日本の歴史を作ってきた「帝王学」の内実に迫る!
古来から日本に君臨し続ける天皇家の統治の術、それが帝王学である。古くは軍事的才能、中世においては学芸や儒学への関心、近代においては儒学と洋学の素養など、そのあり方は時代とともに変化してきたが、天皇家が連綿と続く傍らには常に帝王学が、そしてそれを涵養する教育システムが存在した。歴史をひもとく中で分かるのは、帝王学が世相や権力のあり方をよく反映した写し鏡であることだ――武家政権の時代には平和的に宮廷文化を継承し、戦前には立憲君主としての政治手腕が帝王学として教えられてきたように。逆に言えば現在の天皇家の帝王学からは、現在の、そして未来の日本の姿がよく見えてくる。
小田部雄次
小田部雄次(おたべゆうじ) 歴史学者
1952年東京生まれ。85年立教大学大学院文学研究科博士課程単位取得。立教大学非常勤講師などを経て、静岡福祉大学名誉教授。日本近現代史が専門で、華族や皇族をテーマに多くの研究成果を発表している。著書に『皇室と学問 昭和天皇の粘菌学から秋篠宮の鳥学まで』(星海社)、『徳川義親の十五年戦争』(青木書店)、『梨本宮伊都子妃の日記 皇族妃の見た明治・大正・昭和』(小学館)、『華族 近代日本貴族の虚像と実像』『皇族 天皇家の近現代史』(中央公論新社)などがある。
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