一次史料が雄弁に語る、新たな上杉謙信像
一般的に「義の武将」として知られ、絶大な人気を誇る戦国武将・上杉謙信。しかし、この「義の武将」、あるいは「軍神」といった彼 のイメージは、実は近世以降に越後流軍学者をはじめとする人々によって作られたものであることがわかっています。では、実際の上杉謙信とはどのような人物だったのでしょうか? 本書では、発給文書や寺社に納めた願文など、一次史料を主な材料に、謙信の実像に迫ってゆきます。戦国大名家の当主をつとめるにあたり、いかに苦悩し、そして時に激情に突き動かされたのか。史料が雄弁に語るのは、喜怒哀楽を備えた人間としての上杉謙信でした。それでは、半世紀に満たない彼の激動の生涯を、共に辿っていきましょう。
今福匡
1964年神奈川県生まれ。米沢温故会会員、戦国史研究会会員。頻繁に全国各地の史跡や博物館を訪ね、さらには自ら中世文書を読みこなす、本格派歴史ライター。主な著作に、上杉景勝を支えた能臣の伝記である『直江兼続』(新人物往来社、2008年)、謙信急逝ののち勃発した御館の乱に敗れ、非業の死を遂げた養子・景虎に焦点した『上杉景虎―謙信後継を狙った反主流派の盟主』(宮帯出版社、2011年)、謙信の神格化を論じる『神になった戦国大名―上杉謙信の神格化と秘密祭祀』(洋泉社、2013年)、太閤恩顧として大坂の陣で奮戦した毛利吉政唯一の伝記である『真田より活躍した男毛利勝永』(宮帯出版社、2016年)などがある。
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