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HOME > ジセダイ編集部 > エディターズダイアリー > 【星海社新書ジセダイガクReport⑤】哲学者・小川仁志の「武器としての哲学」

エディターズダイアリー

【星海社新書ジセダイガクReport⑤】哲学者・小川仁志の「武器としての哲学」

岡田有花
2012年11月01日 更新

原発問題や領土問題を、哲学を武器に考える

 哲学というと難しそうでとっつきにくいと敬遠したり、実用性がない道楽だと考える人もいるかもしれない。『日本の問題を哲学で解決する12章』著者で、徳山工業高等専門学校の小川仁志准教授は、「哲学は非常に有益で役に立つ」と話し、現代社会の問題解決に、哲学的な思考の枠組みをあてはめる方法を説く。

   

 原発問題や領土問題……現代の日本が直面している問題は、「国民の知恵を総動員しないと解決できない問題ばかりだが、自分の頭で考えるしかない」。その時に武器となるのが哲学だと小川氏は言う。実存主義的な態度と弁証法の方法論を用いることで問題の本質を見抜き、新たな解決策を見出すことが可能だというのが小川氏の立場だ。

 問題の表面にまどわされず、本質をとらえるには「“そもそも”から考えることが大事」と小川氏。その上で、「個別の哲学理論を随所で使えば、本質をとらえることが可能になる」という。

 例として小川氏は、以下のような問題と、そのアプローチの仕方を示した。

例1:尖閣問題は「理想と現実」で考える

 小川氏は安全保障の問題を、全世界の人々を同胞ととらえる理想主義的な立場「コスモポリタニズム」と、国家という単位の中で自由を享受しているととらえる現実主義的な立場「ナショナルリベラリズム」の対決だと解説。「理想と現実のどちらを取るかという問題」ととらえる。「領土問題もそういう視点で見ていくと、本質が見えてくるところがあるのではないか」

 尖閣諸島の領有権をめぐる問題については、「国家を前提とするナショナルリベラリズムに立つなら尖閣は日本のもと主張して争うことになるだろうし、地球は1つで島も地球のものと考えるコスモポリタニズムなら、もう少し譲歩することになってくる。歴史なんかは、いつまでさかのぼってもお互いに物語だかららちがあかない。コスモポリタニズムでいいんじゃないか」と持論を展開した。

   

例2:税と社会保障の問題は「時間と空間」で考える

 消費税の税率上げや年金など社会保障の問題は「時間と空間」という軸で考えると良いと小川氏は説く。「今どうかではなく、40年後どうかなるかを発想できるか。40年後には引退し、ふるさとに帰っているかもしれない。消費税の地方税化も言われているが、貧しい地域が社会保障費を消費税でまかなうのは無理ではないかなど、いま議論していることが時間と空間の中でどこに位置づけるべきかを考えるのが本質を見る方法の1つだ

例3:原発問題は「弁証法」で考える

 原発問題は「ジレンマの最良の問い」で、弁証法を適用できるという。「エネルギーは必要だが、自然エネルギーだけではまかなえない。原発のマイナス面に目を背けず、第三の道を取る止揚のいろいろなやり方がある」。個人個人が、原発について問題だと思う点を自分なりに整理し、それを弁証法で言う「アンチテーゼ」に位置づけた上で、「それを切り捨てることなく、新たな道をどう見出し、解決するかを考えてほしい」と話す。

   

例4:裁判員制度は「感情と理性」で考える

 一般から選ばれた裁判員が、重大な犯罪の審理に参加する裁判員制度。法曹としての訓練を受けていない裁判員は感情論に傾きがちという批判もあるが、「感情を持った人間が裁くのだから、それでいいのでは」と小川は述べる。「感情は理性や理論の下に見られてしまうが、パスカルも、合理的精神だけではなく繊細の精神が大事と言っている。両方ないと物事の本質は見えない。感情ベースでいいじゃないかというのが、物事の視点の1つだ」

例5:教育問題は「プラグマティズム」で考える

 教育問題については、「プラグマティズム(道具主義)という思想が見直されている」と小川氏は考えている。「知識は道具」ととらえることで、「世の中のいろんなものの見方が変わる」。その究極が哲学だと小川氏は主張する。「哲学は役に立たないとか、哲学書を読んで楽しむだけでいうという人もいるが、道具としてとらえれば、いろんなものを分析するツールになる。道具主義の発想でいろんなものを見直すを、役に立たないと思われていた知恵が意外と役に立つことが分かると思う」

   

 

*ライティング:岡田有花

*写真:田口沙織

*ジセダイガク会場:株式会社OPT(http://www.opt.ne.jp/)内「オプトカフェ」


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10代〜20代・ジセダイガク受講生の「授業を受けた感想」

《5段階評価》            《コメント》

3 哲学という現実離れと思われがちなものを現実につなげて、本質的に考えるということが、大変勉強になりました。 25歳・会社員男性
4

 

問題に対して意見を言えない自分がいたことが分かったため。 22歳・男子学生

3

 

自分の現状を把握できた。もっと自分なりの意見を持っていきたい。 23歳・男子学生

4

 

もっと深い話を聞きたかったです。 22歳・会社員男性

4

 

哲学は自分にとって遠い存在でしたが身近な問題に応用できるという目からウロコな授業でした。 24歳・男子学生

5

 

本で書かれている哲学の考え方を復習できてよかった。 23歳・男子学生

4

 

根源的な哲学という学問分野を使って様々な問題を捉えているのが非常に興味深かったため。 21歳・男子学生

3

 

都市計画の話に一番興味があった。 25歳・男子学生

5

 

自分が普段考えていないような視点で問題を考えて、「そもそも」が大切なのだと、本質を知ろうと思いました。 28歳・会社員男性

4

 

プラグマティカルな哲学という、一見矛盾に見える解き方が面白かった。 23歳・女子学生

 

ためになりました。 20歳・男子学生

5

 

本のイメージとかけ離れた明るい講義に驚き。やわらかく説明していただいた考え方を武器に様々な問いを世界に投げかけていきたい! 20歳・男子学生

4

 

「そもそも」という本質を追究するのが哲学という大元について教えて頂いた。「そもそも」を追求しきれているのか、自分の理解の追いつかぬ部分もあり精進していきたい。 20歳・男子学生

5

 

プラグメティスム、なるほど! 男性・自営業

5

 

考えて答を出すということを学んだ。小川先生は、本で潔く答を出していたため、その姿を見習いたい。 22歳・男子学生

4

 

哲学の実践を日本で広めていくべきだという思いは以前からあったので、小川さんの生のお話を聞けて良かったです。日本を良い方向に変えていきたい。市民の政治参加を広めていきたいという点で一番共感できました。 23歳・男子学生

4

 

弁証法を実際に活用しての考え方の流れ、哲学は問題の本質を捉えるものという定義など、あまり普段は考えられないような物事のオンパレードでした。 17歳・女子学生

4

 

本自体のつくりもそうだが、AとBの説をあげつつ、Cの説を出すときのA、Bの掘り下げ方が少なくて残念だった。ただ今回のレクチャーで背景にある思考が少し見えたので、本の構成や小川さんが日頃から考えていることが見えてよかった。 29歳・女性

4

 

本を読んだ直後には各章における結論に違和感を覚えたが、講義の中で「構造」を読むものだったと気づいた。帰って読み直したい。 25歳・会社員男性

5

 

答のない思考が楽しかったです。 22歳・男子学生

5

 

単純に小川さんの人柄に惹かれました。ユーモアがあふれる方でとても楽しく話しを聞けました。深く深く物事を考えていきたいです。 22歳・男子学生

 

授業のもとになった『日本の問題を哲学で解決する12章』(星海社新書)


内容紹介・試し読みページはこちら!!


当日の授業動画はこちら!!!


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