本書は、革マル派の最高指導者であった黒田寛一の初期の著作である。
黒田の思想は簡単に言うと「反帝国主義」「反スターリン主義」なのだが、彼の理論の細かな部分については、勿論私は分からない。
とまれ、本書は黒田の思想のうち「反スターリン主義」について述べたものである。書かれたのはスターリンの死から3年後で、まだまだスターリンという人物が、歴史上の人物になり切らない時期である。それ故に、スターリンを過去の人物としてしか知らない私などが読むと妙な生々しさがある。
私自身はどちらかというと右寄りの思想を持っているので、書かれている事に共鳴する事はないけれども、文体や装幀などからは、往時の共産主義系思想の持っていた力強さを感じる事ができ、ものとしての佇まいは嫌いではない。
表1から表4に回り込むように配置された「ZUR KRITIK DES STALINISMUS」の文字も骨太で良い。
(人生社、1956年、初版、B6版)
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