星海社新書は、知的好奇心を満たすだけでなく、次世代を担う若い世代が、自らの力で未来を切り開いていくための「武器」としても使える知のかたちを、シリーズとして本にまとめていきます。
第一線の研究者が語るヴォイニッチ写本の最新研究
ヴォイニッチ写本、それは発見から1世紀余りが経過した今なお解読を拒む、世界一有名な未解読文献である。未知の言語とも暗号とも、時には捏造、デタラメとも言われるこの謎めいた本は好事家たちの関心を集め、書誌学や情報学の専門家のみならず多くの在野研究者が解読に挑み、また小説や漫画などのポップカルチャーにも多大な影響を及ぼしてきた。本書はヴォイニッチ写本の研究をリードする著者が400年にわたる解読の歴史とともに、データサイエンスを用いた最新の研究を解説し、日本におけるヴォイニッチ写本紹介の先駆者である荒俣宏氏との鼎談を収録した、最高のヴォイニッチ写本入門である。
「受験」でこそ輝く知性、それが「受験天才」だ!
ペーパーテスト一発勝負」という閉じた世界で頭角を現す「受験天才」たち。幼少期から天才性を発揮するかと思えば、学歴を過度に誇り、なかには学歴ばかりで他者を判断することを厭わない者もいた。彼らの一癖も二癖もある破天荒な生態に迫り、新しい受験史を描くのが本書である。受験天才はどのような意味で「制度の落とし子」なのか、明治のはじまりから辿り直し、少子化が進む令和の受験の最前線までをキャッチアップ! 過熱するとも冷却するとも、あるいはエンターテインメント化・スポーツ化するとも言われる「日本の受験」は、これからどこへ向かうのか。そして日本人にとって受験とは何か。新進気鋭の受験評論家、渾身の書き下ろし。
一歩先には、まだ見ぬマニア・パラダイス!
矢沢と矢沢を信じる者たちが待ち受ける矢沢永吉コンサート会場、ウィーン少年合唱団の追っかけマダム、犬たちに人生を懸けるトップ・ブリーダー、津々浦々の発明マニアが集う「発明学会」......。 "何か"を熱狂的に応援する、盲目的に信じる、それはもはや娯楽にとどまらぬ「信仰」だ。何かを信仰する彼らが、日常生活で抑制している心のタガを外し無防備に解放される現場には、日常社会からちょこっとズレたマニアたちの別天地(パラダイス)が広がっている。 そんな「信仰の現場」に稀代の消しゴム版画家であり唯一無二のコラムニスト・ナンシー関が潜入し、その実態を語り尽くします。爆笑必至の傑作ルポエッセイ、新装復刊!
20代の若者が1か月「紙の新聞」を読んでみたら、どうなるのか?
SNS全盛で紙の新聞を読む人は減るばかりです。だからこそ、スマホを離れて「新聞を読むこと」のメリットは大きくなっています。とはいえ、読んだことのない人には、メディアとしての新聞の強みや読み方はピンと来ないかもしれません。そこで、元日経新聞の記者である高井宏章さんに、誰でも気軽に「1か月間で新聞を読む人」になれる教室を開いてもらいました。「まずは紙面をめくってながめるだけ」からはじめて、毎日、深く・鋭く読めるようになるまでのコツを伝授します。高井さんの楽しい新聞教室、開講です!
〈名探偵〉の歴史を辿る本格ミステリガイド!
〈名探偵〉ーーそれは本格ミステリというジャンルにおける花形であり、その核心である〈推理〉を象徴する存在です。数多の作家が数多の名探偵を生み出し、数多の名探偵が数多の推理を生み出すーーその連鎖のなかで古今東西を問わず縦横無尽に名探偵の継承と発展が繰り広げられ、本格ミステリの世界は拡張してきました。本書では、その歴史を確かめるべく、オーギュスト・デュパンから始まる海外50名+明智小五郎から始まる国内100名の名探偵をセレクト。総勢150名の名探偵による〈推理法〉と〈事件との関わり〉を検証します。名探偵たちが築き上げた推理の歴史を、この本と共に駆け抜けましょう!
日本一の「右翼雑誌」の内幕を元編集が明かし、右派言論を考察する
現代日本を代表する二大保守雑誌『Hanada』『WiLL』の歴史は2004年、『週刊文春』黄金期の編集長・花田紀凱の『WiLL』創刊によって始まった。第二次安倍政権の有力な「応援団」として存在感を示し、政界にまで影響力を与える異例の雑誌はいかにして作られたのか。そして、順風満帆に見える雑誌の限界はどこにあるのか。創刊直後から13年あまり編集部に所属した元編集者が、自らの体験をもとに舞台裏を明かすとともに、両誌が右派言論に、ひいては日本の言論界に与えた功罪を分析する。
ウクライナ在住16年の記者が語る「戦争のある日常」
ロシア・ウクライナ戦争に関して、戦局の展望やロシア軍の残虐行為、軍事支援、和平問題といった多くの人の関心事については多彩な報道や論考が発表されてきた。しかし、その議論の狭間に、注目されない事実がある。ウクライナ国民が戦争下でどのように生活し、何を感じているかである。そんな「戦争のある日常」について、2008年から現地に暮らすウクライナ国営通信日本版の編集者が包み隠さず語ったのが本書である。空襲、物資、娯楽、徴兵、復興......過大評価でも過小評価でもない、生活の中にある等身大の戦争を知り、考えるための必読書。
室町幕府最大の将軍・足利義満と最大級の守護大名・山名氏の決戦
室町幕府の最盛期を築いた三代将軍・足利義満は明徳二年、日本の六分の一を領有する最大級の守護大名・山名氏との決戦に挑む。「明徳の乱」である。本書は、応仁の乱と比べて知名度の低い明徳の乱の背景から発端、詳細な軍の展開と戦後処理、さらには後世における評価までを包括的に記した、本邦初の明徳の乱の解説書である。山名氏がいかにして強大な権力を握り、内部抗争を起こして将軍家に討伐されたのか、戦いに赴く武士の心境はいかなるものか、なぜ山名氏は戦後まで命脈を保てたのか。詳細な記述を通じて室町時代前期の諸相を描く。
探偵小説と大量死を結ぶ、ミステリ界史上最も先鋭な批評体系! 第一次世界大戦における「大量死=匿名の死」への抵抗こそが、死と生の「必然性」への希求としての「探偵小説」を興隆させたのではないか----探偵小説作家にして評論家である笠井潔によって一九九〇年に着想されたこの大胆な仮説は、「探偵小説=二〇世記小説」論として発表されるやいなや、日本ミステリ界を席巻した。イギリス・アメリカ・フランス・ドイツ・ロシアおよび日本の時代精神に照らした作者論・作品論により、縦横無尽の史的検証を積み重ねられた「探偵小説=二〇世記小説」の理論大系を、二一世記の来るべきミステリのために、ここに集成。
無宗教であったとしても、さまざまな信仰に
生きた人々が作りあげたものは信じることができる。
今の時代、今の日本では、宗教を信仰する人はそう多くはない。それでも、信仰に生きた人々が作りあげたものの大きさは、宗教を頼みにしていない身にも感じることはできるのではないか。その圧倒的な迫力、その恐ろしさ、あるいは、優しさ、悲しさ、そして美しさに囚われてしまったとき、ちっぽけな自分などもうどうでもよくなる。私たちは特定の宗教を信じることはなくても、信仰によって作られたもの、書かれたもの、なされたことを通じて、宗教の力を実感できるのではないか。キリスト教、ユダヤ教、イスラーム、仏教、儒教、道教。様々な宗教を研究してきた著者が人生で出合った心に深く響く信仰のことばをここに。
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