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新人賞投稿作品

シュークリームとカツ丼

藍はなみ
2014年05月21日 投稿

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シュークリームとカツ丼、略してシューカツ・・・ではなく
就職活動、略して就活。
誰もが通る道ではあるが、作者にとっては険しいいばらの道だった・・・。
というのも、作者は人見知りでおっちょこちょい。コンビニのホットスナックすら頼めない。
そんな作者が、激しい就職戦争を、人見知りなりに乗り越えていく!

カテゴリ

エッセー

内容紹介

新潟から東京へ進出して就職活動を行うことを決意するが、人見知りな上におっちょこちょい。運もかなり悪い。コンビニのホットスナックすら頼めない。もちろん面接なんて怖くて仕方ない。そんな作者が人見知りなりに就職戦争を勝ち抜いていく様子を綴った、ドタバタ就活日記。

目次案・語りたい項目

はじめに
1.ドタバタ初合説
2.ミスしまくり東京往復
3.初めての選考
4.二次選考は自己表現
5.ドタバタ友人宅宿泊
6.就活か?サークルか?
7.山手線10駅乗り過ごし事件
8.3日連続夜行バス
9.4次選考で落とされる
10.私を落とせ!
11.社長面談に寝坊
12.圧迫面接で涙
13.初最終面接
14.そして初めての内定
15.その後
おわりに

書き出しの第1章

 2014年初夏、私は就職活動を終えた。正直、就活を始める前には不安しかなかった。というのも、私はコンビニのホットスナックを頼むのにも神経を疲弊するような人間だったのだ。商品を選んで買うのではなく、店員に自ら話しかけなければいけないなんて。どのタイミングで言えばいいのか―商品をレジに置く前か、置く時か、はたまた置いた後か。なんと言えばいいのか―すみません、から始めるのか、ズバッと商品名だけ言って良いものか。どれくらいの声の大きさ、どれくらいの声の高さ、どれくらいの・・・・・・やっぱ頼まない方が楽だ。
 この話をすると大抵の人は「嘘でしょ?なんでそんなことで悩むの?店員に言うだけじゃん!」と言う。なんでそんなことで悩むのかなんて私が聞きたい。とりあえず言えるのは、私は人と話す際に極度に緊張してしまう「緊張しい」であり、なおかつ相手の発言や態度を細かく観察し、気にしてしまう「気にしい」なのである。いわば、「緊張しい+気にしい」型コミュ障なのだ。いや、コミュ焦と書いたほうがいいかもしれない。相手のことを伺うあまり、テンポよく話すことができないのである。相手が先輩など自分より目上の方だと尚更だ。気にしすぎて話が膨らまない。高校時代の部活の顧問に「お前は話を膨らませるコミュニケーション能力が欠如している」と太鼓判を押されるほどの実力派コミュ焦なのである。実力派という単語が付いているにもかかわらずここまで情けない字面になる単語が存在するとは誰が予想しただろうか。そんな「実力派コミュ焦」の私が、初対面のオッサンと話をするだなんてこんなに怖いことはない。
 これは、「実力派コミュ焦」でなおかつおっちょこちょいの私が、就活戦争をくぐりぬけ、内定を勝ち得るまでのドタバタ就活日記である。

1.ドタバタ初合説
 12月第2週の土日。私は初めての合同企業説明会に参加した。土曜日新潟で行われた合説には無事参加し、翌日東京で行われる合説に参加するためその晩夜行バスで新潟を出発した。
 ここまではよかった。
バスに乗ってすぐに気がついたのだ。

―あ、これコンセントのないバスだ・・・・

1日中説明会にいたため、あまりスマホを使う機会もなかったのだが、それでも残りは20パーセントほどだった。明日朝東京に着いたらもう電池残量はないだろう。しかも明日は東京での合説であり、乗り換え案内やマップなどスマホを最大限に活用することが予想される。バスに乗車している間に充電しておくことが必要だった。
―とりあえず充電がなくなる前に、明日朝新宿に着いたら充電できる店舗を今のうちに探しておこう
一通り店舗検索も終えると、合説初日の疲れもあり、普段はあまり眠れない夜行バス内にもかかわらず私は眠りについたのであった。
 翌朝5時30分。まだ夜明け前の新宿に降り立った私は昨夜検索しておいたファーストフード店に向かっていた。もちろんスマホのマップアプリを使って。スマホの充電は残り10パーセント程になっていたが気にしない。店に着いたら充電できる。そう思っていた。アプリを駆使して到着したファーストフード店は都心の店らしく1階にはレジしかなかった。とりあえず簡単なメニューを頼み2階へ向かった

―あれ?
―・・・・・あれ?
―・・・・・・・・・・・あれ?

昨夜調べた店に来たはずなのにコンセントがないのである。

―なんで?

トレーを持ったまま二階をうろうろ彷徨っていると、コンセントがあったとおぼしき部分には黒のテープが貼られて覆われていた。
―もしかして・・・「コンセントの自由な利用を許可していたファーストフード店、スマホやパソコン利用の長居客によって回転率が落ち、売上が伸び悩む」っていうアレの影響・・・?
詳しくは知らないが、そんなことをニュースでやっていた。それが原因かどうかはわからないが、今は原因などどうでも良い。他の店を探さなければ。電池残量10パーセントを切り始めたスマホで他の店舗検索をはじめる。
 午前7時。今度こそ充電ができる店舗を探すべく、他店舗が開き始める7時にファーストフード店をあとにした。まずはコーヒーショップに向かう。入ってみると、ありがたいことにレジと席はおなじフロアにあった。とりあえずこれ以上金銭的に余裕もない。席付近にコンセントがないか探すことにしよう、とフロアをキョロキョロ見渡した・・・その時
「お客様・・・??お飲み物はお決まりですか??」

―しまった・・・。店員と目が合っちゃった・・・。
―どうしようどうしよう。でももしコンセントないなら飲み物買うのもったいないし・・・コンセントがあるかどうか聞いてみようかでもどうしよう・・・飲み物買わないのにレジに向かっても良いものか・・・

少しの間考え込み、そして店員に言うべきセリフを胸の内で何度も復唱しながらレジへ向かった。
「あ、えと、あの、コンセントって、あの、使えたりしますかね?」
普通の人が聞いたらどもりすぎかもしれないが、私にしては頑張った方であった。しかし、この一言に対する答えは悲しいものであった。
「すみません。当店ではご用意しておりません。この近くの○○(ファーストフード店名)でしたらあると思いますので、申し訳ありませんがそちらへ行ってみていただけますか・・・・?」
言葉を失った。というのも、私は生まれて初めて新宿に1人で降り立ったのだ。つまり、この近くの○○に行け、と言われてもどこだか分からない。スマホもそろそろ使えなくなってくるし、店員に聞き返すしかない。「店員に聞き返す」という行為がどれだけ私の神経を疲弊させるのか、少しご想像願いたい。
私はまた店員に聞くべき内容を胸の内で復唱した。
「あ、すみません、えと、○○はどの方向にいけばよろしいのでしょうか・・・?」
店員もこの一言で私が東京に不慣れな田舎モンだとわかったのだろう。実に丁寧に教えてくださった。そしてその道順通りに店員が教えてくれたファーストフード店に向かうと、無事着くことができた。
 今度の店もレジと席が同じフロアだったため、フロア全体をまず見渡した。できるだけ店員の世話にならずにコンセントを見つけなければならない。だがしかし、コンセントは中々見つからなかった。仕方なくレジへ向かい、「ご注文をお伺いいたします」とマニュアルスマイルで聞いてくる店員に「すみません・・・」と尋ねることにした。
「大変申し訳ありません。当店ではコンセントをご用意しておりません。」

―・・・・・嘘でしょ。

その後も「コーヒー屋の兄さんに騙された・・・」と恩を仇で返すような思いを抱えながら、日が高くなっていく新宿を一人コンセントを探しに歩き回っていた。結局、新しいパンプスで歩き回ったことによる靴擦れぐらいしか私が手に入れたものはなく、コンセントが見つかることはなかった。
―ダメだ。とりあえず合説会場へ向かおう。
私は諦めて残り数パーセントになっているスマホの最後の力を振り絞って乗り換えを調べ、頭に叩き込んで会場へ向かった。
 そして会場最寄駅に着くと・・・・見つけてしまったのだ。
 無料充電器コーナーを。

―今更すぎないか・・・

あと20分ほどで開場となる。会場までは徒歩5分。就活を終えた今なら「おいおい。別に出入り自由なんだから開場時間に入らなくてもいいだろうよ。充電しろよ」と声をかけてあげられるが、何しろ就活を始めたばかりだからよく分からない。10分程度しか充電できないのなら充電する意味もないだろう、と充電を諦めて会場に歩き出したその時、私は目にしてしまった。
 スマホを手に会場へ向かう就活生の群れ
 そして気づく。

―あぁああああああ!今日の合説、スマホアプリで入場するやつだったぁあああ!

主催者側はデジタル・デバイドという言葉を聞いたことはあるのだろうか。なぜまだスマホとガラケーが混在するこのご時世に「スマホで入場!」などとうたうのか。スマホを持っていない場合はどうすればいいのだろうか。もしくは充電切れの場合は。
 とにかく充電するしかない、と引き返し、すぐさま駅の一角にある充電コーナーへむかった。またこのコーナー、有料充電コーナーと異なり、一つ一つのスマホを格納するスペースがあったりするわけではない。菓子箱みたいなものの中に数種類の充電器が入っているだけであり、スマホも充電中は菓子箱の中にむき出し状態なのである。こうなると目を離すわけにはいかず、リクルートスーツを着た女が駅の一角に俯きながら立ちつくすという謎の光景が完成してしまった。
 次々と駅改札にやってくる就活生の群れから時折痛い視線を浴びつつ、結局15分充電し、会場へむかった。無事入場できたが、大変なのはその後だった。
「それではこれで当社の説明を終わります。このブースに立ち寄ってくださったみなさん、スマホアプリで当社の名前を探し、その画面右上にある『参加』ボタンを押してからお帰りください。どなたがブースに立ち寄ってくださったのか確認したいので。あ、紙の参加票でもいいですけど、スマホの方が楽ですよね」
一つ目の説明会の終わりからこれである。

―ブース出欠もスマホで確認するのかよ・・・・。

あいにくブース入場で力尽きたのかスマホは充電切れとなっていたし、紙の参加票を提出するしかないのだが、どうも採用担当者の「紙提出はもの好き」みたいな言い草が気になってしまい、なかなか参加票提出に踏み出せなかった。とりあえず充電コーナーを探すしかない。私はとてつもなく広い会場を、企業ではなく充電コーナーを探すため歩き回った。

―ない
―・・・ない
―・・・・・・・・仕方ない。受付の姉さんに聞こう。

私は「充電コーナーはありますか?」というセリフを胸の内で復唱し、受付の中で一番優しそうな人に聞くことにした。
その結果、見事に充電コーナーのありかがわかり、充電することができた。しかし一時間ほどの充電時間、説明会の参加は紙で行わなければならない。私はまた受付に向かい、紙の受付票を大量にもらってブースへ向かった。
 こうして夜7時。はじめての東京での合説は無事終了した・・・かに思えた。
「りんかい線、35分の遅れが出ています。大変申し訳ありません。」
アナウンスがホームに響き渡った。どうやら今日はとことん災難の日のようだ。結局、この電車の遅れで私は新潟に行ける新幹線の終電に乗ることになってしまった。早朝から歩き回ったりした疲れが出たのか、、新幹線のシートに座ることができた私はそのまま眠りについた。そして新潟に着いたというアナウンスで起きると。
 23時55分。

―・・・えっ?

我が目を疑った。というのも、新潟駅から私の住むアパートの最寄駅へ行く在来線は23時36分が終電なのである。新幹線に乗れたことに安堵し到着時間を確認していなかったが、最終の新幹線では在来線の終電に間に合わなかったのだ。駅から出るバスの最終も23時30分頃発だったはずであり、一気に帰るすべを失った。とりあえず僅かな希望を胸にバスターミナルへ向かった。私の家の最寄りバス停を通るバスの時刻表を探すと・・・
 「24時10分」

―あった!!!!!よかった帰れる!!

そう喜んだのも束の間。その下に記載されていた
 「※深夜帯はバス料金が二倍になります。」
という案内を見て一気に気分が下がった。在来線なら片道230円のところが、このバス料金だと片道1000円近くしてしまうのである。しかしこれで帰れるのならば仕方ない。その後すぐターミナルに入ってきたバスに乗り込んだ。
 そして私の家の最寄りから2個手前のバス停を通過したあと、思わぬ事態となった。
 そのバス停からすぐ近くにある三叉路を、私の家の最寄りバス停とは逆側に進み始めたのだ。

―え!!!!ちょ、ちょっと!!!! え!!!!

普段バスに乗らないため気づかなかったが、同じ路線名でも「○○経由」の○○が違えば別コースを進むものがあるらしい。私は仕方なく三叉路通過後一番初めに現れるバス停で下車し、疲れた足を引きずりながらとぼとぼと帰宅した。
 東京に行くたびにこんなにバタバタするんじゃ体力が持たない。本当に東京で就活をやっていけるのか、私の胸に一抹の不安がよぎった。

応募者紹介

藍はなみさん

群馬県出身。新潟県の某大学に在学中。幼い頃から空手、陸上、ソフトボールと体を動かすことに親しみ、大学ではダンスをやっているが、活発な印象は持ち合わせておらず、人見知りが激しい。今年の目標は「コンビニの挽きたてコーヒーを店員に注文すること」である。

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