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エディターズダイアリー

校了童貞喪失の朝に

今井雄紀
2013年11月07日 更新

ついさっき、人生初の「自分が担当した本」の校了を経験しました。
校了とは、印刷用語で、「本を刷るだけの状態にすること」です。

2013/11/7(木) 午前3:43に僕は、「校了」と書かれたハンコを原稿に力強く押し付け、
凸版印刷さんへの受け渡し窓口にその封筒を預けました。
この原稿が印刷され、製本され、全国の書店さまに届けられることになります。

その本の名前は、『百合のリアル』。
牧村朝子さんという、パリで最愛の女性と同性婚を果たした方が書いた、星海社38冊目の新書です。
瑣末なことではありますが、僕にとって初の「編集主担当」新書でもあります。

星海社に来て1年と半年、何冊もの本の校了に「副担当」として関わらせて頂きました。

「副担当」という名前ではありますが、
作家さんとの連絡やデザインをはじめとした本造りに関わる手配のすべてを、自分ひとりで行います。
4冊を同時に校了した月もあり、「本造り」にも、それなりに慣れてきたつもりでいました。
「主担当になっても、これまで通りやれば大丈夫」そう、考えてこの本の制作をはじめました。

結論から述べると、「副担当」と「主担当」は別世界でした。
小学生と高校生ぐらいの差が、あったと思います。
僕がやっていたのは「数学」ではなく「さんすう」で、「現代国語」ではなく「こくご」でした。

判断を迷った時、副担当は主担当の指示を仰げばOKです。
仕事をすすめる上での最低限のマナーとして自分の意見はもちろん述べますが、決めるのは主担当。
判断待ちで、進行が滞ることもあります。
正直、この「指示を仰ぐ」というステップが、煩わしいときもありました。
「これぐらい自分で決めれたらいいのに」と思ったりして。

今から思えば、当時の自分は本当にバカだったと思います。
この「決める」という作業がいかに重要で煩わしいものかを理解していなかったのです。
副担当と主担当の一番の違い、それは意思決定することにありました。

主担当になってからというもの、編集長やデザイナーさん、フォントディレクターが鬼に見えました。
みんなアドバイスはくれるのですが、必ず最後に「決めるのはお前だけどな」と付け加えてきます。
前はあんなに決めてくれたのに! 聞けば、「答え」を教えてくれたのに! 

タイトルをどうするか、帯の写真を誰にとってもらうか、帯のキャッチコピーをどうするか、
目次は入れるのか、ページ数の調整は可能か、あらすじで何を伝えるか、
プロフィールをどう組み立てるか、校閲にはいつ入れるのか、伝える相手は誰なのか……。
あらゆる問題の決定権は、僕に委ねられました。

そうして、決定に決定を重ね、今、1冊の本が出来上がろうとしています。
こんなこと言うと牧村さんに失礼かもしれませんが、今、むちゃくちゃ不安です。

出てきたのは、正解のない問題ばかりでした。
判断したのは「主担当童貞」の僕です。
すべてで良い点がとれてるかと言われると、とてもそうは思えません。

ただ、今持っている力は、出し尽くしました。

・編集長や副社長、正面に座る後輩に百合好きの知人、あらゆる人にアドバイスを求めました。
・帯のキャッチコピーは100案以上考えた中から1案を選びました。
・あらすじを確定させたのは、今から12時間前ぐらいです。(デザイナーさんにすっごく迷惑かけました)
・最後の訂正を入れたのは、校了10分前でした。
 
すべてがギリギリで、でも、全力でやりました。
僕だけじゃありません、著者の牧村朝子さん、構成の小池未樹さんもそうです。

フランス在住の牧村さんとは、Skypeを使って喧々諤々の議論をしました。
牧村さんの伝えたことと、僕が伝えて欲しいことが食い違い、一触即発の事態に発展しかけたこともありました。
僕の、セクシャルマイノリティの方々への理解が未熟なために、絶対にやってはいけない言葉まわしで、
原稿を直してしまったこともありました。

互いにフォローしあって、担当範囲を超えあって、
平均年齢26.3歳の3人の、もてる力のすべてを、この原稿に叩きつけました。

僕らよりうまく、この本を作れるチームはあるかもしれませんが、
僕らよりあつく、魂こめてこの本を編めるチームはないと思います。
そういう本造りが最初からできたことは、本当に幸せなことだと思います。

牧村さんは、「真摯」という言葉が似合う人です。
真面目でまっすぐで、ごまかしをしません。
そんな彼女が書いた本は、やはりとっても「真摯」な内容になりました。

やれるだけのことやりました。
あとはもう、届けるだけです。
そういう意味では、ここからが本番。
校了は、スタートラインです。

みなさんのお手元に届くのは11/25(月)。
一人でも多くの方の目に触れるよう、
今日からまた、全力で販促努力をしていく次第です。

そのまえに今日は、とりあえず一晩だけ寝かせてください。
明日からまた、「真摯」にがんばりますので、ね。

エディターズダイアリー

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