大量の出土文献が、中国古代史研究を変えた──!
われわれ日本人は、日頃から古代中国に親しんでいます。日本語のなかに溶け込んだ故事成語、読み継がれた古典、そして『封神演義』や『キングダム』等のフィクション......。これほど身近な時代でありながら、残念なことに研究の進展はほとんど紹介されず、教科書の記述も古いままです。中国大陸では、こ国土の開発とともに、金文・竹簡・帛書などの文字史料──すなわち「出土文献」が現在進行形で陸続と発見され、研究状況は劇的に変化しています。本書では、近代以降の研究史と最新の研究状況をもとに、ある面ではフィクションよりもダイナミックな中国古代史の実像を紹介していきます。中国古代史をもっと楽しむため、研究の最前線をのぞいてみましょう。
中国古代史研究者。1976年兵庫県生まれ。関西学院大学大学院文学研究科博士課程後期課程単位取得満期退学。博士(歴史学)。現在、立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所、大阪府立大学客員研究員。専門は中国殷周史。初の一般書となった『周―理想化された古代王朝』(中公新書、2016年)は、西周史として高い評価を得た。それに続く本書は、二里頭王朝(夏王朝)から前漢期まで、陸続と出現する出土文献と激変する研究状況を包括的に捉えたものである。その他の単著に、西周期の祭祀儀礼の変遷をテーマとする論文集『西周期における祭祀儀礼の研究』(朋友書店、2014年)が、共著に『白川静を読むときの辞典』(平凡社、2013年)がある。
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