現在は人類の長い宇宙探求の歴史の中でも特に面白い時期だ!
我々が生きる「この宇宙」は、物理法則も次元の数も異なる無数の「宇宙たち」の一つにすぎない......。宇宙論の最前線である〈マルチバース宇宙論〉が描く驚くべき宇宙像は、20世紀末から本格的に行われた宇宙膨張に関する詳細な観測と、超弦理論やインフレーション理論といった最新の理論物理学の進展から、自然な帰結として導き出された。その先進性から、かつては研究者の間ですら「哲学」であると揶揄されるものであったこの描像は、近年になって急速に受け入れられつつある。このマルチバース宇宙論の核心部分へと読者を誘うこと、それが本書の目標である。
野村泰紀
1974年神奈川県生まれ。カリフォルニア大学バークレー校教授、バークレー理論物理学センター所長。東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構主任研究員、ローレンス・バークレー国立研究所上席研究員を併任。主要な研究領域は素粒子物理学、量子重力理論、宇宙論。現在は主に、“我々が「時空」と呼んでいたものは、実は量子力学的な情報から生じる「二次的な」ものにすぎない”という新たな描像が、量子重力理論および宇宙論において持つ意味の研究に取り組む。米国フェルミ国立加速器研究所研究員、カリフォルニア大学バークレー校助教授、同准教授を経て現職。その他、マサチューセッツ工科大学客員教授、東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構特任教授等を歴任。
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