探偵小説と大量死を結ぶ、ミステリ界史上最も先鋭な批評体系! 第一次世界大戦における「大量死=匿名の死」への抵抗こそが、死と生の「必然性」への希求としての「探偵小説」を興隆させたのではないか----探偵小説作家にして評論家である笠井潔によって一九九〇年に着想されたこの大胆な仮説は、「探偵小説=二〇世記小説」論として発表されるやいなや、日本ミステリ界を席巻した。イギリス・アメリカ・フランス・ドイツ・ロシアおよび日本の時代精神に照らした作者論・作品論により、縦横無尽の史的検証を積み重ねられた「探偵小説=二〇世記小説」の理論大系を、二一世記の来るべきミステリのために、ここに集成。
笠井潔
笠井潔(かさい・きよし)
小説家・批評家。1948年、東京生まれ。1979年、『バイバイ、エンジェル』でデビュー。1998年編著『本格ミステリの現在』(国書刊行会)で第51回日本推理作家協会賞評論その他の部門を受賞。2003年『オイディプス症候群』(光文社)と『探偵小説論序説』(光文社)で第3回本格ミステリ大賞小説部門と評論・研究部門を受賞。主な著作に『テロルの現象学 観念批判論序説』(作品社)、『例外社会 神的暴力と階級/文化/群衆』(朝日新聞出版)、『哲学者の密室』(創元推理文庫)、『自伝的革命論 〈68年〉とマルクス主義の臨界』(言視舎)他多数。
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