日本人も、中国人も、朝鮮人も、人を売り、人を買った!
戦国グローバリズムの悲惨な実態とは?
「降倭」=朝鮮軍に加わった日本人将兵たち日本人にとって、倭寇=略奪・拉致、秀吉の朝鮮出兵=残虐・捕虜連行のイメージはおなじみのものだが、本書を読むとそのイメージは一面的なものに過ぎないことがわかる。ポルトガル人の日本進出をきっかけに、ポルトガル商人は日本人奴隷を買い取り、海外に連行して売却した。それを禁止したのは、豊臣秀吉である。しかし、文禄・慶長の役(朝鮮出兵)がはじまると、戦国大名は朝鮮人を多数日本に連行した。逆に、「降倭」と呼ばれる朝鮮軍に投降した日本人将兵もいた。本書は、これまであまり語られてこなかった人身売買や奴隷売買など、戦国時代のグローバル化がもたらした「戦国時代の闇」というべき点を明らかにする。
目次
第一章 倭寇と人の略奪
倭寇とは何だろうか/倭寇の襲来/解決策の模索/日本側の倭寇対策/明と倭寇の取り締まり/明の国書への対応/九州の諸豪族と倭寇/送還された朝鮮人、中国人/『老松堂日本行録』の記録/捕らえられた人々の事情/なぜ中国人、朝鮮人を略奪したのか/日本が奴隷を必要とした理由/そのほかの仕事/謡曲『唐船』の逸話/捕らえられた日本人/アンダーグラウンドな人身売買/日本人奴隷を使役した実態/日本人奴隷の僧・雪明
第二章 戦国時代の人身売買・乱取り
厳しかった中世社会の環境/武田軍の人の略奪/無数に生け捕られた人と買戻し/乱取りを描いた『甲陽軍鑑』/乱取りが目的となった人々/打ち続く乱取り/貴重な収入だった略奪品/肥後相良氏の乱取り/伊達氏の戦争と乱取り/島津氏の戦争と乱取り/二束三文で売られた人/大坂の陣における乱取り/『信長公記』に見る乱取り・人身売買/室町・戦国時代の売買春/高級な遊女の存在/遊女屋における客引き/地方にもあった遊女屋/交通の要所に集住した遊女/遊女屋があった地方都市/戦場における遊女
第三章 織豊期の人身売買とキリスト教
ヨーロッパの衝撃とザビエル/日本を訪れたフロイス/信長とキリスト教の出会い/その他の保護の内容/信長が布教を許した理由/黒人奴隷の弥助とは/弥助を気に入った信長/織田信長は「唐入り」を目論んだのか/豊臣秀吉の登場/外国史料にあらわれた秀吉/容貌がみすぼらしかった秀吉/兄弟姉妹を斬り捨てた秀吉/無残な最期を遂げた姉妹/女好きだった秀吉/九州での人身売買/秀吉による人身売買禁止/広がる人身売買の禁止/小田原征伐後の人身売買禁止/その後も徹底された人身売買禁止
第四章 伴天連追放令と人身売買
ヨーロッパ諸国での人身売買/女性奴隷の悲劇的な扱い/秀吉が見た光景/女性奴隷へのひどい扱い/日本人奴隷の連行は許されたのか/秀吉とコエリョの口論/日本人奴隷をめぐる解釈/天正遣欧使節の派遣/千々石ミゲルの問いかけ/原マルチノの鋭い指摘/ポルトガル人が悪いのか/秀吉の厳しい問いかけ/宣教師の回答/秀吉による「伴天連追放令」の発布/「天正十五年六月十八日付覚」の発見/人身売買禁止の条文/通説への批判/奴隷売買禁止の実現/破門が意味すること/日本人が奴隷に身を落とした理由/自分で自分を売った日本人奴隷
第五章 文禄・慶長の役と民衆・武将
文禄・慶長の役の勃発/義智による朝鮮との交渉/戦場での乱取り禁止という方針/朝鮮半島で行われた乱取り/日本に送られた朝鮮人/乱取りを認めた秀吉/日本に連行された朝鮮人奴隷/九州各地に連行された朝鮮人奴隷/安かった朝鮮人奴隷/『朝鮮日々記』という史料/朝鮮人奴隷の売買/続く悲惨な光景/朝鮮人奴隷を連行した武将/お土産となった朝鮮人奴隷/捕らえられた日本人の問題/降倭将となった勘介/朝鮮人を連行した理由/沙也可の出自と素性をめぐって/原田信種とする説は成り立つのか/沙也可の生涯を探る/降倭とは何か/降倭の活用/ 降倭が従った理由/ほかにもあった降倭の役割/遊興三昧の島津忠恒/打撃を受けた日本軍/降倭の運命
第六章 日本に連行された朝鮮人
陶工になった朝鮮人/平戸焼と朝鮮人/高取焼と萩焼/土佐に住んだ医師の経東/豆腐の起源と朝鮮人/農業と朝鮮人/中島家に忠節を誓う/加賀藩に仕えた金如鉄/日本人となった如鉄/大坂夏の陣での活躍とその後/学者になった朝鮮/儒学者の李真栄/真栄の子・梅渓と立卓/日本に連行された朝鮮人女性/朝鮮人女性の運命/朝鮮人クリスチャンのおたあ・ジュリア/禁教令により追放される/そのほかの朝鮮人キリシタン/朝鮮人の送還問題/松雲大師惟政らの派遣/朝鮮人の送還問題/朝鮮側の方針/帰国できない事情/帰国後の処遇について
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