星海社新書は、知的好奇心を満たすだけでなく、次世代を担う若い世代が、自らの力で未来を切り開いていくための「武器」としても使える知のかたちを、シリーズとして本にまとめていきます。
戦時下の「文化工作」は、いかに手塚治虫を育んだのか?
戦後に花開いた日本映画の担い手たちは、元をたどれば共通の歴史的・文化的体験を有している。東宝が映画を用いて行った戦時下の「文化工作」もその一つであり、あの手塚治虫もまた、それら先鋭的な映画理論やロシア・アヴァンギャルド運動を貪欲に吸収した人物であった。本書では、種々の新史料の発見を通じて、手塚をそれら戦時下のメディア理論の文脈から新たに捉え直すことで、彼の戦後の営みを再解釈せんとするものである。執筆にあたり助力を得た映画史家・牧野守氏の貴重なインタビューや、氏が執筆したTVアニメ『鉄腕アトム』幻の第一話脚本も収録。
列伝から、戦国時代の「僧侶」イメージを問い直す
戦国時代において、「僧侶」はいかなる存在だったのでしょう? 権力とのかかわりからか、太原雪斎、前田玄以、金地院崇伝、天海らの名が一般に知られていますが、実のところ、彼らに代表される「権力者のブレーン」といったイメージは、僧侶が担った役割の一部にすぎません。そこで本書では、宗派を問わず、戦国期に活動した僧侶約四〇人を選び、彼らの担った役割を見直していくことにしました。そして、そこから見えてきたのは、あまりにも多様な「俗世との関わり方」でした。近現代の一般的な「お坊さん」とはひと味もふた味も違う、「戦国の僧侶」。彼らについて知ることで、戦国時代のイメージも更新されることでしょう。
室町幕府二五〇年の軌跡を、最新研究で一望する
室町時代といえば、何を思い浮かべるでしょうか? 同名のベストセラーでも著名な「応仁の乱」でしょうか。あるいは、「観応の擾乱」でしょうか? おそらく、みなさんの持つイメージは一定しないことでしょう。そもそも、室町幕府は成立/滅亡年についても議論があります。また、約二五〇年の存続期間のうち、最初の五〇年は南北朝時代、後半の一〇〇年は戦国時代にも区分されます。室町時代とは一体なんなのか、ますますわからなくなってきます。しかし、そこには確かに将軍と管領(執事)が存在しました。本書は、彼ら四二人の列伝から室町時代を見直していきます。ただし、この大著を通読したのち、みなさんの室町観はより多様化するかもしれません。それでは、室町幕府興亡の軌跡を、ともに辿りましょう。
一次史料が雄弁に語る、新たな上杉謙信像
一般的に「義の武将」として知られ、絶大な人気を誇る戦国武将・上杉謙信。しかし、この「義の武将」、あるいは「軍神」といった彼 のイメージは、実は近世以降に越後流軍学者をはじめとする人々によって作られたものであることがわかっています。では、実際の上杉謙信とはどのような人物だったのでしょうか? 本書では、発給文書や寺社に納めた願文など、一次史料を主な材料に、謙信の実像に迫ってゆきます。戦国大名家の当主をつとめるにあたり、いかに苦悩し、そして時に激情に突き動かされたのか。史料が雄弁に語るのは、喜怒哀楽を備えた人間としての上杉謙信でした。それでは、半世紀に満たない彼の激動の生涯を、共に辿っていきましょう。
スマートフォンRPG制作の極意と物語創作論
ゲームジャンルにおいて、映像や音楽などあらゆる要素が凝縮された「総合力の結晶」と言われる「RPG(ロールプレイングゲーム)」。その核とも言うべきプレイヤーの感情を揺さぶる「物語」を、スマートフォンRPGに初めてもたらした先駆けにして革命的傑作─『チェインクロニクル』。本書は本作総合ディレクターである著者が、スマホRPGだからこそできる最適な物語体験のための設計や、チームでゲームを作る組織制作論、クリエーターの意欲を刺激し続ける方法など、いまなお実践し続けるスマホRPG制作の極意を余すところなく語りきった一冊です。次代を担うゲームクリエーター、そして物語創作を志すすべての方に本書を捧げます。
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