「それってほんとに、日本人だけ?」
「ガラパゴスばんざ……い?」
教養
かの石原元都知事が会見のたびに好んで用いる表現がある。
「有色人種で近代国家を作り上げたのは日本人だけだ」
「こんなでたらめな会計制度、単式簿記でやっているのは、先進国で日本だけさ」
――石原元都知事に限ったことではない。この国の著名人・知識人はやたらとこの「〜なのは日本人だけ」という慣用句を好んで使いたがる。
元オアシスのノエル・ギャラガーは、インタビュアーに日本の印象を聞かれこう答えた。
「世界中で日本人だけが、相手がどういう印象を持っているかを聞いてくる。何故君たちはそんなに自分に自信が持てないんだ?」
これは日本特有のこの傾向を緻密に分析し、『この国の病理』に切り込む革命の書。
序章 ほんとに「〜なのは日本人だけ」?
第一章 誰でも一度は陥る「日本人だけ」シンドローム
第二章 『再帰的ナショナリズム』の危険性 〜日本人はイッちゃってるよ、あいつら未来に生きてんな〜
第三章 ガラパゴスであることを誇るべきなのか否か
第四章 外国人に聞く「〜なのは日本人だけ」
etc...
終章 この国の病理
【語りたいことというか取材したいこと】
・色んな人たちの「〜なのは日本人だけ」「日本だけ」という知識・思い込みを取材したい。
かの石原元都知事が会見のたびに好んで用いる表現がある。一例を紹介しよう。
「有色人種で近代国家を作り上げたのは日本人だけだ」
とりあえず、有色人種で近代国家を作り上げたのが日本人だけではないことは歴史、特に世界史に疎い僕のような人間でもすぐに理解できる。
だがここで取り上げたいのは、そんな細かい揚げ足取りではない。
「〜なのは日本人だけ」
この表現である。
こういった言い回しを多用するのは、特に石原元都知事に限ったことではない。奇妙なことに、この国の著名人や知識人はやたらとこの「〜なのは日本人だけ」「日本だけ」という表現を好んで使いたがる。
また似たような意見は、インターネットにも匿名顕名問わずたくさん転がっている。
・新卒一括採用なんて非生産的なことをやっているのは日本だけだ。
・コミュニティの同調圧力がこんなにも強いのは日本人だけだ。
・大津市の事件のような陰湿ないじめがあるのは日本だけだ。
・ここまで長い歴史を持つ国家は日本だけだ。
・記者クラブのような閉鎖的な取材体制を持つのは日本だけだ。
などなど、虚実入り交じったものも含めてたくさんの「日本だけ」「日本人だけ」という論調がインターネットや書店には溢れている。
……一体何故、僕達日本人は「〜なのは日本人だけ」という表現がこんなにも好きなのだろうか。自国を貶す際にも、讃える際にも、どうしてみんなバカの1つ覚えみたいに「日本人だけ」「日本だけ」とうるさいのだろうか。
ガラパゴスだから?
排他的であることに誇りとコンプレックスを抱いているから?
海外の常識に対して多くの人が無知だから?
――パッと考えても、すぐにはそれらしい答えは出てこない。
だけど僕は、この疑問の中にこそ日本という奇妙な国の本質と、そしてその『病理』が潜んでいると思っている。
この本は「〜なのは日本人だけ」という論調の裏にある意図や思想を、実例と共に掘り下げ、「この国の病理」に切り込む、そんな書である。
高見英太さん
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