広報の築地(@seikaisha_kt)です。
2015年も、どうぞよろしくお願い致します。
さて、みなさん、年末年始はどのように過ごされましたでしょうか? 僕はこの時期、いつもそこそこお酒を飲みます。もっぱらこれまでは、ほぼビールでした。でも今年の年末年始は違いました。日本酒です。日本酒を自分で選んで実家に持って帰り、あたかも前から知っていたかのようなウンチクを語りながら家族に振る舞う、みたいなことをやってしまいました。すみません。ただ、これがウケました。正直、気分が良かったです。もちろん、そうして飲んだ日本酒は美味しかったですね。
さてこのきっかけとなったのが、昨年11月に発刊した星海社新書『白熱日本酒教室』なのです。日本酒を選ぶ、飲み比べる、料理に合わせる、といった魅力がぎゅっと詰め込まれている一冊。タイトルに「教室」と付いていることからも想像されるかもしれませんが、まさに「講義」スタイルで展開されていく本書内容。その「講義」を、実際にみなさんの前で行われたイベントが12月に開催されました。
その名も、「飲める! 学べる! 今日から日本酒を楽しもう! 『白熱日本酒教室』発売記念特別講義」@東京カルチャーカルチャー。
日本酒にまつわる講義を聞きながら、会場に用意された11種類の日本酒がなんと飲み放題! さらに焼き鳥が付いてくるというとっても贅沢なイベント。本日はこのイベントレポートをお届けします。
ご登壇頂いたのは、著者の「むむ教授」こと杉村啓さん、本書にてイラストをご担当頂いた「助手」のアザミユウコさん、そして「講義の生徒役」として声優のたなか久美さん。この御三方による講義スタイルでイベントが行われました。
こちら、ご参加頂いたみなさんに配布された講義並びに日本酒のメニュー表です。講義は全3部構成で、表の右側が飲み放題の日本酒リスト。僕はこのリストを見て、「あ! 「篠峰」あるじゃん!」と早速唸ってしまいました。そうなんです。とある方に勧められてからハマってしまった銘柄がこの「篠峰」だったのです。すでに飲みたい欲求が……。しかし、ここはぐっとこらえて、イベントのスタートを迎えました。会場は先もお伝えした通り、満員御礼。およそ100名の日本酒好きのみなさんがお集り頂き、「宴会」もとい「講義」の始まりです。
杉村:星海社新書『白熱日本酒教室』発売記念イベントということで、たくさんの方々にお越し頂き本当にありがとうございます。早速ですが、まずは乾杯から! 乾杯に使うお酒は、お手元のコップに赤い線が引いてあるやつですね(銘柄は伏せてある)。
乾杯!
杉村:始まりましたねー。さて、本日のお約束事をお伝えしますね。乾杯したあとに言うことじゃないんですけどね(笑)。 未成年の方は、飲んじゃだめですよ(笑)。て、ここにはいないですよね。失礼致しました。本日は、東京は大塚にあります酒屋「地酒屋こだま」さんにお越し頂き、厳選された11種類の日本酒が、なんと飲み放題です! さらに、会場で気になった日本酒を買って帰ることもできてしまうのです。いやいや、素晴らしいですね。会場入り口では『白熱日本酒教室』も販売しております……、とお伝えしましたが、なんとすでに8割ほど売れてしまっているようです! いやー、すご……ゴホゴホ(杉村さん、興奮して咳き込む)……ありがとうございます!
さて、杉村さんの軽快なトークと乾杯で会場が温まり、ご登壇頂いた御三方のご紹介に入ります。
杉村:それでは、本日の講義に際し、壇上の方々をご紹介します。
たなか:こんばんは、声優をしております、たなか久美です。今日は日本酒が大好きということでここにいます! 好きなだけで詳しくはないので、楽しく勉強します! 変なこと言っても暖かい目で見守ってください(笑)。
杉村:よろしくお願いします。事前に好きなお酒は? という質問に対して、「真澄」とお応え頂きました。
たなか:はい、お正月には必ず飲みます。すーっと飲めて美味しいんです。
杉村:そうですね。「真澄」はすっきりな後味が好きな方に好まれますね。たなかさんは今日は生徒役になって頂きます!
アザミ:アザミユウコです。
杉村:アザミさんはご存知の方ももちろん多いと思いますが、イラストレーターであり漫画家の方です。僕が「むむ教授」として登場する『酩酊女子〜日本酒酩酊ガールズ〜』(ワニブックス)という本があるのですが、実はここに『白熱日本酒教室』の原型が詰まっているんです。
アザミ:あー、なんで『酩酊女子』、この場に持ってこなかったんだろう!
杉村:そうですよ、アザミさん! もったいない(笑)。はい、それはさておき(笑)、僕が「むむ教授」です。まだ僕を見たことがなかった方で、本を読んでからこの場にお越し頂いたみなさま、「低身長、金髪女子」ではなくてすみません! いちおう、格好だけは白衣を着てそれっぽくしました(笑)
こうして御三方のご紹介が終わり、いよいよ講義に入っていきます。
杉村:さて、まず最初に、乾杯したお酒は「甘口」か「辛口」か、どちらでしょう? たなかさん、どちらだと思います?
たなか:そうですねー、味わい深いんですが、すっきりしている気が……。早速、難しいです(笑)。私、お酒って男性のイメージを沸かせるんですよね。なんかこれは、メガネを掛けてそうな秀才な男性、というイメージなお酒です(笑)
杉村:なるほど(笑)。では、回答します。こちらは、八反錦(はったんにしき)というお米を使った辛口の純米酒、「永寶屋」という銘柄です。リストの1番ですね。そして「25BY」という表記は、「平成25年度に作られたお酒」という意味なんです。冷えていると甘い香りがするんですよ。こちらを飲んだ後、10人に聞くと「甘口」、「辛口」の印象はだいたい半々に分かれます。少し「辛口」の印象のほうが多いかなー。
たなか:そうなんですねー。
杉村:さて、ではなぜこのように「甘口」「辛口」といった印象のバラつきが生まれるのか? それは、味というものが香りに大きく影響を受けるからなんです。鼻が詰まっていると、味って感じづらいですよね。リンゴの香りを嗅ぎながら砂糖水を飲むと、リンゴジュースの味がするという実験結果もあるくらいなんです。
杉村:このように、その時々の匂いの状態に左右されやすいので、日本酒の「甘口」「辛口」を判断することは、意外とめんどくさいんです。ですので、ラベルに「甘口」「辛口」と書いてあっても気にしないで、自分がそう思えばそれでいいと思います。さらに言うと、「甘くない」という意味で「辛口」が使われている、とも言えます。そもそも、香辛料や塩など辛い要素が日本酒には入っていないため、本来「辛い」ということはないんです。なので、甘くないんですよ、という意味で「辛口」と使われています。今後は、日本酒を注文するときに「辛口で」という注文はできるだけ避けて、味のイメージで伝える方が伝わりやすいかと思います。どっしりとした、旨味や重みのある、とか、後味の切れがよい、とか。
アザミ:この部分、つまりお店で注文する際、いつも難しいなあって思うんですよね。
杉村:そうですね。僕の場合は、この料理に合う銘柄は? というように聞いていますね。
杉村:では、次に進みましょう。本書でいうと16時間目のお話です。
たなか:みなさん、本をテキストのように開きながら聞いてくれているのが、ほんとに授業のようですね(笑)
杉村:嬉しいです! さてここからは、日本酒と料理を合わせる、というお話です。なぜこのふたつを合わせるのか? それは、日本酒は食中酒だからなんです。つまり、日本酒はもちろん単独でも美味しいのですが、料理と合わせるともっと美味しくなる、ということです。では、そもそも料理と合わせて美味しいとはどういうことなのか? この組み合わせでイメージしやすいのが、熱々の揚げ物とキンキンに冷えたビール、チョコレートとウイスキーあたりでしょうか。チョコレートとウイスキーという組み合わせを初めて知った時は、なんて大人はずるい楽しみ方をするんだ、と思いました(笑) それから王道と言えば、チーズとワインですかね。
杉村:さて、ここに挙げた組み合わせ3タイプは、はたして同じタイプのものなのでしょうか? ここを見ていきたいと思います。まず、揚げ物とビールの組み合わせは「一気に飲む、食べるで味わう爽快感」と、チョコレートとウイスキーは「じっくり味わう」というような印象を持ちませんか? つまり、それぞれの組み合わせで向いている方向性が違う印象があります。日本酒にももちろん当てはまるタイプがあり、例えばウォッシュタイプは脂の乗った焼き魚には抜群の相性で、口の中を爽快感とともにキュッと締めてくれます。揚げ物とビールの組み合わせは、まさにこのウォッシュタイプですね。
アザミ:すごく美味しそうですね。段々お腹が空いてきてしまいました(笑)
杉村:それから、甘い日本酒が発展した地域の料理は、塩と醤油と味噌で味付けをした料理を出すところが多かったりします。逆に九州などに多いのですが、砂糖等を使った甘い料理の地域は、辛い焼酎が発達していたりします。さて、チョコレートとウイスキーのように同じ方向を向いていて合わせやすいもの、これがバランスタイプです。この場合、その方向性のほかに、それぞれの持つ強さも重要なんです。そして最後のチーズとワインは、いわゆるフランス料理の世界ではマリアージュタイプと呼ばれています。組み合わせることでお互いのマイナスの部分が隠れる、つまり酸味が強いとか乳脂肪分が重い、などといった部分がお互いにうまい具合に隠れて新たな味わいが生じます。日本酒に置き換えると、甘めの日本酒と酢の物で、甘酸っぱいという新しい味わいが生まれる。酢の物の酸っぱい部分はほどよく中和されますね。それから、魚の刺身と日本酒の組み合わせは、いわゆるハズレが少ない。それはなぜかとうと、日本酒には消臭効果があるからです。生臭みを消すんですね。ここまでが、料理と日本酒を合わせる、というポイントの解説でした。ちなみに、いますぐ試せるマリアージュタイプ、なんだかわかります?
たなか:んー、なんでしょうか……。
杉村:実は、コンビニとかで買えるお手軽な食品があるんです。それが、カロリーメイトフルーツ味。これが実に旨いことがわかりました。是非、試してみてください。
この回答には会場のみなさんも驚きの様子でした。
杉村:さて、みなさん、お腹が空いてきました? お待ちかねの焼き鳥タイムです! そもそも、日本酒になぜ焼き鳥なのか? それは、焼き鳥はなんといっても甘辛くて、脂っ気が強い料理です。そしてタレと塩がありますよね。つまり味が強くて甘いものと、塩味のものとが両方楽しめる。ですので、さきほどの相性3タイプを試しやすいのです。さてここからは焼き鳥を食べて、日本酒を飲んで実際にご自身でその相性を確かめてみてください。
改めて、こちらが当日会場にて振る舞われた11種の日本酒です。ちなみにこのなかで、お肉に合う銘柄として杉村さんは以下の3つを挙げていました。
・篠峯 生酛 純米 一回火入れ原酒 25BY
・奈良萬 純米 無濾過瓶火入れ 25BY
・辰泉 山廃 本醸造 こだま別誂え 生原酒 25BY
杉村:今日はお水の持ち込みが自由です。お水、ガンガン飲んでくださいね。悪酔いを防ぐにはお水が一番なんです。
こうして、日本酒を飲みながら講義は続いていきます。
杉村:この相性3タイプを知っていると、例えば家でひとりで飲む時も、いろいろ試しつつ自分の好みを探る楽しさを交えて飲めますよね。そして、ここで少し固めの話をします。味のポイントはなにか、みなさんわかりますか? それは「旨み」です。この「旨み」はいくつものアミノ酸で形成されています。料理の持つ「旨み」と、日本酒の持つ「旨み」が合わさること、つまり異なる種類のアミノ酸が合わさることで、1+1=2、ではなく、3にも4にもなるのです。このことによって、「旨み」が増していきます。「合わせダシ」のようなものですかね。そして、日本酒のラベルには「アミノ酸度」が書かれているものがあります。日本酒はアミノ酸がすごく豊富なお酒なんです。そして、あらゆる料理はいずれかの日本酒に必ず合う、これは断言してもいいでしょう!
アザミ:おおお!
杉村:例えばこれは合わないんじゃないか、と思えるもの、そうですね、カレーとか。例えば、今日の日本酒メニューのなかでは「黒松仙醸 こんな夜に…」はカレーに合いそうです。あと和菓子、フルーツもかなり合う銘柄がありますね。ですので、これは合わなそうと思っても、自分なりに探せば必ず見つかります! お店等でも聞いてみると相性の良い組み合わせを教えてくれたりもするので、ぜひ聞いてみてください。最近はフランス料理に日本酒を合わせる、なんていうのも流行ってきています。さて、いよいよここからはフリー日本酒解禁です!
ここからは、いよいよ会場の日本酒が飲み放題となり、会場からは大きな歓声が沸きました。
こちらはお酒を振る舞って頂いた地酒屋こだまさんのブース近辺の様子です。フリー日本酒解禁直後は長蛇の列となってました。スタッフのみなさん、そのパワフルな振る舞いがたくましかったです。また、休憩時間には杉村さんとアザミさん、そしてたなかさんのサイン会も実施され、こちらもたくさんの人が並んでいました。
こうして、講義第2部以降は飲みながら、食べながら講義を聞くという、とても賑やかな雰囲気で進んでいきました。講義第2部の内容は、「ラベルは日本酒選びの参考になる」など、『白熱日本酒教室』に詳細がきっちり掲載されている内容のいくつかをお話されていました。かなり深い内容ですので、是非本書に目を通してみてください。
さて、このイベントレポートの最後に、講義第3部の内容をちらっとご紹介したいと思います。
いわゆるこのパートは、本書制作過程のウラ話、といった内容でした。
杉村:さて、本日最後の第3部、ウラ話コーナーです! ここはQ&A形式でいきましょう。たなかさんにご質問を投げかけて頂きます! 最初はこちら!
たなか:はい、では張り切っていきます! 「なんで『白熱日本酒教室』という名前なんですか? もしや、「あれ」のパクリですか?」(笑)
杉村:いい質問ですね(笑)。はい、ではお答えしましょう。タイトル決めの当時に、僕がサンデル先生の「ハーバード白熱教室」にどハマりしていました! パクリというと響きが悪いので、つまり……「オマージュ」です!
会場爆笑!
杉村:はい、きちんと説明しますと、タイトルはなにか教科書っぽいネーミングがいいなーと漠然と考えてまして。チャート式、とか。そんな時に、「ハーバード白熱教室」一挙放送にどハマりしてしまいまして、「これだ!」と。アザミさんも共感してくれました(笑)。また、「白熱」の部分をやかんとか湯気とかで囲んで、白熱感を出すのはどう? なんていうアイディアも出ましたね。このイベントももっとサンデル先生っぽく登場すればよかったかも!
とまあ、講義第3部はこのあとも楽しいウラ話で盛り上がり、無事イベント終了となりました。
会場販売のお酒も売り切れとなった銘柄も有り、そして『白熱日本酒教室』は完売でした! お買い上げ頂いたみなさま、本当にありがとうございました。そして今現在、おかげさまで本書は重版を経て販売好調です。杉村さんは今後もイベントやラジオ等メディアへのご出演など、続々と決まっております。ジセダイでも随時、情報をお伝えしていきますのでツイッター等お見逃しなく!
それでは、星海社新書『白熱日本酒教室』をよろしくお願いいたします!
著者:杉村啓 絵=アザミユウコ
定価:820円(税別)
ISBN:978-4-06-138560-3
発売日:発売中
Amazonはこちら
著者:酩酊女子制作委員会
発売:発売中
Amazonはこちら
Copyright © Star Seas Company All Rights Reserved.
コメント