無宗教であったとしても、さまざまな信仰に
生きた人々が作りあげたものは信じることができる。
今の時代、今の日本では、宗教を信仰する人はそう多くはない。それでも、信仰に生きた人々が作りあげたものの大きさは、宗教を頼みにしていない身にも感じることはできるのではないか。その圧倒的な迫力、その恐ろしさ、あるいは、優しさ、悲しさ、そして美しさに囚われてしまったとき、ちっぽけな自分などもうどうでもよくなる。私たちは特定の宗教を信じることはなくても、信仰によって作られたもの、書かれたもの、なされたことを通じて、宗教の力を実感できるのではないか。キリスト教、ユダヤ教、イスラーム、仏教、儒教、道教。様々な宗教を研究してきた著者が人生で出合った心に深く響く信仰のことばをここに。
菊地章太
宗教史学者。1959年横浜市生まれ。筑波大学卒。トゥールーズ神学大学高等研究院(現 Institut Catholique de Toulouse)留学。東洋大学教授。博士(文学)。著書に『神呪経研究』『東アジアの信仰と東西交渉』(以上、研文出版)、『儒教・仏教・道教』(講談社学術文庫)、『弥勒信仰のアジア』(大修館書店)、『哀話の系譜』(法藏館)、『ユダヤ教 キリスト教 イスラーム』『エクスタシーの神学』『葬儀と日本人』(以上、ちくま新書)、『奇跡の泉へ』『聖母マリアのカンティーガ』(以上、サンパウロ)、『悪魔という救い』(朝日新書)、『魔女とほうきと黒い猫』(角川ソフィア文庫)など。訳書に、シャヴァンヌ『泰山 中国人の信仰』(平凡社東洋文庫)などがある。
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