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エディターズダイアリー

リーダビリティってなんだ

竹村俊介
2011年11月30日 更新

僕が本を編集するときに気をつけているのは

「読みやすくする」ということです。リーダビリティ。

どんなにいいことを言っていても、どんなに現代に必要な考えでも

伝わらなければ意味がない。

だから、なるべくわかりやすく、ということを心がけてきました。

 

編集者が「わかりにくいな」と思ったものは、読者も「わかりにくいな」と思うもの。

僕は決して理解力も高くなく知識も多くない「凡人中の凡人」なので(おまけにノンポリ)

僕がわかるくらいの文章であれば、多くの人に届くのではないか、

そう思ってわかりやすい本を届けようとしてきました。

 

先日、『呪いの時代』(内田樹/新潮社)を読んでいると

こんな言葉に出会いました。

 

「言葉が届くというのはどういうことか。

 それは『わかりやすく書く』ということではありません。

(中略)

 いちばん大切なのは『私には言いたいことがある』という強い思いだと僕は思います。」

 

この言葉にハッとしました。

 

 

「言葉が届く」ということは 「わかりやすく書く」ということではない?

どういうことだ?

内田樹氏はこう続けます。

 

「リーダビリティを構成する条件は、表現者の受信者に対する敬意です。

『あなたの知性を以てすれば、私が言いたいことをただしく理解できるはずである』

 という受信者の知性に対する信頼の上に築かれた言葉は読者にまっすぐ過たず届く。」

 

リーダビリティを構成する条件は「受信者に対する敬意」。

どうだろう、僕は敬意をきちんと持って編集できているであろうか。

「わかりやすく」「噛み砕いて」「どんな人にでも届くように」

それはきちんと敬意だろうか。

 

「人はどれほどわかりにくいメッセージであっても、

 そこに自分に対する敬意が含まれているならば、

 最大限の注意をそこに向け、聴き取り、理解しようと努める。

 (中略)

 むずかしいメッセージを誰かに届けようと願うなら、深い敬意を込めてそれを発信しなさい。」

 

「わかりにくいメッセージは届けるのは無理」と端から思うのではなく

読者への敬意をこめていれば、かならず届く。

そう教えてくれています。

 

昔「サルでもわかる」とか「バカでもわかる」といったようなタイトルの本もありました。

しかし、サルだのバカだのと言われて喜ぶ読者はいないでしょう。

リーダビリティとはわかりやすさのことでは必ずしもない。

受信者への敬意があればわかりにくいメッセージであっても届くはずだ。 

 

今後言葉を届ける仕事をするにあたって

この文章に出会えてよかったと心から思ったのでした。

エディターズダイアリー

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