安田善次郎が遺したビジネスと人生の指南書
安田財閥の創業者である安田善次郎は、他人の動きや、世間の空気などをサクッと無視をして、自分の信じた道を貫き通す、そんな心の強さを備えていた。われわれ現代人は、往々にして仲間の空気を読みつつ、広がり続ける人間関係にエネルギーを過剰に使いがちだ。その傾いたバランスを正してくれる思想として、「意志の力」はまさしく存在する。本書のメッセージはきわめてシンプル、かつ当たり前の内容である。なぜなら「意志の力」を持つことには、複雑なロジックもテクニックも必要ないからだ。「その当たり前はなぜ重要なのか」「なぜ忘れてはならないのか」――この再確認のためにも本書を役立てていただければ幸いだ。
安田善次郎
実業家、銀行家。1838年富山生まれ。半農半士の貧しい家庭で育つ。13歳のときに、藩主である前田家の武士を平伏させる大阪の商人の姿に衝撃を受け、大商人になろうと決心する。20歳から江戸で奉公人として働き、後に独立。両替屋で成功を収め、明治に入ってからは国立銀行の創設に尽力する。安田銀行(現・みずほフィナンシャルグループ)、帝国海上保険(現・損保ジャパン)、共済生命保険(現・明治安田生命保険)などを設立し、一代で安田財閥と国家予算の8分の1に相当する莫大な資産を築き上げる。社会の重要分野に多額の出資・融資を行い、近代日本の国家の土台を支え続けた。仏教を背景とした「陰徳」(善行は人に知られずにするもの)の思想を忠実に実行。日比谷公会堂や東京大学安田講堂などを寄贈した。
守屋淳
作家、中国古典研究家。1965年東京生まれ。早稲田大学第一文学部卒。大手書店勤務を経て、現在は中国古典、主に『孫子』『論語』『老子』『荘 子』などの知恵を現代にどのように活かすかをテーマとした、執筆や企業での研修・講演を行う。中小から上場企業までの経営者や第一線のビジネスマン、キャ リア官僚等との勉強会を多数行い、常に最新の知見、情報を取り入れている。主な著・訳書に『現代語訳 論語と算盤』(ちくま新書)、『最高の戦略教科書 孫子』(日本経済新聞出版社)など。
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