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HOME > ジセダイ編集部 > エディターズダイアリー > 「OMOTENASHI」は「おもてなし」ではない

エディターズダイアリー

「OMOTENASHI」は「おもてなし」ではない

今井雄紀
2015年03月02日 更新

2020年、東京オリンピックまであと5年となりました。
選考理由は多岐にわたると思いますが、
滝川クリステルさんがおっしゃった「OMOTENASHI」も、
その一因となっていることでしょう。

・財布を落としても戻ってくる
・街中が清潔で、タクシーの運転手も親切
・ミシュランに認められたレストランがいっぱい!
 
という感じで、東京の魅力を立体的にアピールされました。
おそらく過去の選考基準・理由をもとに
戦略的に作られたアピールポイントだと思うのですが、
「日本語話せないと受けられないサービスばかりだ」
「電車の混雑、道路の渋滞をどうにかしてから言えよ」
といった声は少なくありません。

世間的に正解とされているものを準備するのではなく、
相手の、時に「みんな」ではなく「あなた」の立場に立って、
いかに快適に過ごせるか、どうしたら一番喜んでもらえるかを考える。
本当の「おもてなし」ってそういうもんだろ、というわけです。

先のプレゼンを創り上げたたのは、
日本が誇るコミュニケーションのプロたちだったと聴いています。
彼らは「おもてなし」との違いなど百も承知で、
「OMOTENASHI」を使ったのでしょう。
結果を出した以上、その選択は正解だったと言わざるをえません。

余談ですが、ぼくは三井不動産がディズニーランド招致のために行った、
ディズニー幹部へのおもてなしの話が大好きです。

東京から浦安へと移動するリムジンバスの車内で、
振り袖姿の女性が小さな冷蔵庫を前に、
「飲み物はなんでもありますので、
好きなモノをご注文ください」と言いました。
幹部達は、「そんな小さいアイスボックスを前に冗談を……」と思いながら
「じゃあ、ブラッディーメアリーを。ウォッカはストリチナヤで」
なんて注文をするわけなのですが、見事に全部出てくるわけです。
「それはアイスボックスじゃない! マジックボックスだ!」
とまで言わしめたこの最高の「つかみ」は、
彼らが普段何を飲み、食べているかを事前に調査し、
傾向と対策を練った三井不動産のサービス精神の賜物でした。
(詳しくは、『「エンタメ」の夜明け ディズニーランドが日本に来た!』をお読みください。超名著です)

話がそれましたね。

東京都がプレゼンで使用したことにより、
「おもてなし」は流行語大賞も受賞。
若い世代にとっても、グッと身近な言葉になったのではないかと思います。 

しかし、言葉を知るイコール体得できたと考えるのは浅はかというもの。
この間、これって、OMOTENASHI? おもてなし?
と思った出来事がありました。

先日、学生時代の恩師のゼミで行われた、
短い合宿にお邪魔してきました。
プレゼンとフィードバックを繰り返す、
かなりストイックな内容で、
会話を楽しんでいる時間も、
盛り上げに使う予算もありません。

そんなですから、食事ぐらいは楽しみたい。
でも、その日ぼくら(社会人6人が参加していました)に与えられた夕食は、
別室で、6人で、冷めたホカ弁という、なんともしょっぱいものでした。

いや、別に不正解ではないのです。
ホカ弁はうまいし、6人はみんな同じゼミ出身で仲もいいし、
別室は落ち着いてるしで、悪くない。
悪くないけど……。

先生も学生も含めて20人の参加者がいて、
予算は10,000円ぐらいだったのだと思います。
500円のホカ弁を20個買ってくれるぐらいなら、
ぼくはおでんがよかった!

ちょうどファミリーマートが、
おでん全品70円セールをしている時期でした。
10,000円あれば、140個は買えます。

140個のおでんが入った鍋は、五感にガツンとくるでしょう。
大きな鍋に満ちた出汁と、色で味の染みを誇示する具材たち!
ふたを開けた瞬間に立ち上る湯気と、嗅ぐだけで味を思い出すやさしい香り!
ひとり7つ食えれば、お腹は十分ふくれますし、
なにより温かいものをみんなでつつくって楽しい。
合宿のその後も、よりよいものになるに違いありません。

「大人の人だし、静かなところでゆっくり食べてもらおう」
それはきっと、不正解ではありませんでした。
むしろそれを正解だとする大人もいるでしょう。
でもぼくにとっての正解は、おでんだったのです。
当ててくれていたら、もっともっと楽しかった。

相手にとっての正解を見つけるための、
創造的でワクワクする思考法こそが、
「おもてなし」の極意なのだと、再認識した夜でした。

5年後、世界中から日本にやってくるお客さんたちが、
「ありがたいけど、おでん食いたいなー」と思わないよう、
ぼくもできることをやっていきたいなと思います。

エディターズダイアリー

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