国立西洋美術館の「常設展」には、西洋絵画のすべてが詰まっている!
「本日は、西洋絵画の全体像をたったの2時間で丸ごと〝体験〞して頂くために、あなたを芸術の杜・上野へとお連れしました」落ち着いた低い声で私をエスコートしてくれるアートコンシェルジュの彼と共に、上野の国立西洋美術館を訪れた私。じつは一年中展示されている、ここの「常設展」を観てまわれば、西洋絵画の歴史的な流れや、個々の作品の意義、そして美術の本質がひと通り理解できるようになるという。それはすごい! 期間限定の企画展に行っては、目玉となる名作を観るだけで満足し、「わかったつもり」になっていた私には、願ったりかなったりだ。いったいここで、どんなアート体験ができるのだろうか?「さあ館内に入りましょう。めくるめく世界が広がっていますよ」
山内宏泰
フリーランスライター。一九七二年愛知県生まれ。大学時代に「書く仕事」をしようと心に決め、出版社勤務でノウハウをこっそり盗み見て覚えたのちに、フリーランスのライターになる。週刊誌の記者としてジャンルを問わず記事を書くかたわら、以前からの関心領域だった美術や写真表現についての取材も重ね、執筆するように。著書に『写真のプロフェッショナル』『G12 トーキョートップギャラリー』『彼女たち』、共著に『フォトグラファーになるには』など。アートや文学、音楽などの「文化」に気軽に触れられる場がもっとあるべきだ、という思いのもと、現在、東京で毎月第一金曜日の夜に、写真について語るイベント「写真を読む夜」を継続して開催中。
山内宏泰ウェブサイトhttp://yamauchihiroyasu.jp/
眼という器官はいつごろ生命体に装備されるようになったか。5臆4300万年くらい前だという。この「眼の誕生」という出来事が、思いがけず生物の大進化を促すきっかけになったとか。なるほど、ものごとにはいちいち理由があり、因果関係がある。一読、まさに眼からウロコが落ちます。
美術界きっての、いや、人類全体を含めてもいい、とびきりの天才レオナルド・ダ・ヴィンチの生涯を丹念にたどった伝記。大部の本だけれど、手に取るだけで、ひとりの人間が一生のうちに為し得ることはどれほどのものかを具体的な物量として実感できます。
株式仲買人をしていたストリックランドは突然、すべてを投げ打って絵を志す。才気あふれる画家になっていく彼の人間像を、英国人小説家が想像力のかぎりを尽くして書ききった。ストリックランドのモデルは、ポール・ゴーガン。絵画と小説。紙面上で異ジャンルの天才が火花を散らします。
著者はオークション会社のディレクター。印象派絵画はなぜ世界中で人気を博すのか。そのメカニズムを歴史的にたどる。『月と六ペンス』の作者モームがコレクターのひとりとして登場、後に作家として名を馳せるブルース・チャトウィンと邂逅するくだりは、わくわくさせられます。
かの文豪は作中で美術に言及すること多数。今作などは主人公が画工で、「美とは」「芸術とは」「創作とは」をあれこれ考え続ける。日本の近代化とはどうあるべきか考え続けていた明治随一の知性は、どうやら、美の在り方を探ることにこそ突破口ありと考えていたようです。
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