サッカーの見方が一段深くなる、脱「勝利至上主義」の蹴球論!
はっきりと言おう。今の日本のサッカーに足りないのは、負けに向き合う勇気だ。メディアもファンも、サッカー関係者さえも、勝利至上主義、結果至上主義に毒されている。常に「絶対に負けられない戦い」に臨み、勝っている間はただ騒いで、負けたらハイおわり。反省も検証も、ほとんどなされない。敗戦は「なかったこと」にされてしまう。これでは一向にサッカーの質は向上しないし、何よりサッカーの魅力から自らを遠ざけてしまっている。僕が思うにサッカーとは、じつは「負け方を競うスポーツ」であり、その真のエンタメ性は、敗戦の中にこそ見出すことができるのだ。「負け」は決して、辛くて苦しい出来事ではない!
スポーツライター。1959年静岡県生まれ。大学卒業後、フリーのスポーツライターとしてスポーツ総合誌などで執筆。得意分野はサッカーで、モットーは「サッカーらしさ」の追求。海外取材が豊富で、ワールドカップには82年のスペイン大会以降8大会連続、チャンピオンズリーグに至っては300試合以上の現地観戦取材を行っている。オリンピックも夏季冬季合わせて9度取材。9大会目となる14年ブラジルW杯の取材でも、ピッチ上に描かれる両チームの〝デザイン(布陣)〟に目を凝らす。主な著書に、サッカー戦術本としては異例の大ヒットとなった『4-2-3-1 サッカーを戦術から理解する』や『敗北を恐れぬ監督たち』『布陣図鑑』など。杉山茂樹ブログマガジン
爽快な気分に襲われるスポーティな短編集。「スポーツ選手の中に、ストーリーを見いだすのは好きではない」。筆者が後書きに記したこの一文に賛同する。「ストーリー」には感動が不可欠。汗と涙に溢れた、いい話である必要がある。だが、それを重視すれば話は重くなる。逆にスポーティではなくなる。ウエット感ゼロ。そこが何より好きな点だ。
世界性に溢れた一冊。人があまり言わないことを言う。あたり前のことは絶対に書かない。この筆者は、常に読者をいい感じで裏切ってくれる。シニカル。辛口でもあるのだけれど、フェアな精神が貫かれているので読後感は爽快。クスッとさせるテクニックもある。この本に限らず、翻訳者である森田浩之とのコンビの良さが光る。
サッカーボールと日常生活の関係を主に切り取ったエッセイ付き写真集。サッカーボールは、立派なピッチの上だけを転がっているわけではない。世界各地、思わぬ場所に転がっている。日常的な風景が、非日常的に見える所が、この写真集の最大の魅力。サッカーの魅力とは? そこ答えが凝縮された一冊。サッカーを見る目が変わること請け合いだ。
「攻撃的守備」という言葉にまずピンと来た。これはサッカー界では、プレッシングサッカーの別称だ。野球の守備とサッカーの守備とでは本質がまったく違う。そうした前提でこの本を読んだのだが、その守備論にはサッカー的な要素が多々含まれていた。PL学園の1年後輩、宮本慎也氏との守備対談も楽しめる。スポーツ心を刺激させてくれる一冊。
机上の空論。世の中には布陣話をそう捉えている人がいる。だが、布陣は家の中にいてはイメージできない。テレビを見ても、ビデオを見ても分かりにくい。観客席の高い位置からでないと確認できないもの、語れないものだ。スタンドの高い位置からピッチを眺めると、サッカーのイメージは変わる。この本で一番言いたかったことは、ずばり脱インドア。
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