「おたく」文化の萌芽は「二階」にあった
時は一九七八年。東京は新橋にひっそりと佇む、今はなきビルの「二階」に、その編集部はあった。そこに住 み着くようにして働き始めたのは、まだ行くあてすら定かではなかった若者たち。のちに「おたく」文化の担い手として歴史に名を残すことになる彼らが集った その「二階」は、胡散臭くもじつに「奇妙で幸福な場所」だった―。一九八〇年にアルバイトとして「二階」で編集者の道を歩み始め、八〇年代を通して巻き起 こった、今日に至る「おたく」文化の萌芽とメディア産業の地殻変動の歴史を目撃してきた大塚英志がよみがえらせる、''あの,,時代の記憶。これは、第一 級の「おたく」文化史料にして、極上の青春譚である。
大塚英志
1958年東京都生まれ。筑波大学卒。80年代を徳間書店、白夜書房、角川書店で編集者として活動。詳細は『「おたく」の精神史』、本書『二階の住人とそ の時代』を参照。まんが原作者としての近作に『クウデタア2』『恋する民俗学者』(ともにhttp://comic-walker.com/)、「コミッ クウォーカー」内に自腹で自主制作サイト「大塚英志漫画」を主宰。批評家としては、文学・民俗学・政治についての著作多数。
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