしてる会社があるっていうのは事実です。

今井:厳しい選考を突破したっていうのはいい人である可能性が高いということですね。

曽和:ただ、それは採用力を落とす会社の特徴だと思ってるんですよ。

今井:おお。じゃあ企業はそれをやらないほうがいいんですね。

曽和:コンサルティングするときはそう言ってるんですけど、事実としてはあります。よくないけどある。

今井:じゃあそれ対策もあって、中川さんはよく、1社目は大企業行くといいよっておっしゃってますよね。

中川:なんで大企業行くといいかっていうと、大企業っていうのは最もしがらみが多い社会なんですね。それは、役所の影響も受けるし、上司がいっぱいいて、ハンコ何個ももらわなきゃいけないからなんです。ただ、それってサラリーマン道みたいな、合気道とか武道とかと一緒なんですよ。上司が愚痴ってる時に「ですよね〜」って言うとか、エレベーター乗った時はエラい人から先に降ろす、とか、若いやつはボタン押し係をやるとか、こういうサラリーマン道っていうのを学べるのがやっぱり大企業なんですよ。くだらないことも多いけど、現状大企業が動かすカネが多いから、そことの付き合い方を上手になった方がいい。ベンチャーは「ちーっす」とかいってそれでもなんとかなります。そうじゃなくて作法としてのサラリーマン道が学べるのがオールドエコノミーの日立とか銀行とかなんですよ。大日本印刷のやつとかすごくって、市ヶ谷の坂下りてくと途中酒屋があるんですけど、そこで一杯飲むとかですね、工場のおじさんにおごってもらって、お前はかわいいなとか言われるのが、立派な営業マンになったりするんですよ。で、年末にはカレンダーをぶら下げて、得意先回りするサラリーマン道が学べるのが大企業だと思ってるんですね。しかも古いところに行けと。そうすると、お金の流れとかが学べるので。

今井:で、さらによくおっしゃってるのが、お金は結局大企業から流れていると。

中川:そう。大企業と役所。今日ね! 私●●●役所の仕事とりました!

今井:言っていいんですか(笑) ※会場では実名を挙げた

中川:いい! ××という催しが今年ありますが、この予算でばっと俺に来ると。その役所の人たちに対して「ですよね〜」このプレイをするのにやっぱ最初に大企業入ってよかったと思って。「××様の犬になりますから! この催しに協力しなかったらダメです〜日本国民じゃありません!」みたいなサラリーマン的社畜プレイをがんばるわけですね。これは博報堂入ってサラリーマン道学んだからいまお金がばーんっとくるんですよね。相手してる係長が課長にどうすれば、どんな資料出せばハンコ押してくれるかを、学べるんですよ、大企業行くと。

曽和:やっぱ大企業は、新卒の同期って、最後の同窓生じゃないですか。損得なしで色々融通し合えるっていう。それを得られるっていう意味では、ある程度同期が、おもしろかったり多かったりするところっていうのはあるかもしれないですよね。

今井:1社目の社格、サラリーマン道を学べる、同期がいるという3点からも大企業行けたら行ったらいいと。

中川:そう。で、やめてもいいんですよ。仲良くなった同期っていうのは一生の友たちになれる可能性があるっていうことですね。この前ムカついたのがさ! 同期にアイドル紹介したのね! そしたら付き合いやがってさ! 気づいたら「中川、オレ、ヒロミと付き合ってるんだけど」みたいな。ということなんで気をつけてください。

曽和:損得勘定なしに紹介したんですもんね?(笑)

中川:そーよー!

曽和:これが同期っていうやつです。

好きになる能力を鍛えろ!

中川:曽和さんはなんでリクルートに入ったんですか?

曽和:偶然ですよ。僕は1社しか受けてないです。でもこれは、ずっと一緒で、中学校の時にクラブを選んだ時とかも、校庭があるじゃないですか、そこの勧誘で最初に見たバレー部に入るとか、最初にみたものを親と見るみたいなそういう来た船に乗る人生なんですよね。

中川:それでなんとかなっちゃうっていうね。社長にまでなっちゃうんですから。とにかく楽にやってほしいですよね、みなさんには。

曽和:そうですね。なんか間違ったものに肩肘張らず、なんか謎の集団があるんですかね。マッチポンプ的に、恐怖商法というか怖いぞーみたいな。

中川:だってさ、会場のみなさん! 正直この3人みてて、なんだこの大したことねえおやじとか思ってるでしょ!? そんなもんなんですよ、社会人なんて!

曽和:結局鍛えるべき能力は、好きになる力を鍛えた方がいいと思うんですよね。第一志望第二志望第三志望が固い人は好きになる力弱いんじゃないかと思うんですよね。惚れっぽくないというか。第三志望とか一応つけると思うんですけど、会ったら意外と良くて第一志望になっちゃうとかぜんぜんあっていいと思うんですよね。で、結局イケてる人って、楽しめる力とか好きになる力とか、そういうの強くないですか?

中川:強い強い。

曽和:ですよね。僕をどうやって楽しませてくれるの? って思ってるやつはダメで、むしろふつうだったらつまんないって言われてるものを楽しんでみるとか。っていう人っていうのが結局イケてる人だと思うんですよね。

今井:『ウェブはバカと暇人のもの』という中川さんの本を編集した、僕の元上司の柿内芳文という人がいて、最近だと『ゼロ』とか『嫌われる勇気』とか編集してる人なんですけど、その人は好きになる力が異常ですね。本を作ってる時はその本の話しかしないんですよね。誰と打ち合わせしていても。経済の本を作ってるとすると、もし人事の専門家の曽和さんと打ち合わせしてたとしても、もずっと経済の話してるんですよ(笑)

中川:柿内さん、オレと『ウェブはバカと暇人のもの』作ってる時も、当時一番関心があったのはなにかというと、間違いなくヤモリなんですよ。「町田に家があるんですけどね、家に帰ると上にいるの! ほんとかわいくて〜」と毎回会うたびヤモリの話してて、ヤモリばっか。「お前オレの編集してくれよ」ってなるんだけど、「でもヤモリがかわいいんです〜」こればっか。

今井:それで、下手したら本にヤモリの話入れようとか言い出しますからね。

曽和:だから第一志望決めちゃってる時点で視野が狭いですよね。好きになる力を持ったらいいんじゃないかなと思いますよね。

中川:で、最後にもう1ついっておくと、曽和さん以外の僕ら二人は第一志望落ちてるわけですよね。で、いまなんか妙に楽しそうに生きてる。

今井:僕らを参考にしてくれ、とまでは言えないですけどね。みなさん、今日はお集まりいただきありがとうございました。

中川曽和:ありがとうございました。

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