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ニッポンのスタートアップ

「強烈なイグジット劇こそが、日本のベンチャーの活路」シンクローグ山本代表の投資的起業論

2014年03月28日 更新
「強烈なイグジット劇こそが、日本のベンチャーの活路」シンクローグ山本代表の投資的起業論

3年後に再会すること(例え路頭に迷っても)を約束して行う、未来アポ付き取材コンテンツの「日本のスタートアップ」インタビュー。今と未来、線でつながる行動の歴史! ここが挑戦の最前線!

 第5回目である今回は、独自の仮想化技術により、同じWindowsアプリケーションを複数台のPCで使用できるクラウドサービスを展開している「Synclogue(シンクローグ)」。かゆいところに手が届く、今までになかった技術が武器の会社です。小学生で株式投資デビュー、中学生で個人事業を開始、高校生で株式会社をはじめた創業者/CEOの山本泰大さんにお話をお伺いしました。

 

ライティング:元重慎太郎 構成:今井雄紀

 特許取得済の「アプリケーションを同期する」技術 

今井:本日はよろしくお願いします! まずは事業内容から教えて頂いてもよろしいでしょうか?

山本:うちの根幹のサービスは、アプリケーションの同期です。みなさんDropboxってご存知ですか?

今井:データファイルのやりとりをするのに、お世話になってます。 

山本:ファイルの同期サービスは、少し前から盛り上がっていましたよね。急速に需要が高まったからです。モバイルを含めて複数の端末を持っているのは当たり前の世の中ですし、パソコンについても、会社と家、タブレットを含めると、3、4端末を使うのが普通になってきました。いちいちUSBメモリーを抜き差ししていては大変なので。

今井:ですね。私も、ノートPC、iPhone、iPad、家のPCと4つの端末を使っていますが、それぞれファイルがリンクするようにしてあります。

山本:そう、ファイルは大丈夫なんですよ。でも、パソコンの中にはファイルだけでなくて、アプリケーションが入っています。実は、(主にWindowsの場合)アプリケーションはコピペが効かないんです。関連するデータという”根“が色んなところに張っていて、アプリケーションファイルだけをコピーしてもダメなんですよ。色んなファイルが欠損して、新しいマシンでは動きません。同じ端末内でも、ファイルの場所を移動しただけで動かなくなる場合もあります。アプリケーションの設定に関しては、Windows95の頃から何も変わっていなくて、新しいマシンを買うと全部インストールし直して、再設定しなければならない。壊してしまえば、全部吹っ飛ぶという状態が続いています。

今井:確かに、PCを買い換えるたび、会社のOSが新しくなるたびに、「Google Chromeを入れて、メモ帳アプリはなんてやつだっけ……あれ? なんであの機能使えないの? あ、アプリ入れてたから使えてたのか……」なんてことになります。むちゃくちゃ不便ですよね。

山本:そうなんです。かたやApple、Googleは、「1つのIDでライセンスを管理しましょう」という考え方に移行してきています。新しいマシンを買えば、1クリックでアプリケーションをインストールできるし、設定の引き継ぎもできるようになりつつある。MacでもAndroidでも出来てることが、Windowsに関しては、諸々の互換性を維持するためにも、それがどうしても出来ないんですよ。ライセンスが数多あって、Microsoft自身も収集がつかなくなっていると思うんです。

今井:歴史が深く、あまりに多くの人に愛されて来たが故の悩みですね……。いま、Windows XPのサポートが終わって、困っている人がいますよね。 

山本:アプリの移動ができないから、悲鳴があがっているんです。我々の技術は、本来移動させることのできないアプリケーションをそっくりそのまま動かせるようにする技術で、中には特許も申請している技術もあります。喩えるならアプリがどこに"根"を張っているのか解析して、根こそぎ、全部”包む”ということができます。それによって、複数の端末間で同じアプリを同じ設定で同期できるし、例えマシンを壊したとしても、いくらでも復旧ができます。データがクラウド上に残っているので。これが、我々のサービス、Synclogue(シンクローグ)です。

今井:木の"根"をキレイに持って、動かすということなんですね。素人目で見ると、Dropboxとは技術的に差はないのかなと思ってしまうのですが、簡単には出来ないものなのでしょうか?

山本:Dropboxでアプリが全部移動できればいいのですが、出来ないんです。これはWindows固有の問題で……。全てのアプリを作り直せればいいんですが、これまでのアプリ全部を無くすことはできないので、折衷案として"仮想化"するしかないと。かなり踏み込んだことをやっているので、Microsoftさんとも仲良くさせてもらっています。

 

「ウェブサービスってなくてもいんです」

今井:どうしてSynclogueを作ろうと思われたのですか?

山本:中1の時に、初めて個人事業主になりました。その時は、携帯アプリ開発の受託をしていました。高校生の時に、ビジネスプランコンテストみたいなのがありまして、当時知人の紹介で、「まぁ、出ろよ」と。

山本:出たら、本当にたまたまなんですが優勝をしてしまって……。で、会社を作らないといけないみたいな雰囲気になって。携帯アプリなどのウェブ受託開発会社を作りました。それはそれで順調だったんですが、「これって短命で水物だよな」とずっと思っていました。iPhoneアプリやソーシャルゲームも、飽きられたら終わりじゃないですか。失礼かもしれませんが、ウェブサービスってなくてもいいんですよね。我々がやっていたウェブサービスも、なくても死にやしない。

今井:確かにそうなのかもしれませんね。

山本:一方で、インフラに近いものなど、なくなってしまうと致命的なものもあります。例えば、電気や水道、そして私にとってはWindowsも含まれます。インフラにより近かったり、無くなったら致命的なものは景気にも左右されないですし、恒久的に使い続けてもらえます。我々も「使わなければならないもの」をやろうと考えました。これまでやってきたものを全て切捨ててインフラにより近いものを10個ぐらい考えた中の1つに、Synclogueがありました。多くの人が挫折した領域ではあったのですが、現在のCTOに6ヶ月ぐらいかけて実現の可能性を探ってもらい、今に至ります。

株主優待券欲しさに、小5で株をはじめる

今井:なぜ、中1の時に個人事業を始めることになったんでしょうか? 早すぎません? 僕なんか野球しかしてませんでした……。

山本:あまりはっきりは憶えていないですけど、小5、小6ぐらいに株を勉強しはじめていて。

今井:三田紀房さんの漫画『インベスターZ』みたいですね!

山本:株式優待か何かが気になって、株に興味を持ったんです。いつの間にか触ってました。家族が証券会社に勤めていたというのも、大きかったですね。やっていくうちに、「タネ銭」が必要だって気づいたんです。元手が小さいと、儲けも小さいまんまだぞと。それで、受託開発を始めました。

今井:中1ではじめたんですよね。すごい単純な質問なんですけど、部活とかは?

山本:部活はラグビー部でした。キャプテンもやってました。

今井:友達と話、合いました?

山本:普通の学生ですし、普通に楽しみもありましたよ(笑)

今井:それをまたタネ銭にして、投資したみたいな感じですかね?

山本:そうですね。でも、ほとんど書籍に使ったなというような感じがしていて。大きな書店のビジネスの本は全部買ったんじゃないかっていうぐらい買って読みました。経営の本とか、読み漁ってました。

今井:へー! つまりその頃から、将来は経営者になろうと思われていたってことですか? 

山本:なる気はなかったです。サラリーマンになるつもりもなかったですし、将来は何も考えてなかったですね。何もなければ、そのままプー太郎になっていた気がします。多くの経営者は「世の中を変えたい」「お金儲けしたい」「モテたい」など、モチベーションがあって働いている人も多いと思いますけど、そういうのもなくて、「為せば成る」で流れるように生きてきました。

今井:面白いからやっていたみたいな感じでしょうか。

山本:ITよりも金融のほうが好きなのですが、気がついたらこうなっていました。ITのよいところは、イニシャルコストがかからないこと。私自身は投資をしている感覚で経営をしていると思っています。こういう風に「なりうるだろう」という視点で事業をつくりますし、あまり皆さんのように、「みなさんが困っているから」「世の中を変えていきたい」とか思っていないです。

 

自己投資にはあまり意味がない

 今井:経営者であると同時に、投資家として、ご自身の仕事を客観的に見られていると感じました。スキルも実績もあって、たとえ個人でも仕事を安定的に得られたと思うのですが、なぜチームとして会社を続けることを選ばれたのでしょうか。

 山本:チームプレイでしかできないことと、単独プレイでしかできないことがあると思っています。単独プレイではどうあがいても、個人の器を超えられません。一人で戦うことにも、限界があると思いました。それがチームだと、出来ないことをやれる人がたくさんいて、仕事の幅をグッと広げることができます。投資の視点で考えてみると、自己投資はあまり意味がないんです。僕がセカンダリー市場に投資するのは、投資した会社の人たちがチームを持っているからです。僕はコスパが悪いので、人に投資した方が早いです。

今井:ご自身を、投資対効果が低い人間だと思っているということですね。

山本:そうですね。知識を詰め込んだところで、お金を生める人間でもないですし、そういうのは得意な人に任せた方がいいです。自分が目立ちたい、立派になりたいとか、将来、トップに立ちたい人であれば、自己投資を大いにすればいいし、自分を磨いていかないとできないと思いますが。

今井:「起業したいです」というような相談を受けることも多いのではないですか。

山本:よくされますが、「起業しない方がいいよ」と言うと思います。起業を相談している時点で起業しないほうがよくて、「起業しちゃってました」の方が図太いと思います。僕自身もそうですし、何回も挫折を経験していますし。相談している人が軒並み全員消えたので、これは間違ってないと思います。

今井:手段の目的化みたいになっている人が多いですよね。

山本:起業すると、何でも出来ると思ってますよね。かえって、何にもできないです。経理から何から全部自分でやらなきゃいけないので。簿記も会計も、プログラミングも経営もわからないと、あと何やるの?って話になってしまいます。ビジネスだけをやるために起業して、あとはベンチャーキャピタリストが人材を派遣して進めてくれるようなことは期待できないですし。特に日本は、人材の流動性が高くないので、全部自分でできないと話にならないです。

今井:学生さんとかが会いに来て、山本さんに会って、がっかりして帰ることが多そうですね。

山本:そうですね(笑) 人見知りなのであまり会わないようにはしてるんですけどね。

元重:起業を煽る人は多いですよね。

山本:煽る人は多いです。煽る人は、煽って投資すれば儲かりますから。起業する人を沢山青田買いして、広く分散投資した方がはるかにコストパフォーマンスがいいです。 


日本のベンチャー業界の起爆剤になりたい

今井:これからのベンチャー業界に必要なものは何でしょうか。

山本:ベンチャーの成長を阻害する構造上の問題がたくさんありますが、最強にして唯一の起爆剤に成り得ると思っているのが大規模なM&Aイグジット(創業者やファンドが株式を売却し、利益を手にすること)が当たり前に起きていることだと思います。昨今M&Aは増えてきていると思いますが、とはいえアメリカに比べるとまだまだベンチャー業界では少なく、金額もまた小さいことが一般的です。これがもう1つ上の段階に行ければ、従業員も創業者もエグジットの後に十分に再投資に力を入れることができると思いますし、もし望むのであれば一生遊んでいくという選択肢も取れるようになると思います。リスクに対するリワードも大きいのでチャレンジしがいがありますよね。

今井:少額のM&Aでは小銭と引き換えに、職場を失うことになりますよね。 

山本:非常に悪い言い方をすればそういうことになるかもしれませんね。買収元が働く場として良い企業であればそれはそれでまた違うと思いますが。再投資を生む、健全なベンチャー業界形成のためには、大規模な売却事例が今より多く出続けないといけません。少額のM&Aイグジットが続いている限り、どれだけ国がベンチャービジネスのために助成金を出そうが、ベンチャーキャピタルが増えてきましたと言おうが、本当に優秀な人間が起業を選ばないのではないかと思います。

 

高校生=「武器を作る時期」、大学生=「武器を磨く時期」

今井:ジセダイは、読んで→思考して→行動するためのメディアです。読者の方々へのネクストアクションをお願いしてもよろしいでしょうか。

山本:高校生の方は「武器を作ること」。大学生の方は「武器を磨くこと」だと思います。 

今井:それはなぜでしょうか。

山本:戦う時に、人が持っていない、知らないような武器を持っていたほうがいいじゃないですか。大学生の場合は、もうその「武器作り」の時期が終わっていると思うので、今ある武器をいかに研いで、もっと良い武器にするかが勝負かなと。そういった方向に意識を注いだほうがいいのでは、と思いますね。

今井:武器作りの時は、持ちたい武器をイメージしてやった方がいいのでしょうか。

山本:大事なのは「自然に持つ武器」だと思います。

元重:自分に合ったものということでしょうか。

山本:そうですね。普通のコースで、同じ武器を持つのか。あえて、ちょっとうがった道を歩んで、知らない武器を集めるのか。大きな違いだと思いますが、どちらとも正しい道だと思います。普通のコースでそのまま武器を磨いて、その人が優秀だったら「勝ち組」なんです。自分がそれほど優秀じゃなくて、例えば弁護士にも医者にもなれないと思うのであれば、武器を探しに行ったほうがいいと思います。誰しも得意分野はあるはずですが、それでも何にもないという人は、「チームを探したほうがいいんじゃないの?」って思います。

今井:なるほどです。本日はありがとうございました!

会社概要

会社名
株式会社Synclogue
所在地
東京都台東区台東1-12-11 秋葉原KMDビル3F
事業内容
クラウドサービス
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