ミリオンセラー新人賞 第6回座談会

またも受賞作なし……! 応募者に向け、編集部が「新書化の傾向と対策」を徹底議論!

結果発表がおくれ、まことに申し訳ございません。

今井 まずはじめに、投稿作を1年間も溜めてしまっていて誠に申し訳ございません。今後は半年に1回、ちゃんと開催できるように致します

平林 ほんとだよ!

今井 本当にすみません

岡村 今回から弊社の新人編集2人が座談会に加わります。『ジセダイ』では初登場なので、自己紹介をお願いします。では、社歴の長い石川くんから!

石川 3月末より合流しました、石川です。

平林 あれだよね? 石川くんはロリコンなんだよね?

石川 そうですね。

今井 「そうですね」ってきみ

岡村 じゃあそういう新書を作りたいの?

石川 そういう新書たしかにいいかもしれないですね。『どうしてロリコンはここまで市民権を得たのか』とか。

ロリコンが市民権を得てるのは石川くんの頭の中の世界だけじゃないかな

平林 石川君が書く気じゃないよね?

岡村 座談会の出だしとしては最悪だな

石川 座談会としてはこの前行われたFICTIONSの新人賞に続いての参加となるんですが、またちょっと雰囲気が違いますね。『ジセダイ』の方が、よりビシビシ切り込める気はしています。

今井 好きな星海社新書は?

石川 『江戸しぐさの正体』と『百合のリアル』ですね。

平林 平林、今井の担当作を1つずつあげるという、バランスの取り方ね(ニヤニヤしながら)。

石川 あとは『テヅカ・イズ・デッド』ですね。大学時代に『テヅカ・イズ・デッド』の元本にお世話になりました。

今井 ちょっと平林寄りだ。星海社に関わる前からノンフィクションとか新書は読んでたの?

石川 そうですね、新書は好きで結構読んでいました。好きな新書レーベルは中公新書です。

一同 へえ〜

平林 じゃあ大里くん行こうか!

大里 5月から合流しました。大里耕平です。僕は新卒で入った会社で2年間映像の仕事をしていて、そのあと合流したという感じですね。

岡村 (前職の労働環境が)あまりに壮絶で

大里 そうですね、はい!(力強く) エンジニア志望で入ったのになぜか映像の部署に配属されて、そこから地獄の2年間でした。

今井 好きな星海社新書は?

石川 これですよね?(PCの画面をみせる)

大里 (画面を読み上げて)『日本の労働はなぜ違法がまかり通るのか』。って別に、ブラック労働が好きなわけじゃないんですけど!(声を荒げる)

平林 あとは『僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか』とかも好きなんじゃない?

大里 あっ、僕はまさにその本を就活生のときに読んでました! 講談社でやっていた出版記念イベントにもいきましたね。

今井 木暮さんと常見さんと中川さんとでやって頂いたトークショーですね。

平林 若き老害!(常見陽平つねみようへいさんのキャッチコピー)

今井 柿内さんも喋ったやつだよね?

大里 そうですね。それで、元々ファンでもあるんですが中川さんの『内定童貞』が好きですね。

今井 さあ、そんな2人も加わりました、と。またちょっと久々になってしまったんですが、座談会を始めます!

一同 よろしくお願いします!

新書化のための「傾向と対策」

今井 今回、既存メンバー4人はだいたい10作品ずつぐらい下読みをして、新人2人にはその倍、見てもらいました。その結果、「これは議論したい!」とあがってきた作品が2つ! その2つについてはあとで議論するとして、それ以外の作品がなぜダメなのかという話をベースに、新書の「傾向と対策」をまとめてきました。

平林 おっ、準備がいいね。

今井 そもそも新書になり得るものってどんなものか、を考えた時に大きく3つ条件があると思っていて、一番大事なのが「市場性」。買う人がいるか。次に書くに値する経歴を持っているか、という情報の「信頼性」。その上で「新規性」があるとなお良いなあと思っています。少なくとも最初の2つ、「市場性」と「信頼性」が揃わないと本にならない。

岡村 うん、わかる。

今井 今回の投稿作の問題点はいくつかあるんですが、基本的にはあまり良い作品はなかったです。これだけ読んであがってきたのが2つというのはそういうことだと思うんです。まず「問題1」。テーマは悪くないが、応募者に書く理由がないパターン。これは非常に多く見受けられました。

石川 いやあ、多かったですね

今井 例えば、この『若者と政治〜若手政治家は何を考えているのか〜』。

平林 これは企画に具体性がなかったよね。「インタビューをしてみます。それでこんな本ができます」みたいなことが書いてあった。

石川 僕も読みました。

平林 少しはインタビューしてから応募して欲しい。

今井 あるいは、せめて「なぜインタビューできるのか」という証明があれば良かったなと思います。

石川 インターンシップをしたことがあるだけで、何かが言えるとは思えないです。

今井 あとは『東京五輪開催まで準備したい5つの事』。これも、ニーズはあると思うんですよ。

平林 うん、あると思うよ。

岡村 『東京タラレバ娘』とかでもふれられてるけど、東京五輪が決まった瞬間、自分は東京五輪のときに何歳で何をしているのだろう、と想像したはずなんですよね。これは典型的な、「なぜこの人がやるのか?」という事例だよね。

平林 それこそ、資産運用という観点からだけでもいいと思うんですよ。それこそ、「東京五輪までの資産運用」みたいな。これ、藤野さんに書いてもらうのってどうかな?

岡村 要相談ですね。

今井 でも、これからいくらでも出ますよね。五輪関係の本。この人、そこを見ているという目の付け所は悪くないと思いますが、なぜこの人に書けるのかっていうのはわからないですよね。

五輪までにこれを読んだら、何が得られるのかがわからなかったんですよね。

石川 判断材料が少なすぎるという感じですね。

岡村 これ、読んだけど書き出しの2行だけでしょ? 1冊書ける筆力があるかどうかという判断は出来ない。

今井 それも含めて、「あなたに書く理由があるか」ということですね。この『糖尿病治療薬スーグラ錠ダイエット体験記』もアクセスは沢山きているんですよ。「スーグラ錠」っていうのは、2014年1月に新しく認可された医薬品ですね。ダイエット効果が見込める薬として非常に注目を集めているらしいんですが、まだネット上にあまり情報がないんですね。

岡村 なるほど、検索するとここに来るわけね。

今井 この人、筆力のありそうな人ではあるんですよ。「スポーツニッポン新聞社、角川書店、徳間書店を経て現在、団体職員」ということで。

岡村 ライター活動もしているんだ。

今井 でも、ご本人でも書いてくれているように年齢が高いんですよね。そしてこれは、本人の体験記でしかない

平林 だから、医療に関するところでは他のエビデンスが必要ですよね。

今井 そうですね。だから、誰かと共著にするとか。

岡村 本当にこれを書くとしたら、読むこちら側もしっかりした医学的な知識がないと責任が持てない。これ極端に例えると、通信販売の健康器具と同じレベルでしょう? 効果は個人により異なりますってことになっちゃうので。

平林 まあ、単著がある人だから書けるとは思うんだけど、あえてという感じはしないかなぁ。

今井 いま3つの投稿作を紹介しましたが、応募者に書く理由がないというのは非常に多く見受けられますね。ただ、書く理由があるのにプロフィールに書けていないパターンというのもあるんじゃないかなと。プロフィール文は大事なのでちゃんと書きましょう! あとは「おにぎり」とか「コータロー」っていうペンネームは新書だと厳しいです。

岡村 このペンネームはなんなんでしょうね。なぜ「コータロー」にしたんだろう。

今井 投稿者のなかに、「石田幸太郎」っていう別名義の人がいるんですが、多分同じ人ですね。経歴が立命館の経営学部卒なので。

岡村 じゃあ、石田幸太郎さんで良いじゃん。

今井 そうなんですよね。

平林 「書評家、ライターとして活動中」って書いてあるけど、調べた限り、全然ちゃんとした実績がないよね。少なくとも、これで飯は食えてないんじゃないかな。本のタイトルは二重鍵括弧かぎかっこでくくる、みたいな基本的な文章作法が一切出来ていないし

プロフィール文は大事

今井 平林さんは著者のプロフィール文を書くのに、どのくらい時間をかけてますか?

平林 新書の表4のところね。10分で終わることもあれば、2時間かかることもあるっていう感じかな。

今井 10分で終わる人っていうのはある程度、型がある場合ですか?

平林 うん、そうだね。まったく型がなかったらすごく時間がかかるよ。やったことないけど、デビュー作とかだったらどう書けばいいのかなって結構苦労すると思う。

今井 僕は、デビュー作の担当をすることが多いので、プロフィール文を書くのに2〜3時間かかるっていうのが結構あります。

岡村 でも、相当な実績がある人だったら楽しいよね。大塚明夫おおつかあきおさんとか。

平林 柿内さんはそこをどう文章として読ませるか、みたいなことに気を遣ってたよね。書き方もいくつかあると思っていて、僕は情報として綺麗に整理されてることが大事かなと。イベントはもちろん、著者が色んなメディアに出ていったりするときにそのプロフィール文が流用されていくじゃない。だから、個性的な文章というよりは汎用性を意識して書いているかな。

今井 基本は、具体的な情報を入れるっていうことですよね。いかに書く価値があるかを理詰めしていくためにも、プロフィールはちゃんと書いて欲しい。その上で、自分がその題材で書けるのかという判断をして欲しい。これが1つ目。

どのくらいの人数が読者になりえるのか

今井 2番目に、よくあるパターンが、応募者の経歴は悪くないがターゲットが極端に狭いパターン。今回の投稿作のなかでは『平凡ブロガーと人気ブロガー7つの違い』ですかね。これは応募者の経歴もそんなに良くないんですがターゲットが狭すぎる。

岡村 僕の下読みの範囲だね。ちょっと興味が湧かなかった。

今井 これは「誰が読むの?」っていうパターンですよね。

大里 僕の下読みの範囲でもあったんですが、そもそもブロガーを職業にしようという流れが今あるのかというのはまず疑問でした。

岡村 「俺、ブロガーになるぜ」っていう需要って、今どのくらいあるのかな。

今井 ブロガー本はあるにはあるんですけどね。

岡村 あとは、ブログって別にもう最先端のメディアではないよね。今からブロガーになるより、ブログというメディアが効果を発揮するのって、既に有名な人がやる場合だと思う。

内容に普遍性がないですよね。いい新書って、3年先、5年先でも読めなきゃだめじゃないですか。ここで紹介されているブロガーさんたちが5年後もブロガーとして活躍されているかどうか、かなり怪しいと思うんです。

平林 いや、イケダハヤトさんは5年後も大丈夫な気がする!

今井 イケダさんはもう、賭けに勝っちゃった感じがありますねえ。

岡村 あの人は、もうブログの書き方とかの問題じゃないよね。もう、生き方が注目されているみたいな感じだから。

平林 だから、この企画を出すとしたら3年前とか5年前が一番いい時期だったんじゃないかなという感じだね。

大里 もう旬は過ぎているということですね。

石川 (投稿作を読みながら)でもこの「ネタ切れを起こさない仕組み作り」とか、もし本当にあるのなら知りたい!(切実) そして、この人はたくさん投稿してますよね。僕が読んだなかにも2つありました。

ほんとだ。同じプロフィール文で何本も書いてる。

今井 (プロフィール文を読んで)むしろ、週に2日の出勤日に何をしているのか気になる。

『浜崎あゆみのメイクは、なぜ、濃くなっていったのか?』もこの人か。多分、見てるものが古いんですよね。浜崎あゆみとか15年くらい前の話じゃないですか。

石川 これも、ちゃんと分析されていれば面白くなりうるテーマだと思うんですけど、ただの俗論というか

「最近のアイドルは美人なのに厚化粧でさあ」みたいな。いかにもおじさんが居酒屋でする話ですよね。

石川 ざっくりまとめると、「最初は素朴な美人だったのに、どうして時間が経つと厚化粧のブスになっていくのか」みたいなことが書いてあるんです。

岡村 居酒屋トークだ

書き尽くされた題材はやめよう

今井 あとは「既に書き尽くされた題材である」というのがあります。例えばこの『偏差値40台の劣等生が偏差値92、早大プレ全国1位を獲得し早大に合格した軌跡』。

岡村 題名の「偏差値92、早大プレ全国1位を獲得し」っていうところが要らないよね。

平林 あと、なんで偏差値92なのに早稲田なの? 東大は受けなかったのかな。

今井 それ、僕も思いました。

岡村 自分のいいところを最大限にみせようとして、逆に浅はかさがみえてしまっている。

平林 っていうか、『ビリギャル』があるからもういいんじゃない、これ。

今井 一言で言っちゃうとそういうことなんですよね。

石川 『ビリギャル』は、これが送られてきた1年前には世にでています。

今井 これはでも、タイトルに事実を入れているだけ他の人よりマシかなと思うんですよね。東大受けないの、っていうのはありますが。

平林 全教科やれなかったんだろうね。短期間でやるとしたら苦手なところは捨てるしかないから。僕もそうだった。あと、私大はAO入試だったら偏差値関係なく入れるとも思うんだけど、どこの学部だったんだろうね。

大里 学部までは書いてないですね。

岡村 あと衝撃だったのは、目次みたらこの人、浪人してるんですよね。悪いけど、1年間がっつり受験勉強に専念できればなんとかなるだろうと思っちゃう。『ビリギャル』みたいに現役で、高校3年まで偏差値40みたいな感じだったらどうやったのか気になるかもしれないけど。

今井 そういう意味では、ありふれた話になっちゃってますね。偏差値92を取ったというのは面白い事実ではあるけれども。

新書の体を成していない

今井 次は新書の体を成していないパターンです。要するに、何が言いたいのかわからないってことなんですよね。例えば、『「猫に小判」のアフターストーリー』。

平林 これはやばかったね。

今井 わかりやすくしようとして、逆にわからなくなってるような感じですよね

石川 タイトルにこの比喩を使う意味がわからないです。

岡村 このコピーをみても全く意味がわからない。「猫を変えますか? 小判を変えますか? それとも」っていう。

平林 しかもこれ、カテゴリーは教育なんだね。しかも、1章分の文量もない。

今井 1章といったら、少なくとも1万5千字くらいは必要ですよね。1冊5章構成で10万字くらいですから。

平林 最初の1章は短いことも多いから、もうちょっと少ないかもしれないけどね。同じく、『僕は縁結びの神さま。』っていうのもやばかったね。これはね、何を言っているのかよくわからないんだよ。

石川 僕も下読みしたんですが理解できませんでした。

平林 (目次案を読み上げる)「僕たちは天使だった。未来に翼を広げる本当の意味」

なんなんでしょうね、これは。

今井 内容もそうだし、プロフィールもすごいですよね。「多摩美術大学卒。水商売。著名人や第一線で活躍する兄者たちとの会食を重ねながら自分なりのビジョンを追求」 兄者

平林 兄者「兄者たちとの会食」、『花の慶次』みたいな感じなのか!?

今井 次はこれ行きましょう。『Goodmedicinetastesbitter.』。

平林 「良薬口に苦し」! これもやばいよね!

今井 エッセイなんですよね。(目次案を引用して)「ドンペリニョン狂想曲」とか

石川 なんか超越してますよね。

岡村 この人、本当に2014年に慶應を出た人なの? 文章が古すぎると思うんだけど。

石川 中身を読む限り、紆余曲折うよきょくせつを経て、という感じなので若くはないのかもしれません。

岡村 でもさあ、「東京ジャングル」はないだろう!(声を荒げる)

今井 『東京ジャングル』ってPS3のゲームでありましたね。

平林 ポメラニアンが頑張って生き延びるやつね!

岡村 でも本当に、この目次案の全てが古いんだよね。

大里 「フツー」っていうカタカナの表記とか結構キツいものがありますね。

岡村 駆け落ち喫茶ってなんだよこれ。これがもし、矢沢永吉の自伝だったら読むかもしれないけど、正直な話、あなたには読んでもらう何かがあるのかと言いたい。

今井 あとは『29歳のなつやすみ 〜島根合宿免許紀行〜』も同じですね。

石川 これ、調べたんですけど、もうkindleで個人的に売ってらっしゃるようでした。内容は、ただただ免許合宿に行ったという話で

観光したり、ただの普通の旅行記なんですね、これ。新書の要素が全くない。

今井 プロフィールも要領を得ないですね。「ゲーム制作会社にディレクターとして入社するも、クリエイティブな仕事の「現実」を直視し、早々に退社。現在は在宅で仕事をしながら、あれこれ創ったり、挑んだり。」という。

平林 結局、なにも長続きしなかったってことなのでは

クリエイティブなことがしたいという人のすごく良い思い出が免許の旅行なのか、というのは思いました。これは「書きたい!」って思うほどの経験なんでしょうか?

切り口が大事

今井 では、そんな基準をくぐり抜けた2作品について話しましょうか。では石川くんの方から。『「教養」と「野蛮」から現代を読む』ですね。これは、どこが良かったですか?

石川 これは相対評価で上げたんですが、この人はアカデミックな書き方の訓練を受けてきただけあって、ちゃんと書かれていました。示されていた参考文献も勉強になったし、文章も整っているというのが良かった点ですね。個人的に、書けたら面白そうなテーマだとも思いました。

今井 これはちゃんと見出しも付いてるね。

石川 ただ、新書の300ページ前後の紙幅でこれだけの大立ち回りができるのかといわれるとできないと思います。あと、この人は専門が地理なんですよね。教養の文化史を書ける経歴なのかどうか、というのはあります。あとは、「ヤンキー」とか「反知性主義」といった最近話題になった人文系の本のトピックを全部盛り込んできたなあという印象です。

これ、私の担当でもあったんですけど、推薦はしませんでした。色々なことを言っているけど、全部この人の主観でしかないんですよ。よく研究しているのは分かる。けど、「僕の仮説はこれです、その正しさはこの参考文献が証明しています」と言われても読者は納得できないと思うんです。論文だったらこれでいいけど、新書は読者が共感できる具体的なテーマを軸にしないと難しいと思いました。

平林 でも、無理にそうしなくてもいいんだよ。ただ、文章をみる限りではタイトルに反してあまり現代を読んでいないんだよね。この人の言う「現代」って結構古い。

そうなんですよね。たぶん引用してる参考文献が古いんじゃないでしょうか?

平林 ただ、この人は立命館の地理の博士課程を出ているんだよね。僕とは同じ文学部なんですけど、立命館の地理っていうのはヤバいところで、就職が決まってても3分の1くらいは卒論が通らなかったという。大学のあるべき姿!!(かすれ声で)

岡村 すごいですね。

今井 じゃあ、そこを出たらちゃんとしてるっていう保証になりますね。

平林 そう、そこで院を出てるっていうのは研究者としてはちゃんとしてるんだと思う。この人がここで書いていることっていうのは、研究をしながら積み上げてきたものからそう思うに至ったんだと思う。基本的に書き方が堅くて、論文の書き方をしている。書き出しの部分も引用が多い。なので、自分の言葉で平易に、かつ説得的に一般大衆に向かって語りかける、ということは全然できていない。

岡村 まさにその通りなんですよね。

平林 そこがつまらないなあと思う。あとは、あくまでも地理だから歴史認識というか今の文明に対する認識として「西洋」と「中華」しか出てこないんだよ。どう考えても、これは狭すぎるよね。

新書だったらそのくらいの切り取りでも良いのかなあと思うんですけどね。

平林 でも、古いと思うんだよね。20〜30年くらい。

それは問題ですよね。

今井 何年生まれの人なんですかね?

平林 僕らよりは上じゃないかなあ。多分。

この人しか語れないことが絶対にありそうなのにもったいない気がしますね。

平林 そうなんだよね。

今井 (プロフィールをみて)中国在住の方なんですね。

岡村 僕が下読みをした人でも、面白い経歴を持つ人がいたんだよね。大阪大学大学院を卒業して、ドイツの大学に留学中っていう。『福島第一原発事故と日本の思想』を投稿してくれた人。この人もそうなんだけど、これを読んで何が得られるかよくわからないし、パッと見て読んでも面白くなさそうに感じた。どっちかは欲しいんだよね。自分が興味を持っている内容が提示されているか、もしくは単純に面白そうか。僕はそもそもこの人が書いていることにあまり興味がないし、興味がない人でも興味を持てるような面白い書き方をして欲しい。このままだと「これ、論文だよね?」という感想になっちゃう。

平林 興味を持てるようにするか、もしくは「読んでおかないとやばそう」みたいな感じがすると良いんだよね。

岡村 たしかに、「読んでおかないとやばそう」っていうのは動機になりますね。

大里 そうですね。僕が新書を読むときには、「知らないけど知りたいことが書いてある」あるいは「自分に役に立ちそう」っていう基準で選びます。

平林 このジャンルについては本を読んで知っておいた方がよさそうだけど、自分は何にも読んでないな、とかね。

岡村 そうそう。

石川 僕はこのくらい堅い方が読みやすいです。内容によるとは思いますが。

平林 いま、梅棹忠夫うめさおただおを下敷きにして書きました、みたいなものを誰が読むんだろうっていう感じ。例えばだけど、この投稿作よりも『中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立』の方が世界の潮流がわかると思うんだよね。第三世界にスマホが押し寄せる、みたいな。

今井 たしかに。

岡村 この場合は、切り口がよくわからないというか

今井 というか、切れてないんですよ!

岡村 切れてない! それはその通りだね。

今井 どこか切らないとダメですよね。どこかの切り口から何かを言わないと。

平林 錆びついたナタを、水を含んだ木に叩きつけてる感じ。

今井 この作品については、何か切って欲しい、専門分野を活かして欲しい、時代を捉えるってことですね。

「好き」をどういうベクトルに進めるか

今井 では、平林さん推薦の『炭水化物を見つめて〜パンの世界』の話に行きましょうか。

平林 まず、ダメ出しから入るけど、パンの話しかしてないからタイトルの「炭水化物を見つめて」はいらないよね。そして、文章があまりよくないと思いました。書き出しの1章は散漫で何を言いたいのかはっきりしない。

岡村 ダメ出しばっかりじゃないですか!

平林 それはそれとして、この人は本当にパン好きだよね。そして、僕らだと行けない場所に自腹で行ってくれている。書く材料はあると思うんだよね。それがすごくいい。で、問題はここから先、パンが好きで、パンを食べるためなら世界中どこへでも行きます、っていうことをどうやって商売にするのか。

一同 うんうん。

平林 正直に言って、パンの本は既にたくさんある。パンの歴史の本とか文化史の本とか。ヨーロッパ人が書いたものもあれば、日本人が書いたものもある。でも、そういうのは基本的に堅い本で、パン屋さんとか文化史に興味がある人が勉強のために読む本なんだよね。それらとは違う、エンターテイメントの「パンの本」を書いてもらえるんだったら良いんじゃないかと思った。

石川 なるほど。

平林 あと、目次をみたときに分け方が違うんじゃないかと僕は感じた。まず、目の前にある日本のパンから始めるべきなんじゃないかと思う。「日本のパンってなんなの?」ということ。

大里 たしかに。

平林 我々の目の前に当たり前のようにあるパンと、色んな国にある全然違うパン、似ているパンとか、もうちょっとちゃんと分類した方が良いんじゃないかと思った。「植民地時代の名残」だったらベトナムだったらフランス式のパン、とかね。これは普通だなあ、という感じ。なぜかイギリス領だったビルマとか仏印だったマレーシアが2章に入ってるしタイが2箇所に分かれていたりするので、僕はこの分け方には納得がいってないね。例えばだけど、「平べったい膨らまないパン」とかそういう分けかたにした方がいいんじゃないかな。

岡村 これは、もうちょっとパンに対する一本筋の通った何かが欲しいですよね。

平林 パンが好き、以外のことがみえてこないので、「結局なにが言いたいの?」というところがないよね。

パン図鑑になってるんですよね。新書だとよさが発揮できていないというか。この構成だとどう考えてもムックの方が良いでしょ!

平林 これがポケットサイズの植物図鑑なら別に良いんだけどね。持ち歩いて身の回りでなにかあったときに「この植物、なんだろう?」って開けば良いわけだから。でも、「このパンなんだろう?」ってなることはないじゃん。パンの名前は書いてあるんだから。

岡村 そうですね。

平林 あと、パンって呼んで良いのかってものもあるよね。ナンってパンなの? チャパティーってパンなの? 中華の揚げパンがパンだとしたら、点心はどうなの? とかね。

そういうことが語られていたら、もっと面白いかもしれませんね。

岡村 平林さんが言っていたように「そもそもパンとは」というように1章で定義付けるべきですよね。

大里 「この本で扱うパンとは、これである!」みたいな感じですね。

岡村 そのあとで、ズラズラと書いていく。

平林 でも、そのズラズラという書き方だと面白くないんだよね。なにかストーリーがないとね。

今井 僕が好きな岩波ジュニア新書のシリーズに『パスタで辿るイタリア史』『お菓子で辿るフランス史』というものがあって、子ども向けの本なんですけどむちゃくちゃおもしろいし、ためになるんですよ。それを書くことはこの人には難しいかなあ。

平林 でも、そういうことだと思うよ。高度なことだけど、本当はそれをやらないといけない。

石川 「食の図書館」シリーズなんかも面白いですよね。

平林 (投稿作から引用して)「そこに広がっているのは、それを作り、食べる人達が営んできた、生活習慣、嗜好しこう、そして歴史。」ってあるけど、たぶんこのなかで一番大事なのは歴史だと思うんだよ。なぜなら、「こんなところにパンなんてないだろ」っていう場所にいっぱいあるんだもん。例えば、「パンで辿る日本史」だったら需要はあると思うよ。近代史ってことになるけどね。日本には色んな国のパンがあるけど、いつ頃入ってきて誰が始めてどうやって広めたのかは辿れると思う。麻婆豆腐の陳建民ちんけんみんみたいな。クロワッサンはこの人、というのがわかるかもしれない。だから、アドバイスをするとしたら、愛のあまり突っ走っているけどもうちょっと冷静にってことかな。

今井 でも、「この人なら書いほしいよね」って思うくらいパンが好きなのは伝わってくるので良いですよね。行動も伴っているし。『白熱日本酒教室』のむむさん(杉村啓すぎむらけいさん)もお酒に関して学問を修められているわけではないですが、バカみたいに好きなんだなというのがわかる。

平林 言ってしまえば、「お酒」も「パン」もふわっとしたものじゃない。パンはイースト菌が入っているからほんとにふわっとしてるんだけど。

今井 ハハハ。(乾いた笑い)

平林 ふわっとしたままじゃだめで、わからない人にもわかるように明快に理屈で分解してみせる必要がある。

岡村 むむさんは切り口が上手い。むむさんは理学系の人とかではなくライターさんだけど、あの本が良いのは「ラベルをみればわかる」というシンプルで意外性のあるメッセージ。このパンの人も「好き」では負けてない気がするけど。

平林 そうそう。その「好き」をどういうベクトルで進めるか、という話だよね。色んな国に色んなパン食べに行って、「わあ、美味しい! 面白い!」だと、まだ趣味だよね。

今井 僕はこの人が、旅行記をブログにあげたらすごく人気出ると思う。

一同 たしかに!

石川 僕も下読みしたんですが、パンのビジュアルも付けてブログでやれば良いんじゃないかなと思いましたね。

平林 いまの状態で趣味で楽しむんだったらそうだよね。仕事にしたいんだったら、もっとコストをかけて勉強をしないといけない。文章をみる限りではこの人は、文化人類学の本とかはあまり読んでないみたい。その辺は是非勉強してほしいなぁと思います。

どんな作品が欲しい?

平林 どんなものを書いてほしいかっていう話をしようか。僕は専門家が書いたものが良いな。僕らがこれエビデンスないでしょ、みたいにつっこめるようなものは難しいよね。

今井 専門家って、例えば先ほども名前が挙がったむむさんは専門家ですか?

平林 醸造技術の最先端がどうなっているか、とかそういうことにかけては専門家だよね。なし崩し的に専門家になったんだけど。

今井 学術的なバックボーンは、必ずしも必要ではないということですね。書くに値する専門家ということなら、いま正に現場にいるっていう人でもいいし。

平林 そうそう。そもそも、その分野の一番の専門家=ファンであることは割と多いよね。だから、なんで全然ジャンル違いの知見のないものについて書こうとするのかはわからない。書きたいんだったらちゃんと調べようよ、とかね。当たり前の話だけど。

今井 例えばさやわかさんは小説についてとか、ゲーム、アイドルについて書いているじゃないですか。普通の人には、ああいう人になりたいって思われているのかもしれないですね。

平林 でも、さやわかさんは「カルチャーの専門家」だからね。『一〇年代文化論』みたいに横断的に書くこともできるけど、『僕たちのゲーム史』とか『僕たちとアイドルの時代』はテーマを絞って各論を書いているという感じ。しかも、さやわかさんはものすごい労力を払っているからね。

今井 たとえば、どういうことですか?

平林 仕事しながら小説読んでゲームしてマンガ読んで演劇観て、というのをすごい勢いで365日休みなくやり続けなきゃいけないわけだから。僕らの仕事だってそういう部分はあるけどさ。土日は土日でインプットに使うわけじゃん。だから、普通の人が仕事をしながらやるのであれば、少なくとも最初は、テーマを1つに絞るべきだと思う。

今井 そうですね。

大里 その話で、学生の頃に研究は「一点突破、全面展開」でやるんだと言われていた先生がいたのを思い出しました。ひとつ、深く掘り下げたものがないと汎用性のある内容は出てこないっていうことなんですが、その通りだなあと思いました。

平林 逆に、ひとつ極めればその方法論でなにか別のものを読み取ることができるっていうのもあると思う。それを全面展開してる例をあげるとすると、佐藤優さとうまさるさんだよね。

大里 たしかに。

平林 でも、あれぐらい極めていれば重みが出る。この人の読んでいるものが読みたい、みたいな。池上彰いけがみあきらさんもそうだよね。他には何かある? こういうジャンル、とかでもいいかもしれないけど。

今井 星海社新書が強いジャンルは、サブカルチャーってことになるんでしょうかね。

平林 僕は歴史の本を作りたいんだけど、いままで歴史がなかったものについてやってきた。いまはないけど、「これについての歴史だったら書ける!」っていうものがあれば欲しいかなあ。ただ、すごくマニアックなものはやめて欲しい。例えば、「電車のパンタグラフの歴史」とかだとちょっと困るかな。

一同 ああ〜。

「電車のパンタグラフが実は私たちの生活に繫がっている!」みたいな、私たちの常識を覆す内容だったらむしろ興味湧きますけどね。

平林 それはあまりないと思うけどね(笑) でも、色んなところに使われている部品の歴史だったら面白いと思う。ネジの歴史だったらめっちゃ面白いかもしれないよね。『僕たちのゲーム史』も『中国のインターネット史』も、20〜30年の歴史しかないものを扱った歴史の本なので、そのくらいの時間軸でも全く問題ないと思います。林さんはなにかある?

うーん、「書きたい!」が先行して新書のフォーマットに合ってない作品を送ってくる人が多いので、「星海社新書」らしさをどう生かしたいのかもう一度よく考えてほしいですね。

平林 星海社新書になったときの佇まいをもっと想像してイメージできるものを送ってね、ということだよね。

その通りです! あと、前に受賞された牧村さんのことを考えると、「当事者である」という人が自分のことを書くのが一番説得力がありますね。みんな予想の域を出ていない印象でした。

今井 当事者であることに加えて、市場性も大事だね。

最初に今井さんが説明された「市場性」「信頼性」「新規性」の3つを併せ持ったものであるということですかね。

今井 その本を誰が読むかっていう、なんとなくの市場規模みたいなものを投稿者の方も考えてみてほしいですね。

平林 僕らでも、外れることも多いけどね。著者の皆様にはまことに申し訳なく

今井 そうですね。

大里 今まで、新書に手を伸ばさなかった人が買ってくれるような本ができたら嬉しいですよね。

平林 もっと具体的に言って!

大里 はい! えっと、新たな需要が生まれるような本ということです。世の中の研究者の方って一般には知られていない定理や法則を用いて研究をされていますよね。この定理はこんなことにまで役に立ってる、とかこの法則は生活のこんなところにまで役に立つ、みたいな。それまで知られてなかった研究のエッセンスが感じられる本が作りたいですね。

今井 それは新書の基本的な役割のひとつだよね。

平林 いいと思う。それこそ、本当はこの学問の研究分野の最先端は今どうなっているかっていうのをわかりやすく一般の人に伝えます、で十分だと思うんだよね。

石川 もともと新書ってそういうものですよね。

平林 でも、僕らはまだ、それが充分に出来てないんだよね。

大里 僕は自分が工学系の出身だという影響か、新しく理論を作り出すというよりはどうやって使うか、何の役に立つかみたいな発想をしがちです。一般の読者が新書を選ぶ基準も「面白い」か「役に立つ」だけだと思うんですよね。

平林 一見して役に立ちそうなものと、役に立たないようでいてずっと使えるものというものもある。そこはバランスよく作っていかないといけないね。

ミリオンセラー新人賞の今後

今井 この新人賞を今後どうするかという問題がありますね。

FICTIONS新人賞だと、何度も挑戦してくれる人がいて、目に見えて改善されてたりするんですけど。その点、ミリオンセラーは変化がないですよね。毎回違う人に同じ問題を指摘しているので、この座談会読んでも面白いのかなという心配はありますね。

平林 それは、林さんがもっと面白いことを言えるようになればいいんだよ!

岡村 まさにそうですね。

大里 新書は誰が書くかが大きい、っていう話があったと思うんですけど、例えばプロフィール文だけ送ってもらって「この人にはこんなことを書いてもらいたい」というのはどうですかね?

今井 うーん。

大里 あ、それだとちゃんと文章を書ける人なのかわからないですね。

今井 それもそうだし、全然情報が足りないかな。座談会に新鮮味がないっていう問題はその通りだと思います。

岡村 でもしょうがないよ。本当に思ってることが一緒なんだもん。逆に意見がブレブレだったり、反対のことを言ってたらそれはそれで問題なんだからさ。

今井 よく言えば、一貫性があるということですね。では、今後も半年に1回やるという前提で続けて行きましょう!

一行コメント

『若者と政治〜若手政治家は何を考えているのか〜』

取材による根拠がないので、この通りになるか疑問です。また、書き出し部分では、インタビュー部分で「何を聞くか」をもっと突き詰めた方がいいのではないでしょうか。(平林)

『女性社員が子供の看護休暇をとった時に内心イラッとしてしまうあなたへの処方箋』

書き出しの会話文が逆効果なのではないでしょうか。また、目次を見る限り、整理に紙幅を使いすぎで、独自の議論になる部分の独自さも今ひとつ見えない。(平林)

『美しき風俗嬢』

まず、どういった読者層に向けた企画なのかが読み取れません。また、目次や書き出しのなかでぶれている部分が多く、どこが売りなのかも分からなかったです。(平林)

『プロ野球界の明日ー変わったのか?日本のベースボール』

プロ野球という類書が多数存在するメジャーな題材について書くのなら、もっともっとテーマの絞りこみが必要。投稿内容を読んでもテーマが広すぎてあまり興味が持てません。(岡村)

『なぜ、99%のアーティストは失敗して1%だけ成功するのか?』

このタイトル通りの内容の新書を書いて、きちんと「商品」となる本を発刊できるアーティストは、日本に数えるほどしかいないと思います。(岡村)

『正しいこと』

この投稿内容と応募者紹介からでは、何もわからないです。(岡村)

『ハイパーフリーエージェントのススメ』

「ハイパーフリーエージェント」が具体的にどういうものなのか、投稿内容を読んでもわかりません。(岡村)

『車輪の下症候群転落したエリートたち

この作品を読んだ人は何が得られるのでしょうか。その「得られるもの」に需要が見込めないと、残念ながらこちらは刊行したいと思えないです。(岡村)

『もう一度、嫁を口説こう』

この手の普遍的テーマに挑戦するのなら、もっと「なるほど」と思わせる斬新な切り口が欲しい。真正面から書いても、応募者紹介のキャリアからでは内容に説得力が伴わない。(岡村)

『子宮の考察 〜産んだ女はそんなに偉いのか〜』

出版したいと思える内容ではなかったです。(岡村)

『[そんなコトしたらはげちゃうよ!]ー美容界のこわ〜い裏側ー』

科学的検証がないと成立しないのではないでしょうか? もくじも構成も豆知識の羅列なので単調です。新書にも起承転結は必要です。(林)

『人間リスクマネジメント  〜「援助交際」から学ぶストーカー・DV対策〜』

着眼点はよいと思います。「心の援助交際者」としての経験を生かし、ポジティブな構成にしたほうが需要があるのではないでしょうか?(林)

『一度は海外で働いてみよう 「世界で戦える人材」ではなく「協働できる人材」になるために

海外で働いた後にどのようなメリットがあるのか。明確なビジョンがもくじから見えてきませんでした。あるはずのデメリットが一切書かれていないのも気になります。(林)

『貧しい富裕層、豊かな低所得層』

提案される「貧しい富裕層」と「豊かな低所得層」に共感することができませんでした。主観ではなく、ロジックやデータを使って読者を納得させましょう。(林)

『現役「統合失調症」患者が教える、精神疾患との付き合い方』

統合失調症(患者)との付き合い方には専門家による類書がたくさんあるので、自伝を出版する意義はないと思います。それ以前の問題として、文章は推敲してください。(石川)

『漠然と死にたくなった時に読む本』

真剣に「漠然と死にたくなった」人に対して書いていますか? 本当に「漠然と死にたくなった」人が読んで大丈夫ですか?(石川)

『ベタな生き方』

「流行」や「ベタ」の定義付けがされていないので、流行批判も「ベタ」の選定もただの印象論に終始していますし、安っぽいトリビアの開陳と「ベタ」の提示の違いがわかりません。(石川)

『君たちはどう生きてるのか』

あまり意外性のない、そこそこ知られた職業の羅列にしかなっていません。(石川)

『シュークリームとカツ丼』

普通の大学生の、普通の就活日記に、需要はありません。(今井)

『HARAJUKUSpirits二極化する現代の若者像

応募して頂いた内容に仮説や主張がなく、思考量が全く足りていません。(今井)

『自己啓発、クソ食らえ!〜何故にそんなにつながりたがる?〜』

世間一般に正しいとされているものと逆のことを言うためには、圧倒的な筆力か、目もくらむような実績が必要です。応募して頂いた内容からは、いずれも感じ取ることができませんでした。(今井)

『父が死んだら娘の知らないことがたくさんでてきた(仮)』

この原稿を読んだ読者が何を得るのかが、全くイメージできません。目次案も、目次案になっていません。(今井)

『地球温暖化は本当に人間のせいか?』

タイトルは悪くありません。しかし、目次案/一章/プロフィールを見るに、応募者の方がこれを書き切れるとはとうてい思えません。(今井)

『精神病は精神病院ではなおらない』

読んで何が得られるのか不明です。あまり需要も見込めないと思います。(大里)

『検証・ゆるキャラビジネスの経済効果』

ゆるキャラビジネスの経済効果を分析するというテーマには興味が湧きましたが、あなたがそれを書けるという証明ができていません。(大里)

『名作から"今"を考える新しい目で読むということ』

経歴、投稿内容ともにこの情報量では何も判断できません。(大里)

『地獄と地獄、うつ離婚』

自伝はよほど名前の知れた人でない限り読者を獲得するのは難しいです。一般性のある内容でもありませんでした。(大里)

『正しい英語の勉強の仕方と、タブレット端末と高速通信網が変革する教育のしくみ』

本題と関係のない記述が多く読みづらいです。このテーマを書くに値する書き手だとは思えませんでした。(大里)