現役大学生による、今を生きる若者のための「考え方」の入門書
教養
「○○シンキングの本を読んだけど、何となくわかりにくい」
「ビジネス書に書いてあることを就活で生かしたいけど、扱ってる事例が自分たちにとってとっつきにくいし結局どういうことかがわかりにくい」
こんな思いを持った学生の方は多いのではないでしょうか?
あるいは、単純にもっと頭が良くなりたい!とか、学校では暗記の勉強ばっかりだけど社会に役立つ勉強がしたい!という方も多いのではないでしょうか?
本書は、おそらく初の「現役大学生が書いた『思考力』の本」となっており、ビジネスに全く携わったことのない学生でもわかりやすく「シンキング」について学べます。
本書で、楽しく分かりやすく「考えること」について学びましょう!
序章 はじめに
第一章 「思考力」とは?
・そもそも「思考力」とはどういうことか?
・なぜ「思考力」が必要なのか?
・どうすれば「思考力」が身に付くのか?
第二章 ロジカル・シンキング
・そもそも「ロジカル」とはどういうことか?
・なぜ「ロジカルシンキング」が必要なのか?
・どうすれば「ロジカルシンキング」が身に付くのか?
第三章 クリティカル・シンキング
・そもそも「クリティカル」とはどういうことか?
・なぜ「クリティカルシンキング」が必要なのか?
・どうすれば「クリティカルシンキング」が身に付くのか?
第四章 ラテラル・シンキング
・そもそも「ラテラル」とはどういうことか?
・なぜ「ラテラルシンキング」が必要なのか?
・どうすれば「ラテラルシンキング」が身に付くのか?
第五章 ケース・スタディ
・問題I
・問題II
・問題III
・問題IV
第六章 ポジティブ・シンキング
・そもそも「ポジティブ」とはどういうことか?
・なぜ「ポジティブシンキング」が必要なのか?
・どうすれば「ポジティブシンキング」が身に付くのか?
終章 おわりに
「○○シンキング」「○○的思考」
今日このような思考力、思考術に関する本が流行っているようで、書店に行っても平積みにされたのが目につきます。
このようなカテゴリーの本が流行する原因の一つとして考えられるのは、やはり昨今の新卒の雇用事情でしょう。
就職活動を行う大学生は、たとえ高学歴であったとしても内定が一つも取れずにフリーターになってしまうことがあったり、また、仮に希望していた企業に入社したとしても、世界的な競争が激しい今日ではいつ自分のクビが切られてしまうかわからない、そもそも大手企業でもいつ倒産するかわからない、こういった漠然とした不安感から、それまでそのような本には興味を示さなかった大学生、新卒社会人がビジネス書を手に取る機会が増えたのでしょう。
「企業が求める即戦力のビジネスパーソンにならなくては」、そんなある種脅迫概念に駆り立てられ、大学では教えてくれないような実践的なビジネスについての事を本から吸収しようとする人は、昨今の「就活ブーム」と相まってかなりの数になると予想されます。
かく言う私は、本屋で平積みにされたビジネス書コーナーの前をふと通りかかったときに、「なんとなく読んでいたらかっこいいし頭がよくなった気がするから」という非常に俗物的な理由で(笑)、ビジネス書を読むようになりました。
そんな軽いノリで手を出したビジネス書でしたが、これがまた面白い。
読んでいて参考になる点は多いですし、何より学校の勉強とは違って「このことを知っていると役に立ちそう」ということが多く学べましたし、一冊読み終わったら「自分は成長した!」という気になれました。
しかし、私はある時に気づきました。自分がビジネス書を読んだ数に対して自分が対して成長していないことに。
これは私の才能の問題もあるかもしれませんが、私に限った話ではないと思います。
というのも、ビジネス書とはそもそも今を必死に生きているビジネスパーソンがメインターゲットになります(一部例外はありますが)。そして、特に先に述べた思考力に関する本の場合、それを現場で必要としているのは、課長や部長のような、ある程度実務経験があり決定裁量権も持っているいわゆる「中間管理職」の人間として働いている人がメインターゲットとなります。
そういった本を若者が読むとどうなるか?
若者は、書いてある内容が理解できるのは理解できるのですが理解した内容を「実践」する機会がそうそう無い、という事態に陥ります。
本に例として紹介されているケーススタディ(具体的なビジネスの状況から自分ならどうするか、ということを考える勉強法)の問題にしても、そして「あなたには○○が当てはまりますか?」などの思考実験問題についても、それは中間管理者に向けて書かれたものですから、大学生や新卒には非常にとっつきにくい問題が多いのです。
そうして読んだ本の内容が実践できないままどんどん薄れていき、やがて忘れいく、そして忘れてしまう原因を「読書量が足りない」と勘違いする大学生は、また新たなビジネス書に手を出して、結果として若者にとって難解とされるテーマを扱った本がよく売れる。
皆さんも本棚の中に「読んだことは覚えているけど内容を忘れた」という本が一冊や二冊、あるいはそれ以上あるのではないでしょうか?
これは現代の大学生の頭が悪くなっているのではなく、脳の記憶分野がそういうメカニズムで働いているからです。忘却曲線、なんて言葉を一度聞いたことがあるかもしれませんが、人間は暗記した事項を一か月経てば「完全忘却」してしまうそうです。
従来の思考力に関する本は今を生きるビジネスパーソンが同じ立場のビジネスパーソンに向けて執筆されたものです。
だから、学生などの若い人が読む場合、その意味や書かれている行動をいちいち自分たちなりに噛み砕いて、自分たちのできるように「翻訳」してから実践しなければなりませんでした。
しかし私は思ったのです。
「ビジネスパーソンがビジネスパーソンのために本を書くなら、学生が学生のために本を書いてもいいのではないか」と。
本書は「思考力の入門書」だと思っていただければと思います。
実際に執筆している私自身が思考力に関して全知全能、というわけでは全くありませんので、これまで全く発表されたことがないような高度な内容が書かれているわけではありません。
しかし、だからこそ、学生の皆さんや、これから思考力を身に着けたいと思っている皆さんにもよくわかっていただけるのではないかと思います。
まず一章では「そもそも思考力とは?」というテーマで、どうして今の時代に思考力が必要であるのか、それにも関わらずなぜ学生には思考力がそれほど身についていないのか、などの思考力全般についてお話します。
二章から四章では、実際のビジネスで最低限必要とされる三つの思考術「ロジカル・シンキング」「クリティカル・シンキング」「ラテラル・シンキング」をそれぞれ体系的に説明します。
これら三つの思考術は、それぞれがよく独立いた一冊の本で紹介されていますが、私は三つすべてがそれぞれ相互に影響しあうことで最大の思考力を生み出すことができる、と考えています。
本書で述べる思考力以外にも数々の「シンキング」はありますが、それらは大抵がこの三つを複合的に発展させたものであるといえますので、これらを理解してからさらに自分の興味のある思考術について学ぶ、だいというのがよいかと思います。
第五章では、いよいよこれら三つの思考術を駆使して実際の事例に基づいた「ケーススタディ」を行ってもらいます。といっても、これらはいわゆるビジネスケースとは違い、学生の皆様にも親しみやすいように(というか私が親しみやすかったり実際に私が直面したような)ケースを扱います。
最終章では「ポジティブ・シンキング」について扱います。
「え? ポジティブシンキングって、思考力関係ないじゃん」という方もいらっしゃるかもしれませんが、これは間違いなく自分の夢を叶えるために必要な「思考術」です。実際に私は、これを使って様々な「分相応な夢」を叶えてきました。身についてない方は是非本書を読んで身に着けてほしいと思います。
今日、最も思考力が必要とされているのは、まぎれもなく若者です。
第一章で詳しく述べますが、若者、とりわけ学生は、中年の方々とは比べものにならないパワーを持ち、様々なしがらみや経験がないからこそ独創的な発想が出来る素質を誰しもが持っています。
まさに日本や世界の「宝」であり、実際に過去には若者が世界を揺れ動かすような大発明をした例も少なくありません。
本書が、そんなあなたに秘められた潜在的能力を引き出し、今より素敵な未来へのきっかけになればと思います。
第一章「思考力とは?」
『そもそも「思考力」とはどういうことか?』
思考力とは何か?どういうことか?
皆さんも漠然とはわかっているかもしれませんが、思考力とは読んで字のごとく「考える力」です。
しかし、そもそも「考える」とはどういう意味か、考えてみたことがありますか?
本をいったん置き、皆さんで考えてみてください。
考えてみましたか? 改めて聞かれると、難しいですよね。
手持ちの電子辞書で調べてみると、次のようにかいてありました。
「考える」
思考をめぐらす。あれこれを思量し、事を明らかにする。思案する。(広辞苑第五版)
つまり「考える」とは、平たく言えば「物事を明らかにする」ことです。もちろんそれ以外にも様々な意味が想起されると思いますし、皆さんが思いついた解答も間違ってはいないでしょう。
さて、ここまでで、勘の鋭い方ならお気づきかもしれませんが、私は今、思考力とはどういうものかを実践してみました。より鮮明なイメージが持てたのではないでしょうか?
思考力とは、主に三つの力から構成されます。
(1) 問題を見つける力
(2) 問題に関する仮説を立てる力
(3) 問題を実際に解決する力
これらはすべて必要な力です。
先ほどまでの「考える」という言葉の意味について当てはると、次のようになります。
(1) 「考える」という言葉はどういう意味だろうか?
(2) 「考える」という言葉について自分なりに説明する。
(3) 「考える」という言葉を辞書で引く。
この三つの力がそれぞれまんべんなく使うことによって、皆さんの脳がフル回転します。これが、思考力です。
ところで、話は変わりますが、私たちはよく考えることを放棄します。
「そんなことはない、私はいつも考えて生きている!」とおっしゃる方がいるかもしれませんが、ではあなたたちに質問します。今朝大学や会社に行くとき、いちいち方向や目印や、場合によっては地図なんかを確認しながら行きましたか?
今日初めてその場所に行くならいざしらず、のように行っている場所へ向かうルートなんて考えながら行きませんよね?
同じように、昼ご飯をどこで食べようか、などもあまり考えないと思います。
さすがに何を食べるかまでは決まってないかもしれませんが、大体ここかあそこに行こうかな、と決めているはずですし、グルメ本や口コミサイトなんかでいちいち確認したりはしません。
なぜかというと簡単な話で、そんないつも行っているルーチンワークでいちいち考えているようでは脳が疲れてしまうからです。
脳は、というか私たちは全員がそうとは言いませんが、大多数は楽をして生きていたいものです。考えなくていいことは考えないのが一般的です。
そして、これを助長させるかのように、私たちは幼いころから「教育」を受けます。
私たちは、受験やテストのために、「これは一体何の役に立つんだろうか?」というような知識を大量に詰め込みます。自分で発信することはほとんどなく、たいていが先生の言うことや教科書に書いてあることを「受動的」に学ばされます。
どうしてそのような受け身の教育制度になったのかはわかりませんが、私が考える理由の一つに、誰からも文句の出ない客観的な数値や点数に学習内容が反映されやすいから、というものが挙げられます。
例えば、最近見直されてきているAO入試や小論文試験などは、その人のどこをみて、またそれにどの程度の比重が置かれ、ほかの受験者とどのように優劣をつけているのかがわかりにくいのではないでしょうか?
「あなたの小論文はだめだけど、この人の小論文は合格」と言われても、受験した当人、とくに落ちた人は納得しかねるものが少なからずあると思います。
しかし、点数で「あなたはこの点数だからだめだけど、この人の点数では合格」といわれると、点数に届かなかった、だから不合格だったんだ、というように、すくなくとも得体のしれない採点基準の小論文などよりは納得しやすいものがあります。
話が横にそれましたが、そういったわけで、日本の教育制度は「自分から主体的に学ぶ」ということが少なく、これが考えることを放棄しやすい原因の一つになっています。
私たちは、学校で普通に勉強しているだけでは、本物の思考力が身につかないのです。
しかし、勘違いしないでいただきたいのは、何も「学校教育では得るものが何もない!」と言っているのではありません。
学校で学ぶことによって、与えられた問題をどう解決するか、つまり先に述べた(2)と(3)の力をつけることは十分に可能です。
しかし、自ら問題を提起する力を養うことは難しいですし、学校の勉強はどうしても明確な解答のある問題ばかりを扱うため、現実に起こっている「正解がない問題」への応用は難しく、やはり学校の教育のみで思考力を身に着けることには限界があるでしょう。
そんな学校では学ばないような思考力であるのに、なぜ現代を生きる若者が必要であるのか?
次はそんなお話です。
灘 葵さん
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