ジセダイセレクションズ

「子ども産みてぇ！」そう子宮の底から思わせてくれる、詩人・伊藤比呂美さんの育児エッセイ。元祖「こじらせ系女子」の、２人の乳飲み子への愛と憎悪と煩悶と萌えと憤怒、夫への憎悪、仕事への欲望、そして女の性欲etc……。全部ひっくるめてこれが「妊娠・出産」だ！　と、ほとばしる母乳のごとき乳白色のドライブ感で描かれる。これほど肉感的で官能的な育児エッセイが他にあろうか！　とても30年前の作品とは思えない。妊娠出産と聞いてもやっとする文系女子にこそ読んでほしい。

3.11以降あまり歓迎されなくなったハイカロリーハイ消費な生活ですが、大都市でしか満たされない欲望ダダ漏れで生きる女四人のとことん素直でアッパーな生き方を見ると、まだまだ東京暮らしはやめられない！　ロハス？　アンチ消費？　んなもん知らん！　終末トーキョーの狂ったエネルギーについていけない奴は田舎の土手で荷車でも押してろ！　やっぱり女子たるもの一度は砂漠の豪華リゾートでアラブの石油王と豪遊したいよね！　え？　夢を見るのはニコ動と同じでタダなんだからいいじゃないですか！！

9.11のその時、沢木さんはちょうど北米に向かう飛行機の中にいた。大混乱の中、目的地の南米へセスナ機で向かった一行は、ブラジルの熱帯雨林への「墜落」を経験する……。稀有な経験の渦中にいながらも、正確に状況を切り取る目、人間への観察眼と深い親しみ、老いてなお尽きない旅へのロマンティシズム。ストーリーテラーとしての彼の底なしの才能に畏敬さえ覚えます。いつか私も彼のように、未開の地でこんな面白いルポを書きたい。学生時代「深夜特急」と同じルートで旅した時から、沢木さんはずっと私の心の師です。