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HOME > ジセダイ編集部 > エディターズダイアリー > 漫画界にはもっと「原作力」が必要だ! 今こそ《マンゲン・ピ!》 小池一夫

エディターズダイアリー

漫画界にはもっと「原作力」が必要だ! 今こそ《マンゲン・ピ!》 小池一夫

櫻井理沙
2018年01月26日 更新

小池一夫のキャラクター進化論(1) 漫画原作(秘)の書き方《まンげン・ピ!》

「原作力」と「作画力」が漫画の両輪だ!

 この本は「漫画の原作」とはどういうものか、どうやったら面白い漫画原作を書けるか、という《マル秘》の技術を書いたものです。

「漫画原作って何だ?」という方もいらっしゃるでしょうが、そんな方でも、お読みいただければ「漫画原作の書き方」がわかるようになっています。

また、漫画原作者を目指す人だけでなく、漫画家を目指す方にも役立つことを書いてあります。

教えるのは「漫画の描き方」ではありません。一貫して「面白い物語とは何か?」「どうやって発想し、どういうふうに構成するのか」ということを述べています。

ですので、漫画家以外にも、脚本家、小説家などの「物語を創る人」にも役立つようになっています。

漫画を創るためには、大きく分けて二つの才能が必要になります。

一つは、キャラクターや背景、構図、コマ割りなどの漫画を創る技術。絵や動き、画面構成、デザイン力。ビジュアル面の才能です。

漫画の「作画力」とでもいっておきましょう。

もう一つは、物語やキャラクターを創作するための原動力となる観察力、発想力や構成力や知識力。ストーリーや、キャラクターの内面・過去などの人物造形で古い言い方をすれば「文芸面」の才能です。作品の原動力となる力という意味も込めて、「原作力」とでもいっておきます。

(加えて、「集中力」とかモチベーションを維持する「継続力」、折れない心の強さ「鈍感力」なども、もちろん重要ですが、それは他の職業でも同じでしょう。)

「面白い物語や魅力的なキャラクターを考える力」=「原作力」。

「それを読みやすく面白い漫画にする力」=「作画力」。

それらは漫画の「両輪」です。

一人の漫画家にその両輪が揃っていればベストです。

しかし、全ての漫画家がその両輪を兼ね備えているわけではありません。特に、若い新人漫画家は、どちらかが先に成長するものです。

「原作力」が足りない時や、そうでなくとも、週刊連載などで、漫画家に物語を創る余裕がない場合もあります。

そんな時に必要になるのが、面白い物語を創り出すことができる「漫画原作者」です。

よく僕のところに「絵は描けないけど、面白い物語を考えたので漫画原作者になりたい」という人が訪ねてきますが、そういう人はほとんど使えません。

「面白い話を考えつく」ことは簡単です。

しかし、ふわふわとした思いつきのアイデアを、「面白い物語にする技術」を身につけなければ、漫画原作者にはなれません。

当然、その発想力や構成力、知識、人間洞察の深さといった「原作力」が、組む漫画家や担当編集者のそれを超えていないようでは、「漫画原作者は要らない」のです。

また、よほどアイデアや題材が面白くて使えるネタでも、「原作力」がなければ、それを漫画家や他の原作者に物語にしてもらわなければならないので、「原作者」ではなく「原案者」や「協力者」となり、著者の一人である原作者とは違う扱いになってしまいます。

漫画原作者には、「面白く物語る」ための「技術」が必要なのです。

「二刀流の天才」頼みの漫画界は変革を迫られている!

 これまで、漫画界は、基本的には一人で「物語」(原作力)も「絵」(漫画力)もできる「二刀流」のオールラウンダーを求めてきました。

もしかしたら、そもそもの日本のストーリー漫画のスタイルを作った大漫画家が、そういう二刀流の「天才」だったため、「漫画は一人で描けて当たり前」だと思われてきたのかもしれません。

メジャーな漫画誌はそういう稀有な「二刀流の天才」にあたるまで、多くの才能ある新人作家を試しては、連載を打ち切るということを繰り返してきたともいえるでしょう。

優れた画の才能があっても、物語面で行き詰まり、「ナシ」と見たら、容赦なく打ち切られます。

もし、漫画家の方が、展開に困った時、人気が出ない時、この本は、「消えないための力」「生き残るための力」となるはずです。

「原作力」は他者の才能を「活かす力」となる

僕も、自分が教えた弟子や学生の連載を読みながら、

「これ、ここをこうすれば、面白くなるよね。もったいない」

「あの設定をここで拾えば、面白い展開ができるのになぜやらない!?」

という無念を抱きながら、その作品が打ち切られるのを数多く見てきました。

有能な編集者であれば、「ここをこうすれば」を指摘して路線変更を提案できるでしょう。

たとえば、僕の『弐十手物語』は打ち切り寸前だったところを、編集長のアドバイスで主人公を変えたことで、読者の心を掴み、27年に渡る大ロングラン作品になりました。

そう。僕の目から見れば「救える漫画がある」のに、無残に消えていく作品が数多くある。
僕だけではないでしょう。

多くの漫画家や漫画原作者たち、あるいは他誌の編集者も「あれはこうすればいいのに」と思いながら見ているはずなのです。

でも、みんなアドバイスをしません。それは担当編集者と作家の問題だからでもあるでしょうし、ライバルが消えることは、自分にとっては有利になることでもあるからです。

それでも、僕から見ると「打ち切るには惜しい作品」「消えるにはもったいない才能」がある。

当事者としては「自分の作品を立て直して、人気を上げたい」と思っているでしょうし、担当編集だってそうでしょう。「どうアドバイスすればいいのかわからない」という人もいるかもしれません。

 ハリウッドには、映画の脚本のダメな部分を指摘し、テコ入れして立て直す専門の「スクリプト・ドクター」という職業があるそうです。

 「ドクター」とは上手く言ったもので、物語を生き物と見立て、病気や怪我を指摘し、手術や治療で正しく直すというわけです。

 漫画界にも、そういった「漫画ドクター」的な役割があってもよいかもしれません。

現在は、漫画の展開は作家と編集者で創っていますが、展開に迷った時の「打ち切り駆け込み寺」のようなサービスも、本来的には可能なはずです。

その時、必要となってくるのはまさに「原作力」のある人材です。

 また、現在、漫画の舞台は雑誌からWEBの方に広がっています。掲載のパイが増えることはよいことですが、問題となってきているのが、紙メディアに比較して、WEBメディアの編集者のクオリティの低さです。

 いくら、漫画家志願者が増え、発表の場が増えたとしても、作品のクオリティが高くなければ、その業界は潰れます。

今こそ、WEB漫画の世界にも、「原作力」を持つ人材が必要だと思うのです。

「原作力」を持つ人を数多く育てて、漫画業界をもっと盛り上げたい。

それがこの本を出した理由なのです。

小池一夫

小池一夫のキャラクター進化論(1) 漫画原作(秘)の書き方《まンげン・ピ!》

著者 小池一夫/企画・構成 山科清春

ISBN 978-4-06-511149-9

発売日 2018年01月25日

試し読みページも公開中です。

アシスタントエディター

櫻井理沙

知らないことこそ面白い。プロの素人エディター。

櫻井理沙

アシスタントエディター。1987年生まれ、群馬県出身。高卒でアパレル企業に入社するも大学進学を諦められず24歳でお茶の水女子大学に入学。西洋史学を専攻する。その後、東京大学大学院へ進学。演劇と装飾写本を愛するロマンティスト。

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