湯女、茶屋女、飯盛女、夜鷹...知られざる〈隠売女〉の世界
幕府に公認された吉原とは違って、江戸市中に六十ヶ所以上(諸説あり)を数えた〈岡場所〉は、その始まりから終焉まで非公認の買売春地域であり続けた。にもかかわらず、盛り場、寺社の門前、宿場の至るところに根を張り、その風俗や流行は江戸市民に吉原以上の深大な影響を与えた。とくに幕末、吉原の二倍の売上金を計上したという岡場所の雄・深川には、吉原と異なった「粋と婀娜(あだ)」な遊びの文化が息づいていた。本書は江戸遊女史研究の第一人者が洒落本や絵画などの史料を基に、知られざる〈隠売女〉の世界を明らかにする遊里裏面史である。
目次
第一章 岡場所とは
第二章 岡場所黙認の時代
第三章 岡場所禁圧の時代
第四章 岡場所活況の時代 その一
第五章 岡場所活況の時代 その二
第六章 深川雑考
第七章 遊里品川
第八章 北関東の玄関千住
第九章 岡場所根津盛衰史
第十章 夜鷹哀史―― 岡場所壊滅
渡辺憲司
1944年北海道函館市生まれ。立教大学名誉教授。72年横浜市立横浜商業高等学校定時制教諭を皮切りに武蔵中・高等学校、梅光女学院大学(現在梅光大学)、立教大学で教鞭をとった。2010年立教新座中学校・高等学校校長、2015年自由学園最高学部学部長を務めた。主な著書に『新日本古典文学大系74仮名草子集』(共著、岩波書店)、『江戸遊里盛衰記』(講談社現代新書)、『近世大名文芸圏研究』(八木書店)、『新編色道大鏡』(共編、八木書店)、『江戸遊女紀聞』『江戸遊里の記憶』(以上、ゆまに書房)、『時に海を見よ』(双葉文庫)がある。近刊に『生きるために本当に大切なこと』(角川文庫)他がある。
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