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新人賞投稿作品

あしたはぼくが晴れにする

阿佐めぐみ
2015年06月16日 投稿

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どんなに落ち込んでいても関係ない。ぼくが晴れにするといったら、晴れなんだーーーネガティブ少女さおりの前に現れた謎の少年。彼の言葉どおり、晴れの日が続く奇妙な毎日が始まる。次々と現れる謎の少年たちの目的とは?小さな町の小さな事件簿。

カテゴリ

エンタテインメント

内容紹介

両親もいたって普通、特に問題も無く穏やかな日々を過ごしていた高校1年生の少女、さおり。同じクラスの人気者・ショウに恋をするが、親友のともこに裏切られ、ショウを取られて以来、ネガティブ思考で毎日を憂鬱に過ごしていた。よく晴れた休日、ショウとともこのデートを目撃してしまったさおりはその場から走り去ろうとして階段から落ちてしまう。突然現れた少年に救われたさおりだったが、その少年は自身を「晴れの国の王子」と名乗り、さおりを無理矢理従えると、何故かともこを調べはじめる。その過程で次々と現れる、「雨の王子」「雪の王子」「雷の王子」と名乗る少年達。最初は遊びのつもりだったさおりも、彼らの超人的な力を見て正体を疑い始める。ともこの正体は「泥棒」で、天気の国から大事な宝物のひとつを盗み、それでショウを操っているという真実を掴んださおり達は、その宝物を取り戻そうと奔走する。宝物をめぐって対立する王子達、ともこの本当の目的は。宝物の正体は?

目次案・語りたい項目

・ネガティブな雨女、ポジティブな晴男に恋をする
・裏切りは雨上がりの匂い
・天真爛漫!晴れの王子・・・すべてのはじまり、さおりと晴れの王子の出会い。
・傍若無人!雷の王子・・・全てを破壊して手に入れようとする暴れん坊が阿佐町にやってきた!
・ともこの正体 本当の目的・・・ともこの正体は泥棒猫!
・少年策士 雪の王子・・・ともこの味方につくふりをしてすべてを奪い去ろうとする雪の王子。
・優しい最後の王子さま 雨の王子・・・全てを洗い流そうと大雨を降らせる方向違いの優しさを見せる雨の王子。さおりは流されそうになるともこを助ける
・たいせつな宝物・・・町随一の晴男の心、ショウの心が宝物だった
・顔をあげて空をみよう・・・最後に笑うのは誰なのか?
・天気はその日の気分、その日の気分は天気・・・王子たちとさよなら

書き出しの第1章

どきどきと胸が高鳴る。
胸に手をあてて深呼吸した。
一世一代の告白。片想いの相手は、この扉の向こう側にいる。
同じクラスの磯原ショウ。人気者で、しょっちゅう放課後は誰かと遊んでいるから、めったにつかまらない。
一人ではどうしても勇気が出なくて、親友で気の強いともこに協力してもらい、視聴覚室に呼び出してもらったのだ。
最後の最後が他力本願なところがちょっと情けないけど、そんなのは関係ない。
ぎゅっとつむっていた目を開けて、どきどきしながら扉に手をかけた瞬間、聞き慣れた声が「ふたつ」聞こえた。
「ショウ君、好き」
「・・・・僕は・・・・」
「約束ね」
「うん」
ぼうぜんとしながら、手は勝手に動き、がらがらと扉を開けた。少し埃くさい。
そこにいたのは紛れもなく初恋の人。窓からの風を受けて、さらさらと色素の薄い前髪がくっきりとした瞳の上を流れていく。ショウ君だ。
その人の手をしっかりと掴み、自分の胸の上へ重ねていたその子は、
私が親友として信頼している、椿ともこ、その人だった。
視聴覚室のぶあついカーテンの隙間から、もう夏を色濃く宿した光が、暗闇にナイフのように差し込んでいた。ともこの口元に、わずかに笑みが浮かんだ。

応募者紹介

阿佐めぐみさん

1991年、静岡生まれ。
食べ物のことになると食いつきが早い。

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