戦国史の見方が変わる15の論点
歴史研究で新しい説が提起され、新説をめぐって論争となる場合、同時代に成立した書状、日記などの一次史料による裏付けを欠くことが多い。最近はテレビの歴史番組ではおもしろおかしい「トンデモ説」が唱えられ、批判も検証もされないまま世間に広まっていくことも増えてきた。原因は歴史研究のトレーニングを受けていない読者にとって、史料の中身はブラックボックスだからである。本書は、古くから言われてきた誤謬から、間違ったことが明らかになった新説、あるいは新説であっても明確に結論が出ないケース、さらに検討が必要なものまで、戦国史の15のテーマを掲げて、気鋭の執筆陣がその検証に挑んだものである。
目次
論点1 「大名」論を問う 今岡典和
論点2 天文十二年に鉄砲が伝来したという説への疑問 長屋隆幸
論点3 松永久秀は足利義輝の殺害にかかわっていなかった 天野忠幸
論点4 武田信玄はなぜ父の信虎を追放したのか 須藤茂樹
論点5 明智光秀は医師だったのか 太田浩司
論点6 出雲尼子氏家臣の山中鹿介は忠臣だったのか 渡邊大門
論点7 織田信長と正親町天皇は対立していたのか 秦野裕介
論点8 三木城落城後、秀吉によるジェノサイドは行われたのか 金松誠
論点9 秀吉による中国大返しと「御座所システム」 渡邊大門
論点10 宗像才鶴女性説は正しいのか 花岡興史
論点11 千利休は切腹せず、生き長らえたのか 八尾嘉男
論点12 直江兼続は越後から年貢米を持ち去ったのか 田嶋悠佑
論点13 家康による前田利長の討伐計画は虚説なのか 水野伍貴
論点14 関ヶ原合戦の戦場は、「山中」か「関ヶ原」か 水野伍貴
論点15 戦国時代の蝦夷地は「日本」に含まれるのか 新藤透
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