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ジセダイ総研

【同性婚法制化運動本格化】誰でもできる、「人権救済申立」とは? 実際に提出した陳述書を全文公開

牧村朝子
2015年06月12日 更新
【同性婚法制化運動本格化】誰でもできる、「人権救済申立」とは? 実際に提出した陳述書を全文公開

日本での同性婚法制化を求める具体的な動きが、ついに始まった。「同性婚が認められないのは、日本国憲法の定める法の下の平等に反し、人権を侵害している」として、日弁連に対する人権救済申し立ての準備が進んでいる。2015年6月15日を期限に、一般にも広く参加者を募っている状況だ。

本稿では、申立人の一人であり、フランスで同性婚生活を送る筆者・牧村朝子と、その妻・モリガが連名で提出した陳述書の全文を公開する。同性婚反対・賛成にかかわらず、実際に人権救済申立に加わる際の手引き書として、ご一読頂きたい。

日本での同性婚法制化を求める具体的な動きが、ついに始まった。「同性婚が認められないのは、日本国憲法の定める法の下の平等に反し、人権を侵害している」として、日弁連に対する人権救済申し立ての準備が始まったのだ。

日弁連とは、日本全国の弁護士が必ず加入する連合会である。過去には、公職選挙法における不公平や、ハンセン病患者隔離政策など、国が行った人権侵害行為を改めるよう、政府や国会に対して勧告を行っている。 

権力の過重を避けるため、この勧告に法的強制力はない。しかしながら、日弁連が政府や国会に対し同性婚法制化を求めたとなれば、世論喚起につながり、また今後予想される裁判でも重要事例として参照されることになる。

同性婚を求める人権救済申立は、2015年6月15日まで、一般にも広く参加者を募っている。その数は2015年6月9日現在、221人にも達した。

本稿では、申立人の一人である筆者・牧村朝子と、その妻・モリガが連名で提出した陳述書の全文を公開する。同性婚反対・賛成にかかわらず、日本での同性婚が求められる背景にはどういった事情があるのかということ、また、実際に人権救済申立に加わる際にはどうすればよいのかということの参考とされたい。

同性婚人権救済申立 牧村朝子・モリガによる陳述書全文

 

陳述書

2015年6月1日

牧村朝子・モリガ

 

 私たちは、フランスの法律で結婚してフランスに暮らす日本人女性とフランス人女性です。

……と言うと、「ありがとうございます」と返されることがあります。いわく、「同性婚を公表するなんて勇気がある。矢面に立ってくださってありがとうございます」ということらしいのです。また時には、「同性婚は家族を壊す」だなんていうふうに、批判の的にされることもあります。

 不思議な気持ちになります。私たちのしたことは“同性婚”である前に“結婚”です。私たちは単に、互いを生涯のパートナーとして選び、結婚して、家族として暮らしているだけです。そして、同性同士で暮らしていることを、言い出すのに勇気が要るような恥ずかしいことであるとも思っていないし、矢面に立って知らしめていくために選んだことであるとも思っていないのです。ただ毎日、ごはんを食べ、眠り、働いて、ケンカして、仲直りして、一緒に生きています。 

 つまり私たちは、家族です。ただし日本では、書類上家族として扱ってもらえません。家族としてのビザを発給してもらえません。クレジットカードの家族カードも作らせてもらえません。医療や介護や臨終の現場に家族としての決定権をもって立ち会うこともむずかしいです。けれど私たちは、家族なのです。ですから、私たちの関係性があえて“同性婚”と呼ばれ、先に挙げたようなことが認められない現状を、とても不思議に思うのです。

 書類上同性である人を家族として選んだという人は、もちろん私たちだけではありません。

 同性同士で子育てをしているが、共同親権が認められないがために、保育園へ子どものお迎えに行っても子どもを引き渡してもらえないという人。

 同性同士で支え合って生きてきたのに、パートナーが要介護の状態になった際、戸籍上他人であることを理由に介護する権利すら認められず、パートナーの親族から「もう会いに来てくれるな」と一方的に面会謝絶を告げられた人。

 同性同士での結婚式を日本国外で挙げる我が子を祝いたくても、日本の法律では結婚と認められないため慶弔休暇が取れず、それどころか我が子が同性婚したことについて「親の育て方が悪かったのでは?」などとあまりにも失礼な噂を立てられる人。

 こうした方々の声を聞いていると、「同性婚は家族を壊す」だなんてよく言えたものだなあ、と思います。なにも私たちは、「同性婚」なる何か新しくて大きなものを日本社会に叩きつけようというのではないのです。誰かの手から何かの権利を奪い取り、「同性婚」という名前を付けることで別の何かに変えてしまおうというのでもないのです。ただ、すでに一緒に生きている家族たちが――そしてこれから家族となる人たちが――「書類上、同性同士だから」というだけの理由で結婚制度から排除されることがなくなるといい、結婚制度を書類上の同性同士にもひらいてほしい、それだけの話なのです。

 私たちにとって“結婚”は、健やかなる時も病める時も家族としての権利と義務を果たしあうための、ある種の“行政お便利パッケージ”です。それを異性同士でしか使えないように制限する意義が、私たちにはちっともわかりません。

 お互い協力し合って子育てをする人が、書類上男性と女性ならば共同親権を持てて、書類上女性同士や男性同士ならば共同親権を持てないのはなぜですか?

 男性とされて生まれ女性として生きるトランスジェンダーが、戸籍上男性ならば女性と結婚できるのに、戸籍の性別を女性としただけで女性と結婚できなくなるのはなぜですか?

 日本国外の法律では結婚している私たちが、例えば在日米軍関係者や外交関係者やフランス国籍同士ならば結婚しているとみなされてビザを発給され、片方が日本国籍であるというだけで「日本では同性婚を認めていないから」と家族扱いされないのは、いったい、なぜですか?

 こんな理不尽なこと、私たちには、どんなに考えても正当化できないのです。特に、法の下の平等をうたう日本にあっては。

 フランス人の妻が、日本にいる(彼女にとっての)義理の両親に、こんなふうに聞いたことがあります。「日本の友達に会いに行くので、家に泊めて頂いてもいいでしょうか」。日本の両親はこう答えてくれました。「自分の家に泊まるのに、“泊めて頂く”もなにもないでしょう。私たちはもう家族なんだからね」

  その言葉を噛みしめながら、私たち婦妻は、日本への婚姻届をずっと持ち続けています。一度在仏日本大使館で受け取り拒否されてしまったものの、いつかきっと、出せる日が来ると信じて。その日のほうへ私たちの方から歩み寄っていくために、そして、私たち以降の世代の人たちがもう二度と「同性同士だから」という理由で婚姻届を拒否されることのないように、私たちは、ここに申し立てます。私たち家族を、書類の上で他人同士として扱うことをやめてください。私たちを婚姻制度から排除しないでください。

 私たちは、日本の結婚制度から性別による不平等を撤廃すること、日本の結婚制度を書類上の性別に関わりなく誰もが利用できる制度としてひらくことを求めます。

 

わたしが、同性婚人権救済申立に加わるまで

上に述べたとおり、妻と私は、家族でありながら制度上で他人扱いされることにより不利益を被ってきた。しかしながら、議員でも法律家でもない自分に、いったい何ができるのかわからなかった。私たちの婚姻届を受け取り拒否された時も、その不受理証明書を請求できることすら知らずにすごすごと帰るだけだった。 

そんな中、日本政府が在日米軍関係者の同性婚を認め、同性カップルを家族扱いして日本滞在のためのビザを発給するようになるという出来事が起こった。それ自体は喜ばしいことであるものの、日本国籍でありながら妻と日本で暮らすためのビザが得られない筆者としては、歯噛みするような思いであった。

そうして味わってきた気持ちを、そのまま日弁連に、ひいては国会に伝えるべく妻と私は陳述書を書いた。内容については、特に専門家のアドバイスを受けたわけでもなければ、構成案を練ったわけでもない。ただ、手紙を書くようにして私たちは陳述書を書いたのだ。「法律」とか「制度」といったような顔の見えない何かに対してではなく、それを作っている誰かに対して。妻と私と同じ、人間に対して。 

誰が同性婚人権救済申立に加われるのか

同性婚人権救済申立は、日本で同性婚制度が法制化されれば利用したいと考えている当事者ならば誰でも加わることができる。シングル・カップルを問わず、基本は匿名(※住所と名前は日弁連には伝わるものの、マスコミには申立人本人の希望がない限り非公開)。年齢制限もなく、また、日本国籍も必要としない。現にフランス国籍である筆者の妻も、日本国籍である私との日本での結婚を求めて申し立てに加わっている。申立費用についても、関連書類を郵送するための百数十円の切手代しかかからない。

一部メディアには「同性愛者が人権救済申立」と報じられたが、申立人本人に同性愛者・両性愛者などの自認があることも特に必要とされていない。なぜならば、現行婚姻制度の利用条件に「両者間に恋愛感情があること」「異性愛者同士であること」といったような記述はなく、なにより同性婚を望む者が同性愛者の自認を持つとは限らないからだ(例:「好きになった相手がたまたま同性だった」というカップル、恋愛感情に基づかない家族関係、など)。

申立人の募集は2015年6月15日まで。詳細は、LGBT支援法律家ネットワークの公式サイトに掲載されている。また、直接の申立人にならないにしても、署名という形で声を上げることもできる。 

日弁連への申し立ては、2015年7月7日に行われる予定だ。七夕でもあるこの日は、この先の日本で、同性同士にも婚姻制度がひらかれることになったきっかけの日として語り継がれることになるだろうか。

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ライターの紹介

牧村朝子

牧村朝子

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一九八七年生まれ。タレント、レズビアンライフサポーター。二〇一〇年、ミス日本ファイナリスト選出をきっかけに、杉本彩が代表を務める芸能事務所「オフィス彩」に所属。日本で出会ったフランス人女性と婚約後、フランスの法律に則って国際同性結婚をし、現在はパリ在住(フランス語勉強中)。レズビアンであることを公表して各種媒体に出演・執筆を行っている。宇宙や深海やオカルトが好きで、日課は幽体離脱の練習(現在成功率0%)。将来の夢は「幸せそうな女の子カップルに"レズビアンって何?"って言われること」

公式サイト:http://yurikure.girlfriend.jp/yrkr/

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ジセダイ総研 研究員

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