こんにちは、広報の築地です。
本日、さやわか×東浩紀×海猫沢めろん鼎談「10年代の状況とコンテンツ」イベントレポートをアップしました。
このイベントは、ゼロ年代以降のポップカルチャーについて論じた『一〇年代文化論』を上梓したさやわか氏が、毎月ゲンロンカフェで行っているイベントに、ゼロ年代ポップカルチャーの結晶とも言える奇書『左巻キ式ラストリゾート』が復刊されたばかりの海猫沢氏、そして、ゲンロンカフェのオーナーであり、『左巻キ式』に解説を寄せた東氏の三氏が参加するという形で行われました。
イベントは、開始早々大変に白熱した議論となりました。
「ゼロ年代」を、04年から現在までの10年のカルチャーとしたうえで、
東「コミュニケーションの革新がコンテンツの革新を圧倒した時代である」
と述べる東さん。
さやわか「10年代はけしてコミュニケーションだけの時代ではない」「10年代には、メインカルチャーとサブカルチャーの区別がなくなり、多様な価値観が島宇宙的に存在するようになった」
東「それは単純に「つまらない」状態を、言葉の定義を変えて擁護しようとしているだけではないか」
さやわか「そういう状況(=「つまらない」状態)をいかに肯定するかを考えた」「バラバラのままの文化が、しかしバラバラのままで、新しい時代を生み出すことが出来るのではないか」
東「最近いろんなコミニティでいろんなコンテンツがちっちゃくブレイクしてみんな楽しくやってますよ、というだけで終わってしまうし、批評する意味はないんじゃないか」「中高生のカラオケだってコミュニケーションの重要なツールだという話と、そのカラオケがコンテンツとしておもしろいかどうかは別じゃない?」「究極的には、自分の娘の運動会のビデオが一番だよね、という話になる。でも運動会のビデオをいくら集めても何も生まれないと思う」
……といった様相で、議論が平行線を辿っているようにも思えます。しかし、お二人がそれぞれに考える「ゼロ年代はこういう状況」というものを確認し合っているようにも思えました(東さんが仰っていた「こういった議論を、言い争っていると解釈さえては困る」という言葉が印象的でした)。
議論が煮詰まりかけたところで、巧みに間の手を入れるなど、要所要所でめろんさんもいい仕事をしています(みなさん、お話が巧みでイベント慣れしています、流石)。
そして、イベント中盤にて「コミュニケーションの連続こそが面白いコンテンツを生み出すと主張したいのであれば、その例を教えてほしい」という東さんの言葉を受けて、さやわかさんはあるコンテンツを提示、そしてそれがコンテンツをひとりで複数のメディアに分配していく「一人メディアミックス」であると仰る、など興味深い話が続いていきました。
イベントの帰結は、是非自分の目でお確かめ下さいませ!
今回、構成は『セカイ系とは何か』の前島賢さんにご担当いただきました。さすがは「セカイ系のセカイ的権威」、あのイベントの空気が、そっくりそのまま再現されております。
「会場に行けばよかった……!」そう思わせるようなレポートになっております。是非、各氏の著書とあわせてお読みいただけましたら幸いです。
さて、今回登壇頂いたさやわかさん、東浩紀さん、海猫沢めろんさん。
御三方の最近の活動を、をかいつまんでご紹介しますね。
最近、テレビやラジオへの出演が増えているさやわかさんですが、7月17日に放映されたNHK番組『NHKニュース おはよう日本』にもゲスト出演されました。
「子どもの心つかむ その秘密は……?」というキャッチコピーでとりあげられた大人気ゲーム『妖怪ウォッチ』について、
「学校の人間関係や生きづらさを、人間関係をやりくりできない。その場の人間関係を充実させる方法論が、子どもにも求められるようになっている。子どもがこれ(妖怪ウォッチ)を支持するのは、子どもにとって日常生活がどんどんコミュニケーションをより重視するものになっている(から)と思う」
と言及されていました。
さらにさやわかさんは、ジセダイ連載記事『ジセダイ総研』にてこの『妖怪ウォッチ』に関する記事を更新予定です。楽しみですね。
そしてもちろん、ゲンロンカフェにおける連続講座「さやわか式☆現代文化論」への今後の登壇も見逃せません。
そして東浩紀さん。8月1日に発売された新著『弱いつながり』(幻冬舎)が大きな話題を読んでおります。
僕も早速購入しました。
著書「はじめに」の部分に、
「ぼくたちは環境に規定されています。「かけがえのない個人」などというものは存在しません。ぼくたちが考えること、思いつくこと、欲望することは、たいてい環境から予測可能なことでしかない。あなたは、あなたの環境から予想されるパラメータの集合でしかない」
という一文があります。
僕はここに引き込まれました。自分自身に警鐘を鳴らされているような、そんな感覚で読み終えました。
是非、みなさんもお手に取ってみてください。
最後に海猫沢めろんさんですが、“奇書復刊”で話題の星海社文庫『左巻キ式ラストリゾート』に関して、あるツイートが反響を読んでおります。
それが「最近のラノベ」として、この『左巻キ式ラストリゾート』を取り上げたこのツイート。
https://twitter.com/enco2001/status/503893623574773760
それに対するめろんさんご本人も、きちんと反応されていますね。
https://twitter.com/uminekozawa/status/504199237941223424
まあ、こちらに関しては実際に本書を見るに限りますね。
アマゾンでのご購入はこちらから。
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/406138970X/seikaisha-22
およそ4時間を要したこのイベント。
実際に会場にて聞かせて頂きましたが、正直な話、まったく飽きのこない4時間でした。
やはりイベントはライブで、その場で楽しむのが一番です。
みなさん、ぜひゲンロンカフェへ。
広報
星海社広報担当。
1977年11月17日生まれ、O型。東京都八王子市出身。立教大学社会学部産業関係学科を卒業後、凸版印刷株式会社に入社。凸版印刷へ入社以来13年間、出版社を得意先とする営業を経験。数多くの編集者に刺激を受ける。出版というフィールドで躍動する夢を実現させるため、ミニマムな組織で大胆に戦う星海社に、2014年4月、合流。音と映像をこよなく愛し、インディーズ、メジャーを問わず、全国のライブハウスを今も駆け巡る。好きな言葉は「疾風勁草」。
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