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野食のススメ 東京自給自足生活

第12回:野食の貴重な肉タンパク!! ヘビを美味しく食べる方法を考えてみた

茸本朗
2017年09月22日 更新
第12回:野食の貴重な肉タンパク!! ヘビを美味しく食べる方法を考えてみた

 当連載ももう12回目となり、季節がきれいに一回りした。

「日帰りできる範囲で、初心者でも容易に確保できる食材を栄養バランスよく集め、調理して食べる」という厳しいルールの中で行われてきたにもかかわらず、当初想定していたよりもはるかに沢山の食材を紹介できたと思う。

 絶えず新たな気付きを与えてくれたゲストの皆様方や、担当編集・平林氏にあらためて感謝したい。

 ただ、まだ大物ネタでやっていないものが1つある。

 食材としての知名度もそこそこあり、誰もが一度ならずその姿を目にしたことがあり、そして貴重な“肉系”食材であるものが……

ニョロニョロのあいつを捕まえよう

 というわけであくる朝、そのターゲットを探しに郊外の谷津林に向かった。

 真夏ではあるが長袖長ズボン、軍手をはめて茂みに入っていく。

 狙うポイントは水場が近くにある森林で、適度にアップダウンのあるような場所。こういうところには彼らの餌となる小動物がたくさんいる。

 生態系の上位を担う彼らを見つけるためには、常に餌の気配がする場所を探す必要がある。カエルがいそうな水場のすぐ上の茂み、小鳥が巣を作りそうな小灌木、あるいはカヤネズミの巣があるヨシ原の中。

 テクニックは必要ないが、棲息数はそこまで多くないので根気は必要だ。

 しばらく探し続けていたその時、いかにもカエルが跳ね回っていそうな沢沿いの草むらの中に、細長いものがさっと動くのを目ざとく見つけた。

 とっさに尾を足で踏みつけて動きを抑え、さらに頭を逆の足で踏んで固定し、首の後ろを手でぎゅっとつかんで持ち上げる。(軍手に滑り止めがついているとやりやすい)

 そう、今回のメイン食材はヘビ。

 しばしば恐怖の対象とされ、毒ヘビの存在もあって嫌われやすいが、昔からサバイバル食材としては極めてよく知られ、また中華料理などでは一般的な食材のひとつでもある。

 頭の後ろを確保してしまえばいかなるヘビも嚙みつくことはできない。必要以上に恐れなければ捕獲も容易なのだ。

 まずはじめに捕まえた、黄色と黒のやや派手な模様が目立つこの個体は、ヤマカガシ(有鱗目ナミヘビ科)だ。

 ヤマカガシはおとなしいヘビで、捕まえるときも苦労はしないが、実は毒の強さでは国産ヘビでもトップクラスとされている。奥歯にその毒腺を持つだけではなく、主食としているヒキガエルの毒を自らの体にため込み、首の後ろの毒腺から噴出するという習性もある。全体に苦みがある個体もあり、他のヘビほどには食用に向いていない。

 なんとかもうちょっと食材向きの種類が採れないだろうか......そう思いながら探索を続けていると、ハイキングコースとなっている尾根筋を這い進んでいくヘビの影が!

 捕まえたのは、日本のヘビの代表種ともいえるアオダイショウ(有鱗目ナミヘビ科)だ。山地に多いが平地にも棲息し、ときにネズミを追いかけて人家に入り込むこともあるため昔からよく知られている。

 黒っぽい個体なのでシマヘビかとも思ったが、アオダイショウ独特の青臭いような匂いがするのですぐに見分けがついた。

 大きさは優に1mを超え、食材としては十分な量を確保できたので帰路に就く。ヘビは1匹の肉量が多いのも魅力のひとつだ。

ヘビを美味しく食べるための食材を考える

 さて、無事にヘビは確保したものの、捕まったのはアオダイショウ。

 前記の通り、全体にやや青臭いような匂いがあり、個体によっては非常に臭みが強いものもある。

 また、ヘビ全体に共通して、やや生臭いような薬臭いような、時にはほこり臭いような独特の香りがすることが多い。そのため、調理の際には香草を利かせて食べやすくすることが多いのだ。

 今回もそれを意識した調理を考えていきたいが......

 とここでふと思い浮かんだのが、ウミヘビを使った沖縄料理「いらぶー汁」。

 イラブウミヘビの燻製をカツオ出汁て煮た料理なのだが、最後に薬味&臭み消しとしてフーチバーことヨモギ(キク目キク科)を入れることがある。

 ヨモギの強い青臭さが、アオダイショウの匂いも上手いことマスキングしてくれるのではないだろうか。

 ということで、帰り道に近所の河川敷を少し探してみると

 すぐに御用となった。

 どこにでもある雑草はこういう時非常に役に立つ。

 大きく成長し、茎などはとうが立って硬くなってしまっているので、先端部の柔らかいところだけをていねいに集めていく。

 これを持ち帰ってきて、

 たっぷりの湯で茹でてよく水にさらし、

 フードプロセッサーでペースト状に。

 ボウルに強力粉と薄力粉を半量ずつ混ぜ合わせ、食塩、ぬるま湯に加えて先ほどのヨモギペーストを投入。

 よく混ぜ合わせていく。

 きれいな緑色の生地ができた。

 ヨモギを使ったせいか、心なしか草餅のように見える。

 これをひたすらこね合わせ、ビニールに入れて足で踏みつけ、グルテンがやる気を出し、押しつぶしてもググッと戻ってくるまでになったらひとまずOK。

 でも、これとヘビだけだとちょっと具材が寂しいな......

 そうだ! 今日、大潮みたいだし、貝でも採ってきてもらうか。

 ということで平林氏を炎天下の干潟に派遣し

 いい感じのホンビノスガイ(マルスダレガイ目マルスダレガイ科)をいくつか採取してきてもらう。

今年は早々に大規模な青潮が発生し、東京湾奥の貝の死滅が心配されたが、幸いにしてすぐに収まってくれたので問題なかったようだ。

(貝毒の出やすい時期なので、採取の際にはあらかじめ関連機関のウェブサイトで貝毒情報を確認されたい)

 さらに、キッチンに向かう道すがら、公園の木陰にひっそりと茂るミツバ(セリ目セリ科)を発見。

 こちらも具材に薬味に臭み消しに活躍してくれる便利な野草だ。

 都心の公園でも、木陰のちょっと湿ったような場所であればふつうにみられ、さらに盛夏になっても全草が柔らかく利用しやすいので、初心者でもまず覚えておきたい山菜といえる。

 平林氏、そしてゲストと合流し、キッチンへと向かった。

アオダイショウを丸ごと堪能! ヘビうどんを作ってみた

 今回、ヘビを食べさせられるとわかっていながらも快く試食のオファーに応じてくれたのは、TwitterやYahoo!個人ニュース等で活躍されている軍事系ライターのdragonerさん。

 魔理沙のアイコンに見覚えのある読者諸兄も多いのではないだろうか。

 ところでdragonerさん、ぶっちゃけ軍隊のサバイバルで、ヘビを食べたりすることってあるんですかね?

「ありますよ。日本の自衛隊でも、レンジャー訓練の際にヘビを食べることはあるようですね。」

 やっぱりそうだろうな......ヘビって歩留まりがいいし、捌くのも簡単だし。

 それから、みんなで野外で捕まえて食べるとすごいわくわく感があるというか、謎の連帯感が出るんだよね。まあ、訓練だから楽しむ余裕なんてないだろうけども。

 さて、ヘビを捌いていこう。

 まずは下処理だが、非常に簡単だ。

 まず、噛みつかれないように注意しながら頭の後ろを押さえつけ、そこに包丁でぐるりと一周切れ目を付ける。

 口が開かないように頭をぎゅっと握り、切れ目を入れた部分の皮を持って、後ろに向かって引っ張るとまるで靴下を脱ぐように鱗と皮が剥けてしまう。

 大きなヘビだと皮も鱗も固く、また非常に暴れるので、2人でやった方が安全だ。

 皮を剥きとったら、先ほど入れた切れ目の部分で頭を落とし、内臓を剥がす。

 腹腔の汚れを洗い落としたら下処理は終了だが、このとき切り落とした頭はしばらくの間動き続け、手などが当たると噛みつかれてけがをすることがあるので気をつけたい。

 包丁で細かく刻んでからビニールに包んで捨ててしまうのがいいだろう。

 捌く前は強い匂いを発していたアオダイショウだが、皮を剥いてしまうと筋肉にはほとんど匂いがなく安心した。(肛門周辺はやや匂いがあったので切り離しておいた)

 6cm程度のぶつ切りにして、中骨に沿って肉を切り離し食べやすくしておく。

 いくつかは出刃包丁で細かくたたいてミンチ状にしておく。

 これらに薄く衣をまぶして

 低温の油でじっくりと揚げていく。

 ヘビの肋骨は魚と比べると硬く、普通に加熱しただけでは食べることができない。

 そのためカリカリに揚げたり、あるいはミンチにするといった加工が施されることが多いのだ。

 我々も先人の知恵に従うことにしたい。

 ただ、ヘビ肉は通常の家畜の肉と比べて水分量が多いようで、揚げているとしばしば爆発し、またすぐに衣がへたってしまって難儀した。

 時間があれば、調理前に一塩して水分を抜くぐらいの加工を行ってもよいかもしれない。

 ヘビはいったんここまでとして、ほかの具材を調理していこう。

 まず、ホンビノスガイを水から茹でて煮立たせ、殻が開いたら身を取り出す。

 刻んだミツバと混ぜ合わせ、粉と練って

 油でからりと揚げる。

 ホンビノスガイの出汁が溶け込んだ煮汁を冷まし、今度はそこにアオダイショウのミンチ肉を入れて

 アクを取り、水を加えながらコトコトと出汁を煮だしていく。

 家で準備してきたヨモギ入りの生地を

 片栗粉で打ち粉をした台に伸ばし広げていき、

 3つ折りにして、数ミリ幅に刻んでいく。

 このキッチンは最新設備が売りなのだが、麺打ち包丁まで用意してくれているのはとてもありがたい。

 寸胴にたっぷりと湯を沸かし、打ちあがった麺を入れて2分ほど茹でる。

 茹で汁が緑に染まり、強いヨモギの匂いがキッチンに立ち込める。

 さあ、いよいよ仕上げだ。

 ホンビノスガイとアオダイショウミンチで採った出汁は、醤油で味を調整。

 どんぶりに茹であがった麺を入れ、だし汁を注いで、先ほど揚げたかき揚げとアオダイショウのから揚げ、さらにミンチを揚げたものを盛り付ける。

 残った具材を皿にのせて添えれば、

 真夏のヘビ出汁ヘビうどん、完成!

 さっそくdragonerさんに食べていただきましょう。

「いただきます......うん、美味しいですね、でもちょっと苦いかな?」

 なにっ。

 ちょっと食べてみましょう。

 ......ヨモギ入れすぎだろこれ。

 薬味、臭み消しとしては十二分に活躍してくれているが、この半分、いや3分の1でもよかったような気がする。

 ただ、苦いのは麺だけのようだ。

「だし汁は優しい味がしますね。貝の風味が強くて美味しい。」

 ホンビノスガイの力強い出汁をベースに、アオダイショウがその独特の青臭い風味をわずかに上乗せし、そこに麺から出てきたヨモギの香りが合わさって、非常にエスニックな仕上がりになっていた。

 その出汁がしみ込んだかき揚げも非常に美味しい。

 大きく成長したミツバは、衣をつけて揚げてもその風味が薄まらないので、非常に天ぷら向きの山菜だと言えそうだ。

 ヘビのから揚げはどうだろうか。

「ちょっと硬すぎますね......。」

 確かに、小骨というにはちょっと硬すぎる骨が縦横無尽に走り、ちょっとやそっとでは嚙み切ることができない。

 焦げる寸前までじっくりと揚げるか、あらかじめ骨に細かく切れ目を入れておいた方がいいかもしれない。

 ということは、ミンチならば......

「やっぱりちょっと硬いですけど、美味しいです。」

 やや手間ではあるが、ミンチにしてから加工・調理するのが無難かもしれない。

 麺が苦すぎたこともあり、完成した料理の出来としては正直なところ、これまでで最も微妙なものになってしまった。

 敢えて薄味に仕立ててみたのだが、蛮勇だったかもしれない。

ぱっと思いつく改善点としては

・ヘビはすべてミンチにするか、もしくはいったん圧力鍋で骨を柔らかくしてから揚げる、焼くなどの加工を行う(もしくは圧力鍋でソーキのように柔らかくできるか......?)
・ヨモギは麺に練りこむのではなく通常の薬味として散らす

の2点が挙げられそうだ。

 一方で、時に臭みが強すぎて食用不適とされるアオダイショウだが、ヨモギのような香り消しを用いることで美味しく食べることができるというのはお伝えしておきたい。

 最も簡単に見つかるヘビで、毒もなく捕獲も容易、さらに大きくなり歩留まりもいいので野食材に利用しない理由はない。

 さらに、昔から精力増強の薬として用いられてきただけあって、栄養価も高く夏場のスタミナ食材としては一級品だ。

 必要以上に恐れることなく、装備だけしっかりととのえて、ヘビハンティング&料理にトライしてみてほしい。

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駆け出し図鑑編集者。川崎在住の30代。2012年にブログ「野食ハンマープライス」を開設。海産物に野草、キノコ、虫など、ありとあらゆる変わった食材を入手して調理して食べてレポートするという、食材へのアグレッシブな探求心が話題を集め、現在では月間50万PVの人気を誇る。胃腸は弱め。

ブログ:http://www.outdoorfoodgathering.jp/

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