思想の〈ダーク〉な最前線、ニック・ランド
「新反動主義」あるいは「暗黒啓蒙」と呼ばれる、リベラルな価値観に否を突きつける暗く新たな思想潮流は、現代において陰に陽に存在感を示しつつある。本書では、その捉えがたい核心に三人の重要人物から迫っていく----ピーター・ティール、カーティス・ヤーヴィン、そしてニック・ランド。とりわけ哲学者ランドの思想に分け入ることが、本書のさらなる目論見である。ランドと、彼が率いた研究グループCCRUの影響圏は、「加速主義」「思弁的実在論」など近年の思想動向から、多様な領域における文化的プレイヤー、「ヴェイパーウェイヴ」のような文化現象にまで広範に及ぶ。〈ダーク〉な思想に目を向けて、初めて見えるものがある。
木澤佐登志(きざわ・さとし) 文筆家・ブロガー
1988年生まれ。思想、インターネット文化、ポップカルチャー、アングラカルチャーなどを領域横断的に渉猟し、執筆をおこなう。その知見を結実させた初の単著『ダークウェブ・アンダーグラウンド 社会秩序を逸脱するネット暗部の住人たち』(イースト・プレス)は多方面で話題を集めた。ほか、『現代思想』、『現代ビジネス』、『Merca』、『シックスサマナ』(kzwmn名義)などに寄稿。ブログ「Mal d’archive」。
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