星海社新書は、知的好奇心を満たすだけでなく、次世代を担う若い世代が、自らの力で未来を切り開いていくための「武器」としても使える知のかたちを、シリーズとして本にまとめていきます。
貴族夫人をめぐる愛憎劇から浮かび上がる、近世の村のかたち
一七六五年の夏。ヨーロッパの東のはずれ、トランシルヴァニア侯国のコザールヴァール村で、ある裁判の証人尋問が行われた。原告は領主の一人・イシュトヴァーン。そして被告は彼の妻・ユディト。罪状は「姦通」であった。のべ一〇〇人を超える証人の口から赤裸々に語られるのは、ユディトと間男・アーダームの堂々たる逢瀬、これまでの赤裸々な男性遍歴と子どもたちの出生にまつわる疑念、魔女と媚薬、そして繰り返される暴力......。ユディトは果たして、ただの淫蕩な女だったのか──? 東欧史研究のトップランナーが証言記録を縦横に読み解き、ユディトらを取り巻く近世ヨーロッパの村の暮らしを復元し、事件の深層に迫る。新たな近世史料学入門、ここに誕生!
声優という「いびつな才能」を輝かせるために
僕は、声優マネージャー歴13年──この業界ではベテランに入ります。ときに辛いこともありますが、この仕事が大好きです。この本はそんな僕が、「声優」に興味のある皆さんに向けて書いたものです。声優が「いびつな才能」の持ち主であること、その才能のきらめきを届けるために、マネージャーが何を考え、どういった仕事をしているのか......業界の現状についても、包み隠さず書くことにしました。いま、声優業界はバブルのただ中にあります。けれど、毎年デビューする多くの新人の大半は、数年のうちに後悔を残して業界を去っていきます。後悔する人を一人でも減らしたい。そんな気持ちで、僕は今日も声優とともに現場に立っています。
組織という謎に、明快に答えをだす
僕は二十代半ばに、予備校の世界史講師となった。
組織の一員となり、組織に悩んだ。
二十代の僕は
上司を殴りたい気持ちを夜中のゲーセンにぶつけ、
仕事をしない同僚の悪口を風呂場で呪文のごとく唱え、
ペットの具合が悪いから、早く帰りたいという部下と
「ペットとは何か」という論争を展開した。
しかし、予備校という組織は
給料を与えてくれながら、
研修で僕を一人前の予備校講師にしてくれた。
組織はすごい......
人は組織を否定するが、
人は組織から離れられない。
組織は個人を否定するが、
組織は個人レベルではできないことを可能とする。
キャラクターは、永遠に不滅
生物の「進化」とは、「長い時間とともに周囲の環境に応じて、その形や機能、行動などを多種多様に変化させ、身体をその場所に順応するようにつくりかえて、さまざまな環境に広がり散らばり繁栄していく」ということ。キャラクターもまた、環境に適応していかないと生き残ることができません。次に起こる大きな社会的変革は、AI革命なのか、VR革命なのか......、あるいは想像もつかない時代の変化があるのか。未来はわかりませんが、やはり人はキャラクターの物語を語り続けるでしょう。一緒に次の時代に生き残るキャラクターを創りましょう。(小池一夫)
お金のミライは、僕らの手の中にある。
いま、「お金のかたち」が変わりつつある。キャッシュレス、モバイル決済、フィンテック、仮想通貨......いくつもの新しいトピックが日々メディアを賑わし、変革の鐘を鳴らしている。しかし、僕たち消費者の生活がどう変わるのか──と問われると、具体的にイメージできないという人も多いだろう。そこで本書では、徹底した消費者目線から、現在進みつつある変化を追っていくことにした。その結果として見えてきたのは、いかに画期的な決済手段や技術でも、消費者が選びとらなければ定着しないということ。つまり、お金のミライを決める権利は、僕たち消費者にこそあるのだ。さあ、ともに選ぼう、僕たちにとってより望ましい世界を!
1冊で一気に学べる「アニメ製作の教科書」
アニメのプロデューサーには「製作」と「制作」、2つの役割があります。「製作」はアニメを「商品」として見る立場、「制作」はアニメを「作品」として見る立場です。日本のアニメはクリエイティブのレベルが高く、世界中でニーズがあります。でも、ビジネス面では発展途上です。この構造を変えられるのは、「製作」と「制作」両方のスキルと変革の意志を持った、新時代のアニメーションプロデューサーだけです。本書は「この先」を作るために、アニメーションプロデューサーに必要な「今現在の常識」を一気に学べる本をめざしました。アニメビジネスの未来のために、この本をぜひ使ってください。
大量の出土文献が、中国古代史研究を変えた──!
われわれ日本人は、日頃から古代中国に親しんでいます。日本語のなかに溶け込んだ故事成語、読み継がれた古典、そして『封神演義』や『キングダム』等のフィクション......。これほど身近な時代でありながら、残念なことに研究の進展はほとんど紹介されず、教科書の記述も古いままです。中国大陸では、こ国土の開発とともに、金文・竹簡・帛書などの文字史料──すなわち「出土文献」が現在進行形で陸続と発見され、研究状況は劇的に変化しています。本書では、近代以降の研究史と最新の研究状況をもとに、ある面ではフィクションよりもダイナミックな中国古代史の実像を紹介していきます。中国古代史をもっと楽しむため、研究の最前線をのぞいてみましょう。
哲学は、世界を生き抜くための武器である。
本書は、バカロレア(フランスの大学入試)の問題をもとに、論理的な思考法と、哲学における「幸福」について解説します。フランス人は、幸福についてのさまざまな哲学的な立場や議論を学んでいます。そしてそれを哲学小論文(ディセルタシオン)という「思考の型」に当てはめて、自分なりに表現することを、高校時代に徹底的に練習します。
生きていく中で自分が遭遇した問題や困難をどのように理解すべきか、人生をどのように切り開いていくかを考えるための実践的な道具が哲学なのです。誰でも「思考の型」を身につけ、活用しながら、この世界を生き抜いていくことができるのです。われわれもまた、幸福に至る道を見つけるために、哲学すればいいのです。
小池一夫が編み出した「漫画原作」の極意
「漫画の世界に入りたい。漫画原作者になって、物語を創りたい」そう思っても、漫画原作の書き方を教える本や学校はほとんどありません。独習しようにも、普通は漫画原作を目にする機会もない。ですから、この本には僕の漫画原作の原稿をできるだけ掲載し、それをもとに漫画に必要な要素を丁寧に解説しました。これは、漫画原作者を目指す人だけでなく、漫画家を志望している人、漫画家になったものの魅力的なキャラクターや面白い物語を創れないという壁にぶつかってしまった人、漫画編集者になりたい人にも役立つ漫画の教科書です。(小池一夫)
リクルートとライフネット生命で辣腕を振るった人事だから語ることのできる逆説のマネジメント論
自分が正しいと思うことはストレートに主張し、人に嫌われたり非難されたりすることを恐れず、逆風を真正面から受け止めても動じない。そんなふうに愛想が悪く、自分を飾らない人物は周囲に好かれず、ときに「悪人」とも評されます。しかし「利他的な悪人」である彼らこそが、数々の組織における変革の影の主役であり、原動力なのです。「部下の相談はスルーする」「リーダー批判は徹底的につぶす」など、本書では一見眉をひそめたくなるような、しかし真に会社の発展のための礎となる「悪人」のマネジメント論を展開します。
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