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HOME > ジセダイ編集部 > エディターズダイアリー > 「よく覚えとけ。現実は正解なんだ。」立川談志49歳のことばが身にしみる

エディターズダイアリー

「よく覚えとけ。現実は正解なんだ。」立川談志49歳のことばが身にしみる

竹村俊介
2012年03月25日 更新

3月の新刊『君の歳にあの偉人は何を語ったか』

一番好きなエピソードが立川談志のこのエピソード。

実はあんまり年齢は関係ないのだけど49歳の達観した哲学が心に染みます。

 

今回はこの項目をご紹介します。(ほぼ転載)

 

 

 

「よく覚えとけ。現実は正解なんだ。

 時代が悪いの、世の中がおかしいと云ったところで仕方ない。

現実は事実だ」(立川談志/49歳)

 

  

■嫉妬しても何も状況は変わらない

 

何をやってもうまくいく人がいる。

要領がよく、周囲からも何かと気に入られるような人だ。

明らかに自分のほうが頑張っているし、結果も出している。

なのに、注目されるのはいつもアイツ。

そんなときに、思わず芽生えてしまう感情が「嫉妬」である。

 

「実力者に気に入られているから」

「たまたま運よく結果が出ただけだろう」

「本当は自分のほうが……」

など、自分より前を走っている人を見ると思わずそんなことも言いたくなってしまう。

 

立川談志の弟子である立川談春は、

立川志らくが入門してきたときに、まさにそんな感情を抱いていた。

 

志らくは入門当初から談志に気に入られており、こんなことまで言われている。

「あのな、今度来た志らくは変な奴だぞ。毎晩俺の夢に出てくるんだ。こんな弟子は初めてだ」

 

一方の談春は、17歳のときに高校を中退して談志に弟子入り。

志らくよりもキャリアは1年半、上回っている。

厳しい修業に耐え続ける日々を考えれば、

落語の世界での1年半は決して短い年月ではない。

 

この頃も「魚河岸で働いて、礼儀作法からみっちり身につけて来い!」という談志の突然の思いつきで、

弟子はみな築地市場で働かされていた。

 

実に1年にも及んだこの修業を、志らくも入門時に談志から命じられた。

だが、志らくは、あっさりと断ってしまう。

普通なら怒りを買うところだが、志らくの場合はそこがまた気に入られてしまい、

談志はうれしそうにこう言って、談春を嫉妬させた。

 

「河岸へ行って修業してこいって云ったら、野郎、嫌ですって云いやがンだ。

 じゃあクビだって云ったら、クビも嫌ですとよ。両方嫌じゃしょうがねェよナ。

 それじゃウチに入るかと聞いたら、はいって涼しい顔してやがる。変なヤツだぞ」

 

談春が兄弟子として注意しても

「私は、自分のしたくないことは、絶対にしたくないんです。師匠はわかってくれています」

と平然と答える志らく。

会社で言えばまさに生意気な新人そのものである。

扱いづらいうえに、上に認められているところが、タチが悪い。

 

そんなある日、談志は談春の胸中を見透かして、「お前に嫉妬とは何か教えてやる」と言って、

次のように説いている。談志、49歳のときの言葉だ。

 

「己が努力、行動を起こさずに対象となる人間の弱みを口であげつらって、

 自分のレベルまで下げる行為、これを嫉妬と云うんです。


 一緒になって同意してくれる仲間がいれば更に自分は安定する。

 本来なら相手に並び、抜くための行動、生活を送ればそれで解決するんだ。

 しかし人間はなかなかそれができない。嫉妬している方が楽だからな。

 芸人なんぞそういう輩のかたまりみたいなもんだ。

 だがそんなことで状況は何も変わらない」

 

嫉妬に陥ると、つい相手の実力にケチをつけたくなるものだ。

しかし、相手の評判を貶めたところで空しいだけ。

本当に悔しければ、とるべき行動は別にあるはずだ。

 

談志にそう指摘された談春は、それ以来、志らくとできるだけつるむようになった。

そして志らくの意外なまでの古典落語への愛情、そしてその圧倒的な覚えの早さに舌を巻いたのである。

結局、志らくは談春よりも早く、真打ちへと昇格。

談春は自ら名乗り出て、志らくの真打ち昇格パーティの司会を務めた。

後輩が自分を抜くパーティを、自らが司会をして祝う――。

自分を追い込むような行動に、談志もそれを聞いたときは思わず黙ってしまったという。



■「現実は正しい」ことから目を逸らさない

 

談志自身も真打ちになるには、苦労をした過去があった。

5代目柳家小さんに弟子入りしたのは16歳のとき。

早々と落語界で生きていくことを決め、抜群の実力を誇りながらも、

真打ちになったのは入門から11年目、27歳のときと遅かった。

自分よりも後に入った者が不可解な基準で、自分より先に真打ちになり、悔しい思いもしてきた。

志らくに抜かれた談春の気持ちもまた、痛いほどよくわかったはずだ。

先に談春に語った「嫉妬論」も、自らに言い聞かせていたものかもしれない。

 

嫉妬について語った後、談志はさらに次のように続けた。

 

「よく覚えとけ。現実は正解なんだ。

 時代が悪いの、世の中がおかしいと云ったところで仕方ない。

 現実は事実だ。

 そして現状を理解、分析してみろ。

 そこにはきっと、何故そうなったかという原因があるんだ。

 現状を認識して把握したら処理すりゃいいんだ。

 その行動を起こせない奴を俺の基準で馬鹿と云う」

 

毒舌や破天荒な行動で世間を騒がせることも多かった立川談志だが、真剣に話すことはしごく真っ当である。

現実の評価を軽んじても、何も進歩がないと談志は考えていた。

 

君が今置かれている状況や、これから起こりうる事態において、納得いかないこともあるだろう。

「こんなはずじゃない」「きっちりと評価さえしてもらえれば」

という気持ちにもなるかもしれない。

しかし、現実の状況はすべて自分の行動が作り出したもの、ということを忘れてはならない。

ほかの誰でもない自分が歩んできた人生。

起きていることの原因はすべて自分自身にある。

逃げずに、現状分析すること。

そして問題点を解決するための対策を考えて、それを実行していくこと。

自分のやるべきことが見えてくれば、他人の足を引っ張る暇など、まるでないことに気づかされるだろう。

 

 

49歳の立川談志は僕らにきっとこういうだろう。

「起きていることすべての原因は自分にある。問題点を分析して、具体的な行動に移せ」と。

 

 

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『君の歳にあの偉人は何を語ったか』

著者:真山知幸
ISBN:978-4-06-138514-6
発売日:2012年03月22日
定価:820円

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