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HOME > 新人賞 > 新人賞投稿作品 > 妖怪になれ!ご当地妖怪が日本を救う

新人賞投稿作品

妖怪になれ!ご当地妖怪が日本を救う

渡辺恵士朗
2013年12月30日 投稿

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現代社会は妖怪大戦争!
妖怪に生き方を学べ!
意味がないことに意味がある!かんじんなことは目には見えない!

カテゴリ

日本社会

内容紹介

何が正解か分からない、混沌とした現代社会。

妖怪は「よく分からないもの」の具象として古くから日本人の身近にあり、語り継がれてきた。

妖怪に生き方を学ぶことで、割り切れない現実を生き抜くための知恵を身に付ける。

また、記憶を受け継ぐための装置として妖怪を見ることで、地域コミュニティのあり方を考察する。

そして、日本が発展していくために地域にいる人間が何をできるか考え、妖怪が日本社会に果たす役割を考察する。

ミクロな個人向け妖怪のはなしから、マクロな世界における妖怪のはなしまで。妖怪について考えることで、日本社会をよりよくする方法を見つけるとともに、一人一人がよりよく生きる方法を模索する。

目次案・語りたい項目

<目次案>

○はじめに
 ―今、妖怪に学ぶ意味/妖怪との出会い/本書の構成

○第1章 妖怪とは何か
・1-1 現代社会における妖怪
 ―幽霊と妖怪/UMAと妖怪/都市伝説と妖怪/ここでの「妖怪」の定義
・1-2 「分からないもの」とは
 ―オチのない『遠野物語』/『新耳袋』に見る不気味さ/価値観の多様化によるディスコミュニケーション
・1-3 グローバル化と妖怪
 ―海外勤務の友人から聞いたはなし/異文化コミュニケーションと鬼/西洋妖怪・中国妖怪と日本妖怪の違い
・1-4 コミュニケーションと妖怪
 ―サリンジャーと「境界」/「境界」と妖怪/大人と子供の見える世界/世代間コミュニケーションと妖怪
・1-5 「分からないもの」との付き合い方
 ―『寄生獣』と妖怪/現代社会のコミュニケーション/自分も理解してもらえなくて当然/完全な理解がないからこその理解

○第2章 妖怪として生きる
・2-1 地域妖怪の可能性
 ―ゆるキャラと妖怪/日本文化と妖怪/地方発グローバル/ビジネスと妖怪/地域を救う等身大の妖怪になる!
・2-2多様に生きる
 ―カワタロウ、エンコ、フチザル、メドチ、ヤマワロ、ミンツチカムイ、100通り以上ある河童の呼び名/同じようで違う妖怪/八百万の神の国の妖怪
・2-3適当に生きる
 ―存在の意味が分からない妖怪/小豆洗い、あかなめ、ぬらりひょん/論理的思考過ぎる現代人/意味がないことに意味がある
・2-4 妖怪を認める
 ―南方熊楠の世界観/現代的価値観のコペルニクス的転回/かんじんなことは目には見えない/勝海舟「なるようにしかならない」/無為自然、則天去私
・2-5 ご当地妖怪としての生き方
 ―妖怪化(セルフブランディング)/妖力を高める(スキルアップ)/感染させる(周りの人を動かす)/妖怪にゴールはない(ゴーイングコンサーン)

○第3章
・3-1 地域コミュニティと妖怪
 ―口碑、口頭伝承と妖怪/地域文化と妖怪/ハレとケ、祭と妖怪/妖怪がつなぐ絆
・3-2 記憶装置としての妖怪
 ―明治三陸地震と柳田国男/東日本大震災と都市伝説/妖怪による記憶の共有
・3-3 日本と妖怪
 ―日本人の自然観/日本の神々/漂泊する妖怪/ビジネスと生業/公益資本主義を実現する日本型妖怪
・3-4 世界と妖怪
 ―世界の妖怪/一神教と多神教/市場原理主義と戦う妖怪/アメリカや中国にない日本型妖怪の強み
・3-5 日本を救う、ご当地妖怪
 ―日本型妖怪、特にご当地妖怪/ひとりひとりが妖怪に/妖怪による地域活性化/地域が創る新しい日本

○参考文献

○おわりに
 ―私にとっての妖怪


<ターゲット>
20代~30代の、日本を何とかしたいと思いつつも、そもそも自分自身の将来に不安を感じており、何となくやる気はあるが、今一歩前に踏み出せない若者。
具体的には、地方出身、都内の大学を卒業、それまでは自分のことしか考えていなかったが東日本大震災で被災したことを契機に日本のことを意識し始め、地域活性化などに興味はあるが、かといって他人のための自己犠牲の精神までは持ち合わせていなく、自分自身の将来もどうしようかと不安を感じつつも特に何も行動を起こしていない、29歳男性。

書き出しの第1章

はじめに

■今、妖怪に学ぶ意味

 現代社会は、妖怪大戦争の様相を呈している。

 物価高に加え消費増税により生活苦に陥る人たち。ストーカー犯罪や肉親同士の殺人事件など後を絶たない凶悪事件。
 その一方では、アベノミクスなど経済政策による景気上昇で恩恵を受けている人も少なからずいる。
 「失われた20年」と呼ばれる時代を生きて、最初から希望を持たずに生きている若者もいる。
 様々な人が、様々な思惑を持って動き、努力が必ずしも報われない混沌とした世界。

 この現状を打破し、社会をよりよくするためには、どうすればよいだろうか。
 私はひとつの打開策として、人々が現代的な価値観から脱却することが必要であるように思う。

 そのためには、現代的ではない価値観、すなわち妖怪の価値観が参考となる。

 妖怪には、理論もゴールもない。

 例えば小豆洗いは、ただ小豆を洗うだけの妖怪である。あかなめは、ただ風呂の垢を舐めるだけの妖怪である。ぬらりひょんは、ただ勝手に人の家にあがりこんでお茶を飲むだけの妖怪である。そこには、論理的な意味はない。

 また、『遠野物語』など多くの妖怪譚には、オチがない。ただ、事実のみを伝えるだけである。それは、人によっては価値があるかもしれないが、必ずしも誰にとっても価値があるとは限らない。

 妖怪は非論理的な存在であり、それこそが今の日本に必要な存在となる。

 現代人は理論的なものに縛られすぎているように思う。

 そもそも人生はゴーイングコンサーンである。
 寄港すべきマイルストンや、「黄金の国ジパングの発見」といったプロジェクトゴールは存在するが、船自体が最終的にどこに向かうかは決められていない。
 未知の大地を目指して進むのが航海である。未知である以上、そこにゴールはない。

 自身がコンサルタントであるから、ゴール設定やKPI設定の必要性、ミッション・ビジョンの重要性、バランススコアカードの有用性、部分最適の積み上げが全体最適にならないこと等々は重々承知している。
 だが、あえて言いたい。

 適当で目標を持たない妖怪が各々がんばることで、日本はよくなるのである。

■妖怪との出会い

 多くの人は、妖怪に出会ったことはないと思う。

 だが、日本各地には妖怪の伝承が残っている。

 例えば、妖怪の中で最もメジャーである河童は、日本全国ほとんどの地域で伝承が見られる。
ただし、北海道のミンツチカムイや、沖縄のキジムナーなど、広義では河童と同類と思われるが、その地域独特の妖怪として知られる例も多い。
 河童の別形態、別名としては他にカワタロウ、エンコ、フチザル、メドチ、ヤマワロなど100通り以上ある。
 それらは、河童であって河童ではない。

 地域それぞれに、特色のある妖怪がいる。
 地域文化を表したものが妖怪だと言えるかもしれない。

 また、妖怪には地域コミュニティの記憶を後世に残す機能がある。
 口碑、口頭伝承として語り継がれる妖怪譚には、昔の人の叡智が散りばめられている。

 柳田国男の『遠野物語』には、明治三陸地震の記載がある。
 地震や災害の記憶を後世に残すための装置という側面も、妖怪にはある。

 これからの地域コミュニティを考えるときに、妖怪が果たす役割は大きい。

 そして、これからの日本国家をよりよくしていくためには、地域活性化は避けて通れない道である。
 すなわち、妖怪と出会うことが、日本をよりよくすることにつながるのである。

■本書の構成

 第1章では、妖怪とは何かについて改めて考察する。

 妖怪は、人間が「分からないもの」である。
 なぜ、分からないのか。分からないものとどのように付き合ったらよいのか。
 異文化コミュニケーションや、世代間コミュニケーションなど、身近な「分からないもの」との付き合い方を具体例として、現代社会における「分からないもの」とのコミュニケーションを考察する。

 第2章では、ひとりひとりが妖怪として生きるための方法を考察する。

 各地域の特性をつかさどり、多様的な存在である妖怪。
 そして、特に意味がなく、適当な存在である妖怪。
 しかし、意味がないことにこそ意味がある。
 粘菌学者として世界的権威であり昭和天皇へご進講したこともある南方熊楠は、驚異的な論理力を持ちながらも、その生き方はとても論理的と言えるものではない。

 論理には限界があるが、非論理には限界はない。
 妖怪としての生き方を考えることで、現代社会を生き抜くすべを考察する。

 第3章では、妖怪を通して地域コミュニティのあり方を考察する。

 明治三陸大震災や東日本大震災など、日本人は古くから自然災害と付き合ってきた。
 それが日本人の自然観を形作り、八百万の神々を創り出した。
 欧米や中国などの外国にはなくて、日本にしかない強みを、日本型妖怪の特徴から探る。

 日本企業は、欧米やアジアの後追いだけに終始するできではない。
 特にものづくり分野においては、先進者を模倣しながらも、日本企業が得意な摺り合わせ技術を用いて、発明と市場との新結合であるイノベーションを起こすことで、新市場を創り出す「イモベーター」となるべきである。妖怪こそが、「イモベーター」となる。

 日本がこれから世界の中でプライムを取っていくためには、短期的に新市場を創り出すだけではなく、新たな基礎技術を長期的に開発・育成しなければならない。
 そのためには、目先の利益を追求する資本主義ではない、新しい制度として公益資本主義を日本は実現していかなければならない。公益資本主義を実現するためのカギが、日本の妖怪にある。

 そして、世界の中の日本という視点だけではなく、ボトム的な地域活性化の視点からも日本をよりよくする必要がある。
 日本型妖怪の中でも特に地域密着型のご当地妖怪による、地域活性化の方策を考察する。

 ひとりひとりが非論理的で適当な妖怪としての生き方を送ることで、ひとりひとりの生き方はよくなる。

 本書は、ひとりひとりの生き方をよくすることで、地域コミュニティをよりよくし、ひいては世界の中で日本をよりよくするための、ひとつの提案である。

 今こそ妖怪に学ぶことで、日本を変えるのである。

応募者紹介

渡辺恵士朗さん

1984年5月9日生まれ。北海道旭川市出身。早稲田大学人間科学部人間環境科学科卒業。大手総合系コンサルティングファーム勤務。日本民俗学会会員。好きなものは、特撮ヒーローとロボットと歴史と河童。
大学時代は、四年間を詩吟と民俗学、文化人類学に費やす。
大学のゼミでは、インドネシアのバリ島や福島県喜多方市にてフィールドワークを実践する。
卒業論文では、口頭伝承の観点から、怪談と社会背景の関係性を論じた。
大学卒業後は独立系自動車部品メーカーに就職し、2008年に茨城県北茨城市の工場に赴任。原価管理の部署に配属されるが、仕事そっちのけで河童の生態調査に勤しむ。
2011年の東日本大震災にて被災し、電気、水など各種ライフラインが止まる中でも生き延びる。その際に参加した地域ボランティアの体験等を通じて、日本全体を何とかしたいとの想いが沸き上がり、日本の中心である東京に行くことを決意する。
2011年11月に都内の独立系コンサルティングファームに転職し、中央省庁など官公庁向けのコンサルティングを手がける。
その後、地方から日本をよりよくしたいとの想いから再び転職し、現在は大手総合系コンサルティングファームのパブリックセクターにて主に地方自治体向けのコンサルティングを手がけている。

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