就活が例年の2ヶ月遅れでスタートした、という記事を見かけ自分の就活を思い出した。
僕は大学2年時に早くも留年が決定するという、学業的には超劣等生だったわけだが、就活には全く苦労しなかった。
いわゆる世間一般的に“立派な会社”と認識されている企業複数から内定をいただいた。
就活に対し、思い入れどころか何か怨念すら感じる星海社新書編集長・柿内とは違い、就活リア充だったのである。
自分でも“就活ってこんなに簡単にうまくいくものなのか?”と疑問に思ったくらいだ。
僕の就活時期だった2007年は、リーマンショック前の空前の売り手市場だったので、
当時は“景気が良いから楽勝なんだな”と結論づけていた。
だが社会人を経験して4年経った今、その勝因は別にあったと考えている。
結論から言うと
就活生だった当時の僕は“社会人”を全く過大評価していなかったのである。
社会人になってからOB訪問を受けて気づいたのだが、就活生はとかく“社会人”を過大評価しがちである。
「社会人は相手を一目見ただけで、有能かどうか判断できる」とか「ビジネス経験豊富な社会人は、
自分たちの見栄やウソなんてお見通しだ」など結構本気で思っている就活生は多いが、検討違いも甚だしい。
社会人になったからといって、エスパーになるわけではない。
なのに就活生は例えば面接で、少し受け答えがうまくいかなかったら、必要以上に意気消沈してしまう。
予想外の質問や答えづらい質問を受けたとき、すごく慌ててしまう。転じて面接官に悪印象を与えてしまう……。
これらは上記の“検討違い”から、勝手に就活生が過大なプレッシャーを背負って、自滅するケースである。
繰り返し言うが、社会人はエスパーではない。
相手のことをそんなに簡単には理解できない。だが、判断はできる。
「こいつは何か良いな……」と思いっきり主観に基づく判断である。
何が言いたいのかというと、(入社後のことはとりあえず置いといて)“内定獲得”のみを目的とするならば、
面接官の主観に基づく判断の正否はどうでもよくて、「こいつは何か良いな……」と判断させることが重要なのである。
極端に言い換えると
10分間の面接で自分の良いところを余すことなくアピールしようとするのではなく
10分間の面接で「こいつは良いな」と面接官を錯覚させるのである。
思考の逆転である。
自分の本当の長所(例えば思いやりがあるとか、慎重であるなど、すぐにはわかりにくい長所)
を知ってもらうのに10分間はあまりにも短かすぎる。
逆に本当はあまり凄くはないけど、10分間だけなら「こいつは良いな」と思わせることはできるのではないか?
という思考。
同じ10分でも前者は絶望、後者は希望である。
知ってもらうのではなく、思わせる。その目的のために手段を問わないのであれば、
ウソも“話を盛る”こともアリだろう。
これは「社会人がエスパーである」と過大評価していては、絶対にできない。
だが、意識的にしろ無意識的にしろ、実際にこういう風に面接をくぐり抜けて来た人は、確実に存在する。
また、ここまで読んだ方の中には「面接官を錯覚させて内定を得ても、入社後に苦労するのではないか?」
と疑問に感じる人がいると思うが、その問いに対しては「長所の帳尻が合うから問題ない」と答えたい。
要は10分間で錯覚させた、ウソの長所を演じ続けるのではなく
10分間で伝えきれない本当の自分の長所を、一緒に仕事をする人に時間をかけてアピールしていけば良いのである。
そうすれば帳尻が合う。
「●●さんは最初は■■だと思ってたけど、一緒に仕事してみると△△で良かったわ〜」なんて台詞は
多くの人が聞いたことがあるはず。
短所のない人間がいないように、長所のない人間もいないのだから、
入り口がウソでも、出口で本当にすることは可能である。
次回は、どうやって「こいつは良いな」と思わせるかについて……
続く……のかこれ!?
エディター
星海社エディター。1984年生まれ。山梨県出身。関西学院大学文学部卒業後、森ビル株式会社に入社。3年間、不動産取引に従事。2011年4月、星海社に転職。尊敬する人物は武田信玄とビスマルク。
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